土曜深夜戦争
1980年代に入ると、お色気番組はさらに増えていく。なかでも“女子大生ブーム”の火付け役にもなったのが『オールナイトフジ』(1983年4月~1991年3月/フジテレビ系)。初代司会は秋本奈緒美と鳥越マリで、デビューしたてのとんねるずや片岡鶴太郎が出演した。「あなたのパンツ見せて下さい」や「女子大生初体験レポート」などの名物企画があり、番組内で結成した女子大生アイドルユニット「おかわりシスターズ」(山崎美貴、松尾羽純、深谷智子)はレコードまで発売した。
この番組に対抗するように1984年10月からは各局で「土曜深夜戦争」が始まる。タレントの鈴木ヒロミツが司会の『夜はエキサイティング』(1984年10月~1985年3月/テレビ東京系)、司会・所ジョージ、アシスタント・早乙女愛の『TV海賊チャンネル』(1984年10月~1986年3月/日テレ系)が始まった。
「当時の番組表を見ると、『TV海賊チャンネル』は『朝までやれない!』とサブタイが付いている(笑)。『ティッシュタイム』で、女性がパンティーを脱ぐのを所と山本晋也監督がフライパンで隠すような展開もありました」(同前)
土曜深夜戦争には『ミッドナイトin六本木』(1984年10月~1985年9月/テレビ朝日系)も参戦した。司会を務めたのは作家の亀和田武氏で、森田健作もレギュラー出演し「青春の巨匠」として再ブレークを果たした。沢田研二に似ていることから“文壇のジュリー”とのキャッチコピーがついた亀和田氏が語る。
「番組の名物はドクター荒井のマッサージ。バストトップやヘアは見せませんが、きわどい下着や水着の女性を施術台に寝かせてマッサージしていく。
このコーナーが始まると視聴率は爆上がりで、当初3分だったのが7~8分に延びたんです。風采の上がらない白衣のおじさんが真面目な顔で一生懸命にマッサージをするところに妙な味がありましたが、司会として僕の隣にいたピンク・レディーを解散したばかりのミーちゃん(現・未唯mie)は僕と同じくどう反応していいかわからず、所在なげな感じで見ているしかないのが印象的でした」