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2011.05.31 07:00  週刊ポスト

60歳原発作業員の死亡 人災だったと原発潜入ライターが報告

 福島第一原発の記事が氾濫しているが、記者自身が「中に入って」書かれた記事はいまだない。そんななか、ライターの鈴木智彦氏が、第一原発で作業員として働きながらレポートする。

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 原発での作業について、あちこちで盛んに暑い、暑いと報道されているのは、作業員にそれなりの装備が必要だからだ。たとえば溶接を担当すると、肌着が汚れないようまず布のつなぎを着込み、その上に防護服を着る。さらにその上から火花が飛んでも問題ないような作業着を着なければならない。手にはゴム手袋を二重にはめ、その上に革手袋をして、これに防毒マスクを被る。気軽に水分補給もできずマスクも外せないから、どうしたって熱中症になる。

 5月14日、原発事業に新規参入してきた不二代建設(福島県いわき市)で働く60歳の作業員が、電動ノコギリの搬送作業で死亡した。作業員が働いていた集中ラド(廃棄物処理施設)では、それぞれの階ごとに協力企業が違っており、2交代の24時間態勢で作業が行なわれている。

 昼夜の分担が平等になるよう、午前2時から14時、午前10時から22時までに分担され、それぞれが都合いい時間に作業をするシステムだ。事故前日、熱中症で倒れた作業員がいたのだから対策はとれたはずなのに、翌日の作業も合計4時間ほど行なわれた。

 過酷な作業のため他の業者は自己責任でマスクを外し、放射能より熱中症対策を優先していた。しかし、新規参入組には経験や知識がないため、過剰に放射能を恐れていたのかもしれない。この事故も起きるべくして起きた人災だろう。

 死亡事故が起きた以上、今後、長時間の勤務は敬遠され、炎天下の時間を選んで作業する業者もいないと推測される。となれば、いまよりいっそう作業のペースは落ちる。

※週刊ポスト2011年6月10日号

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