国内

地域独占の既得権を持つ電力会社は経団連にとって特別な存在

 大阪維新の会が掲げる「脱原発依存体制の構築」は、日本経済団体連合会(経団連)の虎の尾を踏んだ。

「負けたと言われても仕方がない」

 6月、関西電力大飯原発(福井県)3、4号機の再稼働を巡り、反対を唱えながら政府の稼働方針を覆せなかったことについて問われた橋下市長は、こう弁解した。

 あれから3か月余。大阪府と大阪市は大飯原発の停止を政府と関電に求める緊急声明をまとめた。夏季の節電期間が終了したことで、電力供給に余裕ができ、多くの国民が原発ゼロを目指しているというのが理由だ。

 こうした橋下市長らの主張に真っ向から異議を唱えているのが経団連である。米倉弘昌会長(住友化学会長)は、

「電力は国民生活のインフラだ。人気取りの政治ではなく、国民生活を考えて経済活動を確保する判断をしてほしい」

 と原発再稼働に慎重な橋下市長ら地元自治体の首長の動きにクギを刺したのは記憶に新しい。

『徹底検証 日本の財界』(七つ森書館刊)などの著作がある会社学研究家の奥村宏氏によれば、東京電力を頂点とする電力会社は経団連にとって特別な存在なのだという。

「電力会社に逆風が吹いているが、それでも地域独占、発送電一体という既得権益を持っているため、その影響力は無視できない。米倉会長が東電国有化に反対するなど、同社を擁護する発言を繰り返しているのも、その表われだ」

 ジャーナリストの須田慎一郎氏もこう指摘する。

「経団連に加盟している企業の多くは、機械の納入や工事の受注など何らかの形で電力会社と取引がある。地域独占でライバルがいない電力会社は、一般家庭から吸い上げた潤沢な利益があるから高値で取引してくれた。経団連はこの“財布”を死守するだろう」

※SAPIO2012年10月3・10日号

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