国際情報

今後10年間、経済大国中国が握る「米国を黙らせるカード」

中国は“これまでの10年”で「経済大国」となった。そして、“次の10年”では「世界一」へのアプローチを辿ることになる。「サウス・チャイナモーニング・ポスト」紙の元記者で、天安門事件のスクープ報道で知られるウィリー・ラム国際教養大学教授が解説する。

* * * 
中国の金余りを示すデータは枚挙に暇がない。2010年の中国の個人資産総額は16兆5000億ドル(約1300兆円)で、2000年の3.5倍にも達し、米日独に次いで世界4位。すでにGDPでは2010年で日本を抜き、世界第2位となっている。

衝撃的だったのが、「中国が2020年には米国を抜いて世界一の経済大国になる」と指摘した、英スタンダード・チャータード銀行のレポートだ。さらに、中国の中央銀行、中国人民銀行の金融政策委員・■綱氏は「中国経済は今後30年間、高い成長を続ける」との見通しを明らかにしている。

中国政府は世界最大の外貨準備高を背景に、約8500億ドル(約70兆円)もの米国債を保有。世界に流通している米国債全体の5分の1弱を握っている。

中国が手持ちの米国債の10%でも一度に売ろうものなら、市場はパニックに陥り、米国経済に大きな打撃を与えかねない。このことは、経済回復がままならず支持率が急落しているオバマ大統領だけにとどまらず、今後10年、「オバマ以後」の米大統領が共有する致命的な弱点でもあり続ける。次期最高指導者、習氏は、その「米国を黙らせるカード」を手に入れるのだ。

■……「林」の間に「メ」を二つ、下に「大」の字。

翻訳・構成/相馬勝

※SAPIO2011年1月26 日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン