ライフ

ノーベル物理学賞の小柴博士 好きな先生に会う重要性を語る

近年、子供たちの理科離れが危惧されている。教育は国家の礎となる重要な要素だが、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊博士は、こうした状況をどのように捉えているのだろうか? 小柴氏は、自らの体験をこう振り返る。

* * *
子供時代に好きな先生に出会えるかどうかは、とても大切なことです。その点、僕は運がよかった。僕自身、今から振り返ってみて、中学時代に一番よかったと思ったことは、入学してすぐに担任になってくれた先生が、金子英夫という数学の先生だったことです。金子先生がとてもいい先生だったので、僕は数学が大好きになりました。

金子先生は、僕が病気で入院した時、アインシュタインとインフェルトの『物理学はいかに創られたか』という本を持ってきてくれました。中学生のレベルでは理解できない難しい内容だったけれど、大好きな金子先生からいただいた本なので一心不乱に読み、物理ってこんなことをやるんだという強い印象が残った。その時は物理学者になるとは思っていませんでしたが、今考えると、あの本から少なからず影響を受けていたと思っています。

そして大学に入学する直前に出会ったのが朝永振一郎先生でした。紹介状をもらって先生に初めて会った時、5分も経たないうちに、僕は先生が大好きになりました。先生の方も私のことを可愛い奴だと思ってくれたようで、以来、ずっと家族ぐるみの付き合いをさせていただきました。物理は直接習わなかったけれど、酒の飲み方から人生論まで、いろんなことを教えてもらいました。人間としてこれほど素敵な先生はいなかったですね。

大学院生の時、湯川秀樹先生の尽力で、アメリカのロチェスター大学が日本の留学生を2、3人受け入れることになりました。同大学は感度のいい写真乳剤を使って素粒子を調べる実験では、世界のトップクラスの実績がありました。僕の成績では留学するのは難しかったのですが、何としても行きたかった。

そこで朝永先生に相談したら「じゃあ、推薦状を書いてあげるよ。向こうへ行くと英語が大事だから、自分で英語で書いて持っておいで」とおっしゃった。

そこで僕は「この男は成績はそれほどよくないけれども、それほど馬鹿じゃない」というようなことを推薦状に書いて、先生のところに持っていったら、先生はニヤっと笑って「いいよ、サインしてあげるよ」と言って推薦状にサインしてくれました。ロチェスター大学に留学できたのは朝永先生のおかげだと思っています。

※SAPIO2012年1月11・18日号

トピックス

吉野家が異物混入を認め謝罪した(時事通信、右は吉野家提供)
《吉野家で異物混入》黄ばんだ“謎の白い物体”が湯呑みに付着、店員からは「湯呑みを取り上げられて…」運営元は事実を認めて「現物残っておらず原因特定に至らない」「衛生管理の徹底を実施する」と回答
NEWSポストセブン
大東さんが掃除をしていた王将本社ビル前の様子(写真/時事通信フォト
《「餃子の王将」社長射殺事件の初公判》無罪主張の田中幸雄被告は「大きなシノギもなかった」「陽気な性格」というエピソードも…「“決して”犯人ではありません」今後は黙秘貫くか
NEWSポストセブン
小磯の鼻を散策された上皇ご夫妻(2025年10月。読者提供)
美智子さまの大腿骨手術を担当した医師が収賄容疑で逮捕 家のローンは返済中、子供たちは私大医学部へ進学、それでもお金に困っている様子はなく…名医の隠された素顔
女性セブン
英放送局・BBCのスポーツキャスターであるエマ・ルイーズ・ジョーンズ(Instagramより)
《英・BBCキャスターの“穴のあいた恥ずかしい服”投稿》それでも「セクハラに毅然とした態度」で確固たる地位築く
NEWSポストセブン
北朝鮮の金正恩総書記(右)の後継候補とされる娘のジュエ氏(写真/朝鮮通信=時事)
北朝鮮・金正恩氏の後継候補である娘・ジュエ氏、漢字表記「主愛」が改名されている可能性を専門家が指摘 “革命の血統”の後継者として与えられる可能性が高い文字とは
週刊ポスト
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「箱わなで無差別に獲るなんて、クマの命を尊重しないやり方」北海道・知床で唱えられる“クマ保護”の主張 町によって価値観の違いも【揺れる現場ルポ】
週刊ポスト
火災発生後、室内から見たリアルな状況(FBより)
《やっと授かった乳児も犠牲に…》「“家”という名の煉獄に閉じ込められた」九死に一生を得た住民が回想する、絶望の光景【香港マンション火災】
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン