国内

大前研一氏 学生の質の低下に呆れる企業の声を3つ紹介する

厚生労働省と文部科学省の調査によれば、今春の大学卒業予定者の昨年12月1日時点の就職内定率は68.8%で、前年同期を 4.3%下回り、調査が始まった1996年以来で過去最低となった。昨年度は終盤に内定率が上がって最終的な就職率は91.8%になったわけだが、もしかすると今年度は80%に届かないかもしれない。大前研一氏が指摘する。

* * *
菅政権は卒業後3年以内の就職希望者を正規雇用した企業や正規雇用を前提にトライアル雇用を実施する企業に対する奨励金を創設したり、大学に配置している「キャリアカウンセラー」やハローワークに配置している「就職ジョブサポーター」を倍増したりしているが、おそらく焼け石に水だろう。

なぜなら日本企業は今年度の大学新卒者の採用予定人数を昨年度より40%ぐらい削減しているからだ。その最大の理由は景気が悪いことではない。企業が必要としている人間と今の日本の大学が作り出している人間が、完全にミスマッチになっていることである。

たとえば私が主宰する経営勉強会に参加している経営者たちは最近、異口同音に同じタイミングでこう言い始めた。

「我々が求めている人材なら何人でも採用したいが、応募してくるのは採用する気がしない学生ばかりだ」
「あのレベルの人間を採用して、うちの会社の将来があるとは思えない」
「だから今後は海外で採用するか、日本に来ている外国人留学生を採用したい」

すでにパナソニック、楽天、ファーストリテイリング、ローソンなどが外国人採用を拡大している(私自身がそうすべきだと叫んできた)が、そういう言葉を日本の経営者から一斉に聞いたのは、40年近くになる私の経営コンサルタント人生でも初めてのことだ。

今まで日本企業は、大学新卒者を採用し、給料を払いながら会社の戦力になるよう教育・養成してきた。この前提を疑ってかかった経営者はあまりいなかったと思う。しかし、今や日本の大学を前提としたグローバル化は不可能だ。従来通りの採用・教育システムでは、世界の変化に対応できなくなっている。

※SAPIO2011年2月9日・16日号

関連記事

トピックス

昨年は甲子園に出場した村田浩明監督だが…
【ブチギレ音声/「頭がおかしいんじゃねぇか!」】名門・横浜高校野球部の村田浩明監督 試合後、球児に怒号で現場騒然 ハラスメント行為かの問いに学校の見解は
週刊ポスト
ゆたぼん
ゆたぼん「中学校に登校宣言」と「父親ブロックで“親離れ”」YouTuberとしての未来はどうなるのか
NEWSポストセブン
“筆マメ”として知られる広末涼子(時事通信フォト)
『らんまん』松坂慶子の「1人2役」で“不倫騒動”広末涼子の再登場はなくなったのか
NEWSポストセブン
羽生結弦(写真は2022年)
【全文公開】羽生結弦を射止めた「社長令嬢のバイオリニスト」実家は“安倍元首相との太いパイプ”の華麗なる一族
女性セブン
真剣な面持ちで撮影に臨むタローマン
【「なんだこれは!」と言わせたい】「TAROMAN」仕掛け人が総括する「視聴者を惹きつけるクリエイティブ」【短期連載・てれびのスキマ「『フェイク』のつくりかた」】
NEWSポストセブン
フジ・宮司愛海アナ(右)と常田俊太郎氏
【全文公開】フジ・宮司愛海アナ、東大卒実業家兼音楽家と育んでいた半同棲愛 本人は「うふふふ」
週刊ポスト
『VIVANT』続編に中居正広起用の可能性も?(時事通信フォト)
『VIVANT』続編 サプライズ起用される大物俳優は誰か?「木村拓哉ではなく中居正広」説が急浮上
週刊ポスト
羽生結弦(AFP=時事)と末延さん
羽生結弦と結婚の末延麻裕子さんの関係は“憧れのプルシェンコ”にリンクする 「スケーターとバイオリニストの相性はいい」
NEWSポストセブン
推しの名が書かれたうちわを掲げておおはしゃぎ
【筋金入りの「スー女」】川口春奈、国技館で相撲観戦 推し力士「翔猿」の名前入りうちわを振って応援
女性セブン
滝沢秀明氏に告発
「滝沢秀明は強制的にキスをさせる」ジャニーズ性加害問題当事者の会代表が新たな疑惑を告発
女性セブン
野球に真摯に向き合う“似たもの同士”の2人(写真/共同通信社)
【大谷翔平とトラウト】富や名声にこだわらない“似た者同士”の2人 来季の去就にどう影響するのか
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 生涯「金持ち父さん母さん」でいる新常識ほか
「週刊ポスト」本日発売! 生涯「金持ち父さん母さん」でいる新常識ほか
NEWSポストセブン