みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイ ブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある同氏が、“火葬料金”の全国格差について解説する。
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皇族の方もお使いになった火葬場、東京は新宿の落合斎場。上は17万7000円から、下は5万9000円まで、3ランクの火葬炉を取り揃えていた。
この最低料金5万円。17万円に比べれば“安い”ことは間違いないのだが、これってどうなんだろう? そこでまず東京23区の火葬場の最低料金を調べてみた。(下記データA参照)
落合斎場を含めた、資料の一番上の6つの斎場は東京博善という民間会社が経営していて、その下の戸田葬祭場も民間。そして残りが公営である。
臨海斎場だけがやけに安いが、この火葬場は、港、品川、目黒、大田、世田谷の5区が共同で運営しているため、その5区の住民以外はこの料金では使えず、いきなり7万円になる。東京23区で火葬をする場合、おおむね約6万円というのが相場ってもんなのだろう。
しかし、この相場は、全国の火葬料金と比べた時、相場でもなんでもないことが発覚した! ありがたいことに、ポスト編集部が、全国いくつかの都市の火葬料金を調べてくれた。とにかく資料を見てほしい!(下記データB参照)
もちろん、その都市の住民が火葬される場合の料金で、他市民が使う時は一気に跳ね上がるのだが、とにかく愕然である。まいったとしかいいようがない!
東京都の相場だと思いこんでいた5万9000円という料金は断トツに高い! 実は、東京のように民間火葬場が主流の地域は全国的にもレアケース。それは歴史的背景や、東京の土地も少ないという地理的特性からしょうがないし、民営が高額というのもしょうがない。
でも福祉でしょ、火葬って。それも誰もが絶対に最後は受けることが決定している究極の福祉じゃないですか? ならば施設は民間主流でも、都なり区なりが補助をだして、我々住民の負担は他都市と同じくらいにしてくれたっていいんじゃないかと思うんだけどな~。
【データA】23区火葬場料金表
民間:東京博善経営6斎場
(町屋、落合、代々幡、四ツ木、桐ヶ谷、堀之内) 59,000円より
民間:戸田葬祭場(市民葬/区民葬料金) 59,000円より、53,000円
公営:端江葬儀場 54,600円
公営:臨海斎場 23,000円
【データB】全国主要都市火葬場
札幌市(2施設) 無料
仙台市(1施設) 9,000円
千葉市(1施設) 6,000円
さいたま市(1施設) 7,000円
名古屋市(1施設) 5,000円
京都市(1施設) 15,000円
大阪市(5施設) 10,000円
広島市(5施設) 8,200円
高松市(4施設) 20,000円
福岡市(2施設) 20,000円
※週刊ポスト2012年7月20・27日号