「女性が顔写真や動画をネット上に出すことがかなり一般化しており、サービス内容も過激になる傾向が強いです。行為中の撮影なんか、いくらお金のためとはいえ、喜んでやる女性はいません。私は、客に撮影された動画がSNS上にばら撒かれたこともあり、SNS運営側に通報して投稿自体は消えたものの、投稿した客が逮捕されることはありませんでした。もう気持ちも体ももたなくなり、業界から身を引きました。仕事を続けられなかったという後悔はありますが、自分が働いていた業種の女性が被害者となる事件が増えているので、これで良かったと思うしかありません」(キサキさん)
ネットやSNSの台頭で、人々のコミュニケーションの形は様変わりした。そこにはメリットもあればデメリットもあるが、接客業、とくに客への親密なサービスを伴う仕事をする女性たちにとってこの変化は受け入れ難いほどマイナス面が大きい。もちろん、取材の中で「SNS営業」のおかげで客が増えた、収入が増えた、という女性にも話を聞いたが、増収に伴うデメリットを気にしないという人はいなかった。
客へのサービスが親密な形をとるぶん、ある程度は危険な仕事だと承知しているとはいえ、やはり現在の業界の傾向は歓迎できないというのが女性たちの本音ではないだろうか。そして、今のような営業推奨の方向が、大きな危険性を孕んでいることは誰にでも容易に想像ができたはずだ。しかし、利益至上主義や時代の流れに逆らえず、なし崩し的に変貌を遂げていった結果、実際に悲劇が相次いでいる。それでもまだ「あの業界のことだから」と白眼視するのを容認してよいのだろうか。社会の綻びは、弱いところから始まる。その危険は遠からず、あなたの問題になる可能性もあるのだと承知しておくべきだろう。