国内

薄毛不安で出世捨てる若者 「ポジハゲはエリートの証」と識者

 男性の「薄毛」に対する悩みは、年々、根深くなっているようだ。近ごろ大正製薬が薄毛不安を抱える20代~50代男性600人に意識調査を行ったところ、やはりネガティブイメージが先行する結果となった。

■薄毛になることは大問題/43.0%
■出世しなくてもいいから、薄毛にはなりたくない/42.2%
■薄毛は恥ずかしい/74.0%(4人中3人)
■薄毛であるだけで人生損をすると思う/76.0%

 いずれの調査結果も対象者すべての平均値で、若者だけを抽出してみると数値はさらに高くなる。20代男性で「薄毛は恥ずかしい」と答えた人は85.3%、「薄毛であるだけで人生損をすると思う」に至っては実に88.0%にのぼった。

 中には、そこまでウジウジと神経質にならなくても……と、明るくポジティブな薄毛男性もいるはずだが、どうやらそれも昔の価値観らしい。昭和大学准教授で著書に『ハゲを生きる~外見と男らしさの社会学』がある社会学者の須長史生氏の指摘。

「気にしなければいいじゃないかと考える“ポジハゲ”の人は、仕事が人一倍できるとか、スポーツ万能とか、『ハゲ』を補うに充分なソースがあるエリートです。もちろん、仕事もスポーツも頑張って、そんな偏見を努力と根性で吹き飛ばせばいいのですが、今どきの若者は暑苦しく克服するよりも、日常でからかわれたりしないように振る舞うことのほうが大切なんです」

 薄毛が「からかい」の格好の材料になっている現象は、若者を取り巻く社会的背景とも大いに関係がある。

「プライベートでも職場でも、ますますコミュニケーションが希薄になる中、表面的に褒め合う『やさしい間柄』を築き、何となく友達っぽい人間関係を維持する傾向があります。その際、太っていたり薄毛だったりという外見は、からかわれやすい。そんなターゲットにされて傷つきたくないのが若者のホンネなのでしょう」(須長氏)

 入社3年前後の社員の約4割が「出世したくない」とのデータが出るなど、内向き志向の若者たちの生態は批判の的にもなっている。具体的な仕事の成功は二の次で、個人の人間関係を優先したい気持ちが、ついには薄毛へのコンプレックスをも高めてしまったのだろうか。

 しかし、落胆するのはまだ早い。冒頭の大正製薬の調査には続きがある。20代~30代の独身女性300名にも同様のアンケートを行い、男性の薄毛をどう思っているのかを聞いている。その結果、「(男性の)薄毛は恥ずかしくない」と答えた女性は3人中1人の36.0%、出世の項目ではわずか28.3%だった。つまり、男性が気に病むほど女性の視線は厳しくないのだ。

「いまだに『ハゲると女性にモテない』と信じ込まれているようですが、直接的に『ハゲ』を理由に女性から何か言われたり、フラられたりといった話は少ないはずです。要するに、『ハゲ』を批判するための理由づけとして女性の目というフィクションが利用されているに過ぎないのです」(須長氏)

 多くの薄毛男性をインタビューしてきた須長氏だけに、経験則に裏打ちされたコメントは心強い。最後にこんなメッセージも残してくれた。

「ありのままの自分を否定されるくらいなら、人生も頑張りたくない――。こんな守り一辺倒の姿勢はツライでしょう。他人にからかわれて傷つきたくないという気持ちも分かりますが、多少、傷つけ合ったりからかい合ったりしながら、サバけた人間関係を築いていけば、『ハゲ』は必ずマイナスのラベルではなくなります」

関連記事

トピックス

映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
日本初となる薬局で買える大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」
日本上陸の内臓脂肪減少薬「アライ」 脂肪分解酵素の働きを抑制、摂取した脂肪の約25%が体内に吸収されず、代わりに体内の脂肪を消費
週刊ポスト
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本製鉄によるUSスチールの買収計画
【日本製鉄のUSスチール買収問題】バイデンもトランプも否定的だが「選挙中の発言に一喜一憂すべきではない」元経産官僚が読み解く
NEWSポストセブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン