国内

石原慎太郎氏と櫻井よしこ氏7年振り対談 前回は尖閣語った

 国家の最大の使命は、国民の生命と財産を守ることである。が、今の「日本」はその役割を果たしているだろうか。国土を守り、国家の未来を作っていく責任とは何か。新しい日本に生まれ変わるために何が必要なのか。国を憂う石原慎太郎氏と櫻井よしこ氏が、語り合った。

 * * *
櫻井:石原さんとの雑誌での対談は7年ぶりですが、前回の大きなテーマが「尖閣諸島をいかに守るか」でした。つまり日本はこの間、国家として何も手を打ってこなかったということです。石原さんは当時から強い危機感を持っていましたね。

石原:いやいや、青嵐会(*注1)の頃からですから、もう30年以上になります。青嵐会で資金を集めて、大学の冒険部の学生有志に依頼して魚釣島に小さな灯台を作ってもらった。その後、日本青年社が本格的な灯台を作ってくれたんですが、運輸省の水路部に視察させて海図に正式に記載しようとしたら、外務省が「時期尚早」と言って横やりを入れてきた。いったい何が時期尚早なのか、わけがわからなかったね。結局、そのまま20年以上も放置されたんです。

櫻井:野田佳彦首相は尖閣国有化の理由を「平穏かつ安定的な維持管理を継続する」ためだと述べましたが、安定的どころか、中国は圧力を強めてくるばかりです。国有化の際には、船溜まりと灯台を設置するという石原さんの要求を野田首相が呑んだのではなかったのですか?

石原:いや、呑んでなかった。僕は野田君には、本格的な港でなくても、緊急時に逃げ込める船溜まりを作ればいいんだからと言ったんです。実際に石垣島などの漁業者たちは困っていますからね。しかし、野田君は結局何もしない。

櫻井:野田首相はやるつもりだったのに、岡田克也副総理と玄葉光一郎外相以下外務官僚が「中国を刺激する」と言ってブレーキをかけたと聞いています。岡田氏などはこれが財界の総意だとして強力に働きかけたそうですが、なぜそこまで中国を恐れるのでしょうか。

石原:1987年に柳谷謙介外務事務次官がトウ小平を評して、偉い人だから情報が通じにくいという意味で「雲の上の人」と言ったら、それはシナ語ではボケた人間って意味でね。中国側から抗議があって次官を降ろされた。あの頃から、外務省でシナの問題がタブーになった気がしますね。

櫻井:外務省はどこの国の役所なのかと思います。例えば北京の日本大使館の建築確認と引き換えに、新潟市と名古屋市の領事館用の土地の便宜を図るとの口上書(*注2)を出す。領土を守るどころか中国に国土を売り渡そうとするのですから。

 中国の顔色をうかがって国益を損なってきた外務官僚の罪は重い。官僚をコントロールすべき政治家も含めて、誰も「国土」と「国民」を守るという国家の責任を果たそうとしていません。

*注1/1973年、自民党で派閥横断的に結成された議員31名からなる政策集団。「自由社会を守り、外交は自由主義国家群との緊密なる連携を堅持する」などの趣意を掲げ、石原氏が幹事長を務めた。

*注2/2011年7月に完成した北京の日本大使館をめぐり、中国側は「申請にない増築があった」として使用を認めなかった。この際、中国が取得を希望している新潟市と名古屋市の総領事館用の土地について、当時の丹羽宇一郎・中国大使が「中国総領事館移転に際し、国際法及び国内法に則った上で対処する」旨の口上書を中国側に渡した問題。新潟では実際に中国により5000坪もの土地が買収された。

※SAPIO2013年1月号

トピックス

二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
4月3日にデビュー40周年を迎えた荻野目洋子
【デビュー40周年】荻野目洋子 『ダンシング・ヒーロー』再ヒットのきっかけ“バブリーダンス”への感謝「幅広い世代の方と繋がることができた」
週刊ポスト
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン