ロンドン五輪の戦い方を語る川澄奈穂美
7月27日にはいよいよロンドン五輪が開幕する。注目の女子サッカー「なでしこジャパン」のエース・川澄奈穂美選手(26)に話を聞いた――。
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なでしこジャパンはF組、開会式前に初戦カナダと戦う。その後にスウェーデン、南アフリカと続く――。
「カナダに関しては、クリスティン・シンクレアという決定力や攻撃センスがある選手がいます。これをどうやって封じるかでしょうね。初戦だし、私はかなり厳しい戦いになると思ってます。
スウェーデンも基本的には今回の遠征試合と同じ戦い方をしてくると思いますが、油断はできません。シェリン選手が攻撃の中心でしょう。
南アフリカは試合の映像を少し見ましたが、まだあまり情報はありません。私は楽な相手なんてないと思ってますし、どことあたっても厳しい戦いが求められるでしょうね」
この3か国やアメリカ以外の注目すべき代表を尋ねた。
「フランスです。細かくパスをつないできたり、ポゼッションサッカーなので、なでしことプレースタイルが似ています。とてもやりにくい相手だと思います。先日の女子チャンピオンズリーグ決勝、リヨン対フランクフルトを見ていても、フランス代表が多くいるリヨンのほうが結果以上の力の差があったと思います。
一本の縦パスで瞬時に試合の流れを変えていました。注目選手はMFネシブ、FWトミス、DFヴィギーでしょうか。特にネシブ選手は女性からみてもスッゴイ美人! 日本でもファンが増えるんじゃないでしょうか(笑い)。日本がF組1位抜けすれば順当に考えればG組2位にくるのはフランス、これは強敵ですよ」
成長めざましいフランスが、世界の女子サッカーの勢力図を変えるかもしれない。対するなでしこは、W杯の時よりどんな成長を遂げているのか。
「確実に成長を遂げていると思います。ナガ(永里優季・FW)のような海外組も目を見張るものがあるし、若手の台頭もすごい。フランスも長年の育成の結果だと聞いていますが日本も同じ。私はメンバーに選ばれたら、とにかく一試合一試合を全力以上で臨むつもりです。そして一番いい色のメダルを持って帰ってきます!」
決勝の地は「サッカーの聖地」ウェンブリースタジアム、そこでなでしこたちが戦っている姿を期待したい。
文■上野直彦(サッカージャーナリスト) 撮影■斉藤清貴
※週刊ポスト2012年7月13日号