国際情報

中国と北朝鮮は「仮面夫婦」をやめて正式に離婚へ向かう説

 ミサイルを飛ばそうが、核実験を強行しようが、さらには隣国を攻撃しようが、一貫して北朝鮮を擁護してきた中国。なぜここまでテロ国家を庇うのか。そしていま両国の間に何が起こっているのか。東京新聞記者の五味洋治氏が報告する。

 * * *
 2009年は、中朝蜜月に新たな展開を予感させた。10月、温首相は、平壌郊外の平安南道檜倉郡にある「中国人民志願軍烈士墓地」を訪れ、毛沢東の長男で、朝鮮戦争で死亡した毛岸英の墓参りをした。この墓地を中国の政府要人が訪問したのは、周恩来以来約50年ぶりだった。
 
 2010年5月と8月には金正日総書記が中国を訪問した。1年に2回の訪問は初めて。特に8月には、吉林省の省都、長春などを訪れ、父親の革命史跡をたどった。胡錦濤国家主席は、北朝鮮との友好維持を約束した。

 9月下旬の朝鮮労働党代表者会で、北朝鮮の新指導体制が固まったのを受け、中国は10月10日の朝鮮労働党創建65周年記念式典に、中国共産党序列9位の周永康・中央政治局常務委員を北朝鮮に送った。

 周はわざわざひな壇で金総書記と並び、笑みを振りまいて軍事パレードを一緒に観覧した。後継者に決まった三男の正恩と握手し、「両国は親密な同志関係であり、誠実な友である」とお世辞を言い「蜜月」を演出した。

 だが中国の本音は別のところにあった。ウィキリークスの機密公電の中に今度は実名で登場する。金正日が訪中する時、全行程をつきあう中国共産党の王家瑞対外連絡部長だ。王部長は昨年暮れ、バーンズ米国務次官(当時)に「北朝鮮の行動は常識が通用せず、予測不能だ」と吐き捨てるように言っていたというのだ。

 さらに中国は、三男正恩への権力継承や、ウラン濃縮の動きも正確に把握できていなかったことも公電で裏付けられた。中国は「駄々っ子」に最大限に気を使っているにもかかわらず、影響力は低下しており、苛立ちだけを募らせている。

 中朝は「仮面夫婦」の不自然な演技をやめて、正式に別れるべき時期を迎えている。

※SAPIO2011年1月6日号

関連記事

トピックス

森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン