持ちネタ200本!? 東京演芸会の優等生。獅子てんや・瀬戸わんや(1952年結成)

持ちネタ200本!? 東京演芸会の優等生。獅子てんや・瀬戸わんや(1952年結成)。写真/神保喜利彦

塙:その弟子がてんや・わんや。

神保:獅子文六の小説『てんやわんや』の舞台が愛媛県瀬戸町で。獅子文六がコンビ名の由来を新聞で知って、カンカンに怒ったっていう。

塙:昔の映像を見ただけですが、どっかーんって来ますよね。掛け合いが面白いですもん。

高田:そう、そう、そう。ぴっぴっピーヨコちゃんじゃ、アヒルじゃがぁがぁって。それを『オレたちひょうきん族』で片岡鶴太郎にやってもらったの。

塙:それは子どものころ見てましたけど、漫才ではどういう流れでピーヨコちゃんに?

神保:親が先か、卵が先かを問い出すんです。

高田:で、卵の親じゃって言い出すんだよ。ちっちゃいほうのわんやが、それで歌い出すの。

塙:今の漫才やコントにも繋がっていますね。

高田:でかいのがちっちゃいのをいじっていくうちに、ちっちゃいのがだんだんかあーっとなってきて、顔が真っ赤になってくるのが面白かったんだ。

神保:持ちネタだけで100本、200本ぐらいあったそうです。

塙:今、若手はみんな勉強したらいいでしょうね、てんや・わんやのネタを教材みたいにして。

第3回につづく第1回から読む

【プロフィール】
高田文夫(たかだ・ふみお)/1948年東京都渋谷区生まれ。日本大学芸術学部を卒業すると同時に放送作家に。『ビートたけしのオールナイトニッポン』『オレたちひょうきん族』など数々のヒット番組を生む。落語家としても立川藤志楼を名乗り、1988年に真打昇進。1989年にスタートした『ラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)は2024年で35周年。

塙宣之(はなわ・のぶゆき)/1978年千葉県生まれ。2000年に土屋伸之とナイツを結成。漫才新人大賞(2003年)、文化庁芸術祭大衆芸能部門優秀賞(2013年)、芸術選奨大衆芸能部門文部科学大臣新人賞(2016年)、浅草芸能大賞大賞(2022年)など受賞多数。2023年6月より漫才協会会長。初監督作『漫才協会 THE MOVIE 舞台の上の懲りない面々』が3月1日(金)より、東京・角川シネマ有楽町他で公開。

神保喜利彦(じんぼ・きりひこ)/1996年群馬県生まれ。國學院大學卒。学生の頃から芸能研究を手掛け、研究サイト『東京漫才のすべて』『上方漫才のすべて』を運営している。2021年より演芸研究誌『藝かいな』を月刊で刊行中。近刊に、漫才の源流から現代まで、数多くの芸人やその遺族、関係者や研究者を直接訪ねて完成した東京漫才の通史『東京漫才全史』(筑摩選書)。

※週刊ポスト2024年3月8・15日号

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