連覇して「岡田勇退」か
達川:その原監督の後を継いだ阿部監督が1年目でどんな野球をするか。
中西:原監督はバトンを渡す前に坂本(勇人)をサードにコンバートした。阿部監督がいきなり定位置替えはやりにくいだろうからと、先に済ませておいたのでしょう。
首脳陣では二岡(智宏)ヘッドコーチの手腕が未知数。二軍監督の経験はあるが、ヘッドは初めて。ヘッドは監督の背中を押す役目と、ブレーキをかける役目がある。重要度は高いと思いますよ。
達川:投手コーチは内海(哲也)と杉内(俊哉)。2人とも左投手というのは珍しい。打撃コーチは阿部監督と同じ中央大出身の亀井(善行)。監督にとって話しやすいコーチがいるのは大切。岡田監督にとっての水口のような存在になれるかやね。
中西:コーチはそれぞれ自分のテリトリーの選手を守ろうとする。二岡ヘッドがどう橋渡しするか。
カープは新井(貴浩)監督のもとで2位だったけど、対抗馬としては?
達川:去年は甲子園で負けすぎた。2勝9敗1分じゃ話にならん。
阪神が日本一になった1985年は、9月までタイガースとカープが競っていたのよ。ただ、5月の甲子園で、カープが7対0で勝っていた試合をバースと掛布にホームラン2本ずつ打たれて逆転負けしたことがあった。
中西:ありましたね。ボクが勝ち投手でした。
達川:そういうのがトラウマになるのよ。どのチームも甲子園で勝てないと、リーグ優勝は難しい。
中西:岡田監督は昨年、「(監督は)2年しか無理や」「しんどいわ」と話していた。言ったことを曲げない人なので、今年限りで辞めるでしょう。
達川:“優勝”は重圧になるから“アレ”と言ったのは本音だったんじゃないのかと思うよ。繊細なところがあるからね。ただ、彼の辞書に「負け」という文字はないから、本当に辞めるなら連覇したいだろう。他のチームの奮起に期待したいね。
【プロフィール】
達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1977年ドラ4で広島に入団。正捕手として活躍。引退後は広島監督や阪神などでのコーチを努め、2017年にはソフトバンクのヘッドコーチとして日本一を経験。
中西清起(なかにし・きよおき)/1962年、高知県生まれ。1983年ドラ1で阪神に入団。ストッパーとして1985年の日本一に貢献。2004~2008年には岡田監督のもとで阪神の一軍投手コーチを務め、2005年のリーグ優勝を経験。
※週刊ポスト2024年1月12・19日号