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【同業者が選ぶゴッドハンド医師:心臓編】難手術600回経験

 自分が病いを患っても、あるいは家族が病気にかかっても、最高の医師にめぐり会いたいというのが誰しもの本音だ。しかし、医療の素人には誰が名医であるかの情報は極めて乏しい。「神の手(ゴッドハンド)」を持つ天才外科医は誰なのか。それを知るのは、同業者である外科医だけなのである。今回は【心臓外科医】について聞いた。

 執刀医の手術の技量が最も問われるのが心臓外科医だ。代表的な冠動脈バイパス手術は、心臓の表面にある冠状動脈の根本の血管に別の血管をつなげて血流を改善する手術だが、直径2ミリの血管をつなぐ技術は職人技といわれる。

「どんな細かい血管でもバイパスを繋げる技術の持ち主と評判なのが東京ハートセンターの南淵明宏先生です。天皇陛下の心臓手術の執刀をした天野篤先生も“流れるように美しい手術をする”と絶賛しているほど」(都内大学病院の心臓外科医)

 バイパス手術は中高年男性の突然死の多くを占める狭心症や心筋梗塞の治療として行なわれるが、南淵医師の独壇場といわれているのが、「小切開冠状動脈バイパス手術=midCABG(ミッドキャブ)」。

 わずか8センチ程度の切開により、冠状動脈で一番重要な左前下行枝という部分にバイパスを縫い付ける低侵襲(痛みや出血などが少ない)手術だ。小さな傷口から心臓が動いたまま行なうため、難しい手術とされる。南淵医師は、この難手術を16年間で600件近く行なっている。

「手術は2時間程度で終了します。患者さんにとっては安全で輸血も必要ない手術ですが、外科医にとってはリスクのある難しい手術で、やっている人は少ないと思います」(南淵医師)

 その南淵医師が尊敬する名医の一人が岡山大学医学部血管外科の佐野俊二教授だ。小児心臓外科医として世界的に知られ、他の病院で見放された患者を数多く救ってきた。若い時から国内外で修業を積み、特にメルボルン小児病院では世界的に名高い心臓外科医について師事し、毎日4例の心臓手術を3~4時間で次々とこなしていたという。

※週刊ポスト2012年9月14日号

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