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薬の副作用による不調も少なくない(写真/PIXTA)

 男性に多いとされる排尿障害だが、悩む女性も少なくなく、その原因が薬にあるケースも。東京都に住むNさん(51才/女性)が声を潜めて明かす。

「インフルエンザが治った後もせきがずっと続いたので、市販のせき止め薬を買ってのみました。すると、なぜかお小水がちょろちょろとしか出なくなり、その結果お腹が張って痛み出し、がまんできずに病院に行くはめになりました」

 ナビタスクリニック理事長で医師の谷本哲也さんが解説する。

「せき止め薬に含まれる『コデインリン酸塩水和物』には、副作用として便秘や排尿障害が報告されています。薬が原因だと気づかずに悪化させてしまうと腸閉塞を発症することもあります」

 風邪薬によって全身が蝕まれた例もある。神奈川県に住むHさん(72才/女性)は風邪のひきはじめを自覚し、市販の総合感冒薬を買ってのんだ。すると手足の力が抜け、体がだるい。運動もしていないのに筋肉痛が出て手足がしびれ、心臓がドキドキする。しばらくするとひどい吐き気にも襲われたという。Hさんに何が起きたのか。

「総合感冒薬に含まれる漢方薬の甘草が引き起こす『偽アルドステロン症』だと考えられます。体内に塩分と水がたまりすぎることで血圧が上昇したりむくんだりし、体からカリウムが失われ脱力や筋肉痛などの筋肉の異常が起こる。重症化すると筋肉が壊れたり、脈が乱れることもあります」(長澤さん・以下同)

 女性に多い病気や症状の治療薬が、思わぬ重い症状を引き起こした例もある。

「リウマチ治療に用いられるステロイドの内服薬をのむと、喉が渇いてしかたなくなるという人がいました。服用することで糖を合成する働きが高まるため血糖値が上昇し、糖尿病のような症状が出ることがあります。ひどくなると高血糖で失明したり、足が壊死するケースすらありえるのです」

 さらに長澤さんが続ける。

「そもそもステロイドの内服薬は副作用を挙げたらきりがないほどある。血糖値や血圧が上がるほか、骨粗しょう症や認知機能・記憶力の低下もある。細胞分裂のスピードを下げる薬なので、肌の状態が悪くなるほか、脳の血管にも悪影響を与えます」

 骨粗しょう症も多くの女性が危惧するが、ステロイド内服薬のほかにもいくつかの薬の副作用が原因になるというから聞き逃せない。

「プロトンポンプ阻害薬を長期使用すると、骨折リスクが高くなるとの研究があります。完全解明はされていませんが、カルシウムを吸収できなくなり、骨粗しょう症に至るとの説が有力です。そのほか、利尿剤も骨粗しょう症リスクを高めるとされます」

 併せて覚えておきたいのは、骨粗しょう症の治療薬が別の症状を引き起こす可能性もあることだ。

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