ソニーは、「ソニーらしさ」を持った人材を獲得するために重要な採用活動において、13年度採用はそれまでと大きく変えた。たとえば、卒業後3年以内であれば、「新卒採用」扱い。さらに採用対象に商品・サービス企画とソフトウェアエンジニアの採用コースも新設した。

また、“シューカツ≠スーツ”を打ち出した。これはネット上を中心に大きな話題となったが、同社広報センターの今田真実さんは、その意図を「お伝えしたいのは、服装だけでなくマニュアル的な考え方を払拭していただきたいということです。どんな思いで、どんな個性がある人なのか、というところを知りたい。そのきっかけとして、普段の自分らしい服装で来ていただければ、ということです。スーツが自分らしいのであればそれはその通りでも全く構いません。新卒で入ってくる方には『次のソニーを作っていきましょう』ということを伝えたいのです。同じことをやり続けていたら、会社って成長が止まるんですよ。ソニーという会社は新しいことにチャレンジする会社でありたいし、お客様もそうあって欲しいと期待していただいていると思う。そういったことをできる人材を採用したい」と語る。

かつて「ベンチャーの旗手」などと言われたソニーだが、現在の社員の平均年齢は41.0歳。決して若い会社ではなくなっているが、4月から社長が51歳の平井一夫氏に変わった。この影響について今田さんは「マネジメントも若返りますし、より、新しいチャレンジをしやすくなるでしょう。世代によってデジタルやネットワークサービスとの親和性には違いがある。、若いマネジメント層が牽引することで、より新しい発想でのビジネスモデルへの挑戦や意思決定のスピードが速くなります」と説明。

【ソニーらしい商品はデジタル双眼鏡と3Dヘッドマウントディスプレイに萌芽あり】

新体制でいかにしてソニーらしい商品を開発していくか。とかく「最近は目立った製品がない」などとメディアから批判されるソニーだが、同社広報センターの新中さつきさんが「ソニーらしい製品」として紹介したのがデジタル録画双眼鏡のDEV-3と3D対応ヘッドマウントディスプレイのHMZ-T1。

新中さんは「例えばDEV-3は、多くの利益を出す商品ではありませんが、ソニーが集中領域と位置付けるデジタルイメージングを体現する商品の一つで『ソニーらしい』といえるのでは。ソニーは技術もあり、映画や音楽、ゲームといったコンテンツも持っている、というユニークさがあります。そういったところからソニーにしかできない“何か”を出さなくてはいけません」と語る。

ソニーのデジタルイメージング技術については、放送局や映画用カメラ、スマートフォン、メディカルの分野でも使われるもの。DEV-3に搭載された裏面照射型のCMOSセンサーは暗い場所や室内でもキレイに撮れたり、カメラであればフラッシュなしでも撮影が可能だという。

「イメージャーの分野ではかなりリードしているという自負があります。そこはソニーが勝っていける一つの軸です」(今田さん)

HMZ-T1については、新中さんは3D技術の進化は相当進んでいると語る。

「3Dはソニーのメッセージとして打ち出しているものの一つで、。もちろん各社3D対応にしていますが、ソニーは撮るところから、或いは映画制作から入ることができます。3Dのサイトhttp://www.sony.co.jp/united/3D/?j-short=3d全ての世界をソニーは3Dにできるのですね。また、3D機能を搭載したからといって、各製品のサイズが大きくなることはありません。各種製品に“入っていて当然とは”いいませんが、スタンダードな機能として搭載されているとは言えると思います」

【“らしさ”はどうやって作るのか】

このようにみてくると、ホンダ、ソニーはともに「らしさ」復活のために始動をしているように感じられるが、人材コンサルタントの常見陽平氏は「らしさ」を守るためには、「やはり人材が重要」と語る。

「(採用については)ホンダは、大手にしてはかなり早くフェイスブック採用をやったり、ソニーも今年初頭の採用に関する宣言では“自由闊達な工場”といったにおいを感じさせるなど、がんばっている感はありますね。

ただ、人材を採用したうえで、彼らがそれぞれの“らしさ”を学びとっていくためには、ホンダは、ホンダらしさの再定義が必要で、やはり、CR-Zが登場した時みたいにワオ!と思えるクルマが必要です。ホンダらしさっていうのが何なのか、明確な宣言を聞きたいところです。

ソニーの場合は、逆の発想で、どうやったらこれまでのソニーのイメージをいい意味で裏切れるか、ということを必死に考えてみる。次のものを、いかにゼロベースで作れるかが重要だと思います。不振なテレビ事業を売却するのもアリでしょう。そういった大胆な発想で『らしさ』は取り戻されるのではないでしょうか」

関連キーワード

関連記事

トピックス

母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さんが第1子出産》小室圭さんが母・佳代さんから受け継ぐ“おふくろの味”は「マッシュポテト」 関係者が明かす“佳代さんの意外な料理歴”とは
NEWSポストセブン
打順もポジションも固定できずにいる(阿部慎之助監督)
巨人OB・広岡達朗氏、岡本和真の故障離脱は「アクシデントではなく阿部監督による人災です」 守備を固定できず失策数はリーグワーストに
週刊ポスト
太田房江氏
《参院選前に激震》太田房江・参院議員“選挙買収”工作疑惑で自民党本部に「調査するのか」を問うた 疑惑を証言した元代議士は「第三者委に聞かれたらすべて証言します」
週刊ポスト
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん明かす「バレーボール愛」と秘かに掲げていた「今年の目標」
NEWSポストセブン
西内まりやがSNSで芸能界引退を発表した(Aflo)
《電撃引退の真相》西内まりや、金銭トラブルの姉と“絶縁”していた…戸籍を抜き、母親とも別居に至った「深刻な事情」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《RYOKI・三山凌輝が活動休止》結婚予定の趣里、父・水谷豊は“何があっても様々な選択ができるよう”新会社設立の親心
NEWSポストセブン
6月は“毎年絶好調”というデータも(時事通信フォト)
《ホームラン量産モードの大谷翔平》6月は“毎年絶好調”で「月間20本塁打」もあるか? 見えてくる「年間60本塁打」昨季を超える異次元記録
週刊ポスト
秋篠宮と眞子さん夫妻の距離感は(左・宮内庁提供、右・女性セブン)
「悠仁さまの成年式延期」は出産控えた姉・眞子さんへの配慮だった可能性「9月開催で眞子さんの“初里帰り”&秋篠宮ご夫妻と“初孫”の対面実現も」
NEWSポストセブン
性的パーティーを主催していたと見られるコムズ被告(Getty Images)
《フリーク・オフ衝撃の実態》「全身常にピカピカに」コムズ被告が女性に命じた“5分おきの全身ベビーオイル塗り直し”、性的人身売買裁判の行方は
NEWSポストセブン
美智子さまが初ひ孫を抱くのはいつの日になるだろうか(左・JMPA。右・女性セブン)
【小室眞子さんが出産】美智子さまと上皇さまに初ひ孫を抱いてほしい…初孫として大きな愛を受けてきた眞子さんの思い
女性セブン
出産を間近に控える眞子さん
眞子さん&小室圭さんがしていた第1子誕生直前の “出産準備”「購入した新居はレンガ造りの一戸建て」「引っ越し前後にDIY用品をショッピング」
NEWSポストセブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《永野芽郁が見せた涙とファイティングポーズ》「まさか自分が報道されるなんて…」『キャスター』打ち上げではにかみながら誓った“女優継続スピーチ”
NEWSポストセブン
石川県を訪問された愛子さま(2025年5月18日、時事通信フォト)
《万博で“外国人突撃”が原因か》愛子さまフィーバーの裏で厳戒警備の異常事態
NEWSポストセブン