ライフ

宮台真司氏 H写真投稿が活発になった結果何が起こったか解説

 素人によるH写真の投稿は、雑誌への投稿だけでなく、近年はSNSなどネットへの投稿も盛んになっている。この現象について、「援助交際」を研究・発表して脚光を浴びた社会学者・宮台真司氏はどう考えるか。

 * * *
 素人投稿にも男と女それぞれに歴史があります。 まず1980年代に『荒木経惟の偽ルポルタージュ』(1980年、白夜書房)や『アクション・カメラ術』(1981年、KKベストセラーズ)などに触発された世の男性が、同時多発的にハメ撮りをするようになり、その写真を雑誌に投稿するようになりました。
 
 当時は女性がナンパ慣れをしていなかったために、男性にはまず女性を口説く苦労があり、ナンパに成功したとしても撮影に臨む女性がどう応じればいいのか分かっておらず、撮影者と被写体の関係も不安定で未規定でした。それゆえ投稿雑誌に掲載されるハメ撮り写真には得体の知れない面白さがあった。ハメ撮りのプロセスが非常にチャレンジングでしたから、その緊迫感が写真にも表われていたのです。
 
 そして1986年に佐々木教氏の『早い話がナンパの本』(ロングセラーズ)という本が発売されると、「ナンパ」「ハメ撮り」という言葉がより一般化された。男性にも女性にもハメ撮りに対する免疫ができて、ポラロイドカメラなどを使ってハメ撮りをするパンピー(一般人)がものすごく増えた。同時期にはアダルトグッズ販売機が路上に置かれるようになり、縛りや目隠しやバイブ、複数プレイといったようにセックスがどんどんエスカレートしていったわけです。それに比例して写真投稿も過激なものになっていきました。
 
 一方、女子による投稿の歴史は男子より古く、戦前創刊の『婦人公論』などに夫婦や性の悩みを投稿する文化が根強くありました。
 
 しかし、1990年代に流行する『egg』(1995年創刊、大洋図書)のようなティーンズ誌やギャル雑誌への性体験投稿は別の流れを汲んでいます。1980年代後半から日本の女子高生の性体験率はめまぐるしく高まっていきましたが、反面、日本の男子は性的な社交術、ホスピタリティに乏しい。次第に女子はありきたりにラブホテルに行き、フラットで盛り上がりに欠けるセックスに飽き飽きし、だからこそそれら雑誌に性の不満をぶつけ、「お金をもらわないとセックスなんてやっていられない」と援助交際に走ったわけです。
 
 そして2000年代に入り男女の投稿の歴史が交錯する。インターネットが普及したことによって、男性も女性もブログやSNSにハメ撮り画像や文章を投稿するようになりました。男子はこれほどの上玉を落としたんだと戦利品を誇示するようにハメ撮り画像を投稿し、コメント欄で第三者に褒めてもらうことに快感を覚えるようになった。一方の女子は自分にもっともっとかまってもらいたくて、ツイッターなどのSNSに私生活を晒け出すようになりました。
 
 一概に素人投稿といっても、その始まりと現在では大きく性格や形態が異なるし、男女の目的も違います。投稿には時代性が投影されるわけですが、ハメ撮りがエスカレートし、露出もより過激になっているからといって、性的な営みが豊かになっているわけではない。むしろ稀薄になるばかりでしょう。相変わらず男子は一時の快楽を求めるばかりで、そんな男子に女子は辟易している。
 
 これは投稿文化が引き起こした害悪かもしれません。性の豊かさを取り戻すには、今一度、異性の快楽を自らの快楽と感じられるような、シンクロ率(同調性)の高いセックスを心がけることだと思います。

※週刊ポスト2012年8月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
受賞者のうち、一際注目を集めたのがシドニー・スウィーニー(インスタグラムより)
「使用済みのお風呂の水を使った商品を販売」アメリカ人気若手女優(28)、レッドカーペットで“丸出し姿”に賛否集まる 「汚い男子たち」に呼びかける広告で注目
NEWSポストセブン
新関脇・安青錦にインタビュー
【独占告白】ウクライナ出身の新関脇・安青錦、大関昇進に意欲満々「三賞では満足はしていない。全部勝てば優勝できる」 若隆景の取り口を参考にさらなる高みへ
週刊ポスト
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
《出所後の“激痩せ姿”を目撃》芸能活動再開の俳優・新井浩文、仮出所後に明かした“復帰への覚悟”「ウチも性格上、ぱぁーっと言いたいタイプなんですけど」
NEWSポストセブン
”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン