詩集というとひとり静かに読むイメージがあるが、黙読する人もいれば、ライブで聴いたり、配信で聴いたりする人もいる、自由に開かれた形の詩集でもある。
「結局、舞台も小説も詩も言葉なので。言葉っていうものを使った表現にはまだまだ可能性があるんじゃないかと感じています。詩も戯曲も書くし、絵も描いたジャン・コクトーがすべての芸術の原点はポエジーだという風に言っています。絵だって、タイトルがつくことで絵の見え方が違ってくるかもしれない。『ポエジー』は日本語だと『詩情』と書きますけど、何かを表現したい気持ちなんじゃないかとぼくは思います」
詩集の表紙カバーを飾る美しい線画は、森さんのお嬢さんが16歳のときに描いたものだそう。
「『感情の配線』という詩集のタイトルはこの絵を見ていて生まれました。何かを配線しているんだけど何を配線しているかはわからない絵で、ひょっとしたらぼくは、感情を配線して作品を作ってきたのかもしれないと思ったんです」
【プロフィール】
森雪之丞(もり・ゆきのじょう)/1954年東京都出身。1976年作詞作曲家としてデビュー以来、数々のヒット曲を手がけている。1990年代以降、多くのロックアーティストからの支持に応え、先鋭的な歌詞の世界を築き上げる。詩人として1994年から『天使』『近未来詩集』『絶望を愛した38の症例』『天才的な恋』『扉のかたちをした闇』(江國香織との共著)の5冊の詩集を上梓。ポエトリーリーディングのライブや、布袋寅泰プロデュースのリーディングアルバム『天使のいた惑星』をリリースするなど、詩の朗読をベースにさまざまな活動を続ける。近年は舞台・ミュージカルの分野でも幅広く活躍。
取材・構成/佐久間文子
※女性セブン2024年2月29日・3月7日号