2021年12月2日、女性侮蔑と受け取れる発言を謝罪する静岡県の川勝平太知事。知事選の期間中に学長を務めた静岡文化芸術大の女子学生について、「11倍の倍率を通ってくるんですから、もう皆きれいです」などと、容姿と学力を結びつけるような発言をしていた(時事通信フォト)

2021年12月2日、女性侮蔑と受け取れる発言を謝罪する静岡県の川勝平太知事。知事選の期間中に学長を務めた静岡文化芸術大の女子学生について、「11倍の倍率を通ってくるんですから、もう皆きれいです」などと、容姿と学力を結びつけるような発言をしていた(時事通信フォト)

自分に酔ってるんだろうね

 そして4月5日、あらためて会見した川勝知事は一転して発言を撤回した。

〈生業の違いを言ったものです。しかしながら、職業差別と捉えられるかねない表現だというふうになりまして、そしてましてこれが職業差別であるというふうにいま、ご理解されている人が急に増えてまいりました。これは不正確で、そういうご理解をされるようになるならば、これは、そういうご理解をしていただくのは本意ではございませんので、そのくだりを削除いたしまして撤回いたします〉

〈職業差別と捉えかねないのを、捉えた方、がいらして、それで怒ってらっしゃる方がいらっしゃる。不愉快な思いをさせたことに対しましては、まことに申し訳なく思っておりまして、心からお詫びを申し上げます。なりわいの違いを申し上げたつもりでしたが、説明は通じないというふうに言われましたので、通じないのであれば、そのことは申し上げないと。しかし職業差別ではありませんので、職業差別と捉えかねないところは、全部削除して撤退いたします〉

 そして4月10日、川勝知事は辞表を提出した。辞任会見では理由を「リニア問題」として、結局は最後まで発言の責任をとる形は回避した。また会見に先立ち記者団の前で、

〈「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」細川ガラシャです〉

 と記者に向かって笑みを浮かべ、ガラシャ(明智光秀の娘、玉の洗礼名。東軍、細川忠興の妻。関ヶ原の前哨戦において西軍、石田三成の人質要求を拒否して義死)の辞世の歌を一首詠んだ。

 これについては別の元ベテラン議員で短詩文学にも詳しい方に話を聞くことができた。

「細川護熙もこの歌を詠んだ。まあ彼は遠い親戚(細川氏の末裔)だからな。あと小泉純一郎か。自分に酔ってるんだろうね。そういう人ということだ」

 あくまで憶測でしかない話かもしれないがいきなり詠まれても、ましてガラシャの生涯と最期を顧みても疑問でしかない。ましてこれは知事の辞任会見である。

「川勝氏は切り抜きと言っていたが、旧民主党系、反自民ということでむしろこれまで忖度されていたように思う。むしろ甘やかしが過ぎた」

 これは本稿のお二人以外にも言及する有識者もあったが「リニア憎し」でその他をないがしろとまではいかないまでも、リニア反対という錦の御旗があれば何でもいいが常態化してしまったことも要因にあるように思う。手段の目的化というべきか。リニア問題の是非は論じるべきだが15年という川勝県政で何を生み出したかといえば、その年月の長さに比すれば「労多くして功少し」に結果的になってしまった。川勝知事の理想のようにはいかず、その焦りもあったのではないか。これもまた、支持者も含めた多くの関係者の指摘する通りである。

関連記事

トピックス

ギャンブル好きだったことでも有名
【徳光和夫が明かす『妻の認知症』】「買い物に行ってくる」と出かけたまま戻らない失踪トラブル…助け合いながら向き合う「日々の困難」
女性セブン
破局報道が出た2人(SNSより)
《井上咲楽“破局スピード報告”の意外な理由》事務所の大先輩二人に「隠し通せなかった嘘」オズワルド畠中との交際2年半でピリオド
NEWSポストセブン
男装の女性、山田よねを演じる女優・土居志央梨(本人のインスタグラムより)
朝ドラ『虎に翼』で“男装のよね”を演じる土居志央梨 恩師・高橋伴明監督が語る、いい作品にするための「潔い覚悟」
週刊ポスト
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン
『君の名は。』のプロデューサーだった伊藤耕一郎被告(SNSより)
《20人以上の少女が被害》不同意性交容疑の『君の名は。』プロデューサーが繰り返した買春の卑劣手口 「タワマン&スポーツカー」のド派手ライフ
NEWSポストセブン
ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
生島ヒロシの次男・翔(写真左)が高橋一生にそっくりと話題に
《生島ヒロシは「“二生”だね」》次男・生島翔が高橋一生にそっくりと話題に 相撲観戦で間違われたことも、本人は直撃に「御結婚おめでとうございます!」 
NEWSポストセブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
綾瀬はるかが結婚に言及
綾瀬はるか 名著『愛するということ』を読み直し、「結婚って何なんでしょうね…」と呟く 思わぬ言葉に周囲ざわつく
女性セブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
やりたいことが見つかると周りがみえなくなるほど熱中するが熱しやすく冷めやすいことも明かした河合優実
大ブレイクの河合優実、ドラマ『RoOT/ルート』主演で感じる役柄との共通点「やりたいことが見つかると周りが見えなくほどのめり込む」
NEWSポストセブン