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土浦→秋葉原など連鎖する通り魔事件 犯人たちの共通項6つ

 大阪・東心斎橋通り魔事件(6月10日発生)で逮捕された礒飛京三容疑者(36)は、2人の命を奪った動機について、「自殺するつもりだったが死にきれなかった。人を殺せば死刑になると思って行きずりに人を刺した」と供述している。
 
 通り魔事件(無差別殺傷事件と未遂含む)は、2010年末までの10年間で67件起きている。

 古くは1966年、横浜市鶴見区で26歳の工員が通り魔に刺殺された事件は、映画『衝動殺人・息子よ』の題材となり、犯罪被害者給付金制度の成立に結びついた。1981年の深川通り魔殺人事件、1999年の池袋通り魔殺人事件など、犯罪史に残る凄惨な犯行は後を絶たない。
 
 土浦連続殺傷事件と秋葉原通り魔事件が起きた2008年は年間14件を記録しているが、2009年は4件、2010年が5件、2011年は6件だった。

 なかでも今回の事件は、その残忍さにおいて衝撃的だ。 警察関係者はこんな言い方をする。
 
「通り魔は非常にメッセージ性の強い犯罪ゆえ、ひとつ大きな事件が起きると連鎖する危険性がある。今後、これに触発されるような動きが出なければいいのだが……」

 既に今年に入って、1月には大阪市淀川区で35歳の女が小学生を切りつける事件があった。2月には東京・渋谷で70代の女が61歳の女性を刺した。

 5月には地下鉄渋谷駅構内でサバイバルナイフによる殺人未遂が起き、帯広市でも連続通り魔事件が起こっている。そして今回の事件。例年と比較してもその“ペース”は早いように見える。犯罪者心理に詳しい新潟青陵大学大学院の碓井真史教授が指摘する。

「大きな事件が発生すると、犯人の生い立ちや動機などが詳しく報じられます。たとえば社会への反抗心などに、“予備軍”が共鳴してしまうことはこれまでもありました」

 礒飛容疑者が誰の、どんな犯行に“感化”されたのかは本稿締め切り時点ではわかっていないが、附属池田小事件の宅間守元死刑囚は、公判のなかで、1999年の下関通り魔事件の“模倣犯”になりたかったと供述している。

 同事件は、犯人が駅構内にクルマで突っ込み、何人もの利用客を轢いた後、包丁で切りつけ、5人が死亡、10人が負傷した凄惨なものだった。

 この犯人は「事業に失敗し、何をやってもうまくいかないのは、両親と社会のせいだ」と自供した。そして、この犯人もまた、事件の3週間前に発生していた池袋通り魔事件(2人死亡、6人重軽傷)を意識したと供述していた。それだけではない。

 秋葉原事件の加藤智大被告が3か月前の土浦連続殺傷事件の金川真大死刑囚に強く影響されていたことはまだ記憶に新しい。そして加藤被告の存在、同被告が表明した劣等感や孤独は、2010年のマツダ本社工場連続殺傷事件の犯人を触発したとされる。

 歴史的に見ても、通り魔は連鎖する傾向が明らかなのだ。では、そうした犯人たちについて、共通項は見いだせるのか。

 京都大学非常勤講師で『無差別殺人の精神分析』の著書がある精神科医の片田珠美氏は、米国の犯罪学者ジャック・レヴィンとジェームズ・アラン・フォックスの研究に基づき、大量殺人を引き起こす要因として以下の6つを挙げた。

【1】長期間にわたる欲求不満
【2】他責的傾向
【3】破壊的な喪失
【4】外部からのきっかけ
【5】社会的、心理的な孤立
【6】大量破壊のための武器

「通り魔的な大量殺人の犯人の多くはまず自殺願望を抱いています。しかし併せ持っている他責的傾向が強いために、自殺願望が他者への攻撃衝動にすり変わる。“自分を蔑ろにした社会への復讐のための自殺”が無差別大量殺人へとつながっていくわけです」(片田氏)

※週刊ポスト2012年6月29日号

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