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サンデル教授 1人が死なないと全員が死ぬ状況で殺人は許されるか?

 自著『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)が40万部突破のベストセラーとなっているハーバード大学の政治学者・マイケル・サンデル教授(57)。同教授は、身近な例を出して「正義」とは何かを教える。そんな彼の講義の中にはこんな究極のテーマもあった。

「誰か1人が犠牲にならないと全員が死ぬ状況で、殺人は許されるのか?」

 状況はこうだ――19世紀、4人のイギリス人の船乗りが南大西洋沖を小さな救命ボートで漂流していた。食料はかぶの缶詰2個のみで、飲み水はない。食料が尽きると、雑用係の17才の少年・パーカーが体調を崩した。19日目を迎えたとき、船長はくじ引きで死ぬべき者を決めようと提案するが、乗組員ブルックの反対に遭う。しかし翌日、船長はパーカーを殺し、3人の男たちは少年の肉で命をつないだ。

 誰も殺されなかったら、4人全員がおそらく死んでいるにちがいない極限状態で、3人を救うために1人を殺すことは許されるのか? 講義では受講生からはこんな意見が出た。

「パーカーは殺さなくてもいずれ死んでいたはず」

「他の乗組員と違ってパーカーには妻子がいない」

「雑用係を殺すことで得られる利益はそのコストを本当に上回るか?」

 果たして皆さんはこのテーマ、どうお考えだろうか?

※女性セブン2010年10月14日号

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