太田房江・自民党参院副幹事長に“選挙買収”工作疑惑(時事通信フォト)
自身の“ヤミ献金問題”を追及されている石破茂・首相。7月の参院選では自民党は全国的に苦戦を強いられると予想されている。そんななか全国屈指の激戦区において次期参院選の最重要候補となる人物に“選挙買収”工作疑惑が持ち上がった。石破自民は、これも見て見ぬ振りをするつもりか──。【前後編の前編】
夏の参院選の注目選挙区が万博開催中の大阪だ。改選定数4を主要各党の候補8人が争う構図となる見込みの激戦区で、自民党は「絶対に落とせない重点選挙区」(選対幹部)と位置づけている。
ところが、公認候補選びが難航し、自民党では全国で唯一、候補者が決まらない選挙区だった。
5月12日、石破首相は幹部との会議で現職の参院議員である太田房江・参院副幹事長を公認する方針を決めたが、翌日に自民党大阪府連の青山繁晴・会長がSNSで「総裁の権限に基づく介入が、改革にプラスであるとは考えません」と反対を表明する異常事態に陥った。
何が起きているのか。
本誌・週刊ポストの現地取材で、公認問題がこじれた背後に、太田氏が地元議員たちに資金提供を持ちかける“買収工作”を展開し、強い反発を買っている疑惑が浮かび上がった。
大阪府連の実力者で、大阪府下の市議会議長経験者のA氏が証言する。
「2019年の参院選の前、府連関係の会合の後だったと思うが、地方議員仲間に誘われて5人で居酒屋みたいな店に食事に行った。俺は車で来てるからウーロン茶。さあ、食べ物の注文をしようかという時に太田房江が姿を見せて6人掛けのテーブルの俺の正面に座ったんです。
『お前、何しに来てん?』と聞いたら、太田は『××ちゃん(A氏のこと)、話があるの。選挙応援してよ。タダでとは言わないから』って、『200万円出すから』と言うんです。なめてんのか、と断わると、『じゃあ300万円』と。なんでそんな小銭で動くねんとまた断わると『じゃあ500万円』と太田が言った」
A氏はこう続ける。
「これ(資金提供の申し出)は、太田が俺に自分の選対に入ってほしいという意味(で言った)。当時、自民党には大阪から参院選に出る予定の政治家が太田の他にもう一人いたからね。
俺は最初からカネを受け取る気なんかなかったから、『俺の派閥には100人くらいの地方議員がおる。俺がみんなに5万円ずつ配って太田房江を頼む、という面倒くさいことをなんでせなあかんのか。どうしても応援してほしかったら1億円出せ』と啖呵を切って、こんな話が続くならもう帰ると言って同僚議員の一人と店を出た」
その年の参院選は自民党のもう一人の公認候補が大阪市長選に出馬し、参院選を辞退。太田氏は最下位の4位で当選した。