国際情報

韓国の竹島支配 対処法は「なすがまま」「武力奪還」の二択

 日本が震災の混乱にある中、火事場泥棒的に「領土」を奪う動きがある。韓国が竹島の実効支配を強固にする動きを加速させているのだ。日本はなす術なく、ただ見守るしかないのか。ジャーナリスト・辺真一氏が解説する

 * * *
 2006年7月、韓国は日本が主張する排他的経済水域(EEZ)内に入り、海洋調査を行なった。国連海洋法条約では、他国のEEZ内における調査は事前通報が必要とされているが、韓国側からの通告はなされていなかった。

 そのため、日本側は巡視船で調査を即刻中止するよう求めたが、韓国の調査船はこれを無視して続行した。調査船には韓国海洋警察庁の警備艦が1隻並走、韓国側は警備艦に対して、日本と衝突が起きた場合、発砲も辞さずとの指令が出されていた。

 06年の時点での日韓の海軍力の差は歴然としていた。日本は世界で3位、韓国11位の実力であった。当時、安倍晋三氏が官房長官だったが、もし、日本が強硬な対抗措置をとっていたら、韓国の完敗に終わっていたはずだ。

 衝突は避けられた。しかし、韓国側はこのときから、竹島実効支配を強化するプロジェクトを進めてきたのである。

 そのために韓国はこの5年間、海軍力増強に努めてきた。 竹島から北西87kmの距離に位置する鬱陵島には2300t級の護衛艦を配置する。そして観光地で有名な済州島に海軍基地を建設。現在、済州島基地には独島級大型揚陸艦が配備され、最新型潜水艦が寄航できるよう整備している。その他、海軍力の増強はめざましいものがある。

 これら海軍力の整備は、北朝鮮に対処するものと思われがちであり、韓国もそれを理由に増強してきた。だが、決して対北朝鮮だけではない。竹島実効支配のため、周辺への機動力を備えるためでもあったのだ。

 韓国本土からの竹島の距離は、日本の本土・島根県からより遠い。そのため軍隊を派遣しても日本より到着が遅れてしまう。だが、鬱陵島からは87km、日本の隠岐から157kmだ。竹島周辺で有事が発生した場合、鬱陵島の基地からであれば、日本の自衛隊より俊敏に動くことができる。

 昨年11月、北朝鮮によって延坪島が砲撃されて以来、韓国海軍は頻繁に軍事演習を行なっている。北朝鮮の奇襲攻撃や島への上陸を阻止するための演習であることはいうまでもないが、それが、必然的に独島防衛にも役立っていることを見逃してはならない。つまり、韓国にとっては“一石二鳥”の演習なのである。

 いずれにしろ、竹島に海洋基地が創設されることで韓国による実効支配が強固なものとなる。そればかりか、韓国政府は、現在、海兵隊の駐屯も検討している。増強された軍備が日本に向けられる可能性がさらに高まってきた。

 日本にとっての対処法は、現実的に2つの選択しかない。韓国のなすがままにしておくか、さもなくば、イギリスとアルゼンチンのフォークランド紛争のように、日本が武力で奪還するかの二者択一だ。

 制裁措置で対抗する手も考えられなくない。「独島総合海洋科学基地」は現代建設と大宇建設が施工者となることが決まっている。北方領土でも同じような動きがあるが、日本の立場からすれば、日本の領土に入って行なう建設工事は主権侵害の何ものでもないからだ。

 さて、竹島問題に日本はどう対処するのだろうか。

※SAPIO2011年5月25日号

関連記事

トピックス

森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト