国際情報

日本の大震災に韓国人は内心「いいチャンス!」と喜んでいる

 スイカ、インク、自動車から原発や武器まで、韓国は今“東日本大震災特需”に沸いている。産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏が韓国の実態について解説する。

 * * *
 日本の大震災に韓国は内心、「いいチャンス!」と喜んでいる。大地震による日本の経済的打撃や日本人の意気消沈は、韓国にとって一大ビジネス・チャンスというわけだ。
 
 素材や部品などを日本に頼っていた韓国企業は一時、困ったが、今やそれを逆手にとっての“好機”論が優勢だ。

 たとえばこの夏、韓国ではスイカが高値で消費者は不満だが、原因は日本への輸出急増という。農家はホクホクだ。あるいは、筆者(黒田)のところには新聞用印刷インクの輸出打診などというのも来ている。

 スイカも印刷インクも日本は震災で供給不足、との情報が伝わっているからだ。

 自動車だって、日本企業が稼働中断で苦戦している中で、韓国車は国際市場でシェアを拡大している。米国市場では月間売り上げで日本車を抜く勢いだ。

 自動車部品でも「日本はもうあてにならない」とばかり、国際市場で日本に代わる韓国製部品の売り込みに精を出している。

 国際社会の現実は、お互い助け合いの「ウィン、ウィン」などといった口あたりのいい話より、食うか食われるかの「ゼロサム・ゲーム」の方なのだ。しかしこんなところはまだ可愛い。韓国が今、最も虎視眈々なのは原発輸出である。

 周知のように日本は福島原発事故で原発に腰が引けている。国際的な“脱原発ムード”から輸出にも力が入らない。今のところトルコあたりは日本の原発輸入に好意的というが、今後、「フクシマの悲劇」の影響は必至だ。

 一方、韓国は昨年、アラブ首長国連邦(UAE)へ史上初の原発輸出に成功している。大統領自ら足を運んで成約させた。ビジネスマン大統領・李明博の大手柄になった。これに味をしめた韓国は今、原発ビジネス拡大を国家目標に設定している。

 だから韓国にとって“フクシマ”は願ってもないチャンスなのだ。トルコでは巻き返す大逆転を狙っている。ベトナムでも日本に対抗し受注工作に懸命だ。

※SAPIO 2011年8月3日号


関連キーワード

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン