ライフ

網膜中心静脈閉塞症 視力0.1以下になり放置すると回復難しい

 網膜は眼球の内側に張り巡らされた厚さ0.1~0.4ミリの10層の膜で、光や色の光情報を電気信号に変え、視神経を通して脳へ伝える働きをしている。網膜への血流は視神経内に動脈や静脈が通り供給されている。

 一番太い網膜静脈が詰まり血液が流れなくなるのが網膜中心静脈閉塞症(CRVO)だ。症状は片目がかすんで見えにくくなるが、中心(黄斑部)から離れている静脈が詰まる分枝閉塞では、視力低下やかすみに本人が気づかず健康診断で発見されることも多い。

 杏林大学医学部附属病院アイセンターの井上真准教授に話を聞いた。

「CRVOは若い女性に多い炎症で起こるタイプと、高血圧の中高年に多いタイプがあります。中高年のタイプは高血圧や動脈硬化など生活習慣病を併発していることが多く、虚血がひどく視力が回復しにくい傾向があります」

 診断は眼底検査で出血の有無を見る。網膜中心静脈が詰まると網膜のすべての静脈血が眼球外に流れ出ないため毛細血管から網膜全体に出血する。血液成分が漏れ出し浮腫も起こる。物を見る9割以上の機能を担うといわれる網膜中心の黄斑部に出血や浮腫があると視力が急に低下する。閉塞の程度が軽症である非虚血型は症状も軽く、症例によっては自然治癒もある。完全に閉塞する虚血型は、視力が0.1以下となり、一度視力が低下すると回復が難しい。

 全身的に動脈硬化があり、血栓を起こしやすく血圧が高い人は50歳以上で発症リスクが高まる。ストレスを避けることが予防の第一だ。早期発見が重要なので、ときおり片目で見て、視野がかすんだり物が見にくい場合は専門医の受診が欠かせない。

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2012年8月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン