国内

“強い社畜”はコピー取りでも成長し、宴会芸で出世の道掴む

 企業を信用しなくなった若い世代は組織で働くことを忌避し、日々の仕事に汗する勤め人を「社畜」と馬鹿にする。しかし、人材コンサルタントの常見陽平氏はあえて今、自分が主役でないことを受け入れた上で強い社畜になることが、厳しい時代を勝ち残る術だと喝破する。

  * * *
 実は強い社畜こそ変化の激しい現代を生き残る可能性が最も高い生き方だが、そうなるのは簡単ではない。

 私はよく「会社や社会は普通の人で動いている」と話す。「自分は特別な存在ではない」と認識し、脇役たる自分を認めることが強い社畜への第一歩となる。特に若手のうちは、会社の中でやらされる“普通の仕事”に成長のためのヒントが数多くある。能動的に動けば、その中に学ぶチャンスが随所にある。

 例えば「コピー取り」がそうだ。「会議があるから××部コピーしておいて」と上司に言われた時、その資料がどんな会議で使われ、誰が参加し、何がそこで決められるのかで、コピーの取り方は変わってくる。

 顧客が見るならカラーがいいのではないか、比較検討する資料ならステープルよりもクリップで綴じたほうがいいのではないか、など工夫の余地はいくらでもある。「見る人はどう思うか」をとことん考えるのはプレゼンテーションの基本である。私はこうした仕事を「創造的ルーチンワーク」と呼んでいる。

 皆が嫌がる宴会芸だってバカにしたものではない。私は以前、所属した会社でたくさん宴会芸をやらされた。その宴会には課長までしか参加しないのか、役員がいるのかで笑いの取れる芸は変わってくる。若手のうちは自分より年上の人間が社会の大半を占める。年長者の好みを知ることは人脈作りの基本だ。

 また、そこで活躍することで人脈も作れる。社内で異動希望先の上司が私の宴会芸を見ていたおかげで、私の存在が「なかなか面白い奴」と認識されるきっかけとなり、異動が決まったこともあった。

 歓送迎会やお花見の幹事を任された時は、チャンスと考える。限られたコストで、誰が主賓かをわきまえた上で、みんなを喜ばせることを考える。会場やプログラムについてあらかじめ主要な参加者の了承を取る根回しも必要だろう。課題をクリアしてエンドユーザーや取引先を喜ばせるためのトレーニングになる。これぞ顧客志向ではないか。

 こうした仕事で「失敗が許される」のは若手の特権だ。失敗を許容されつつ成長するための訓練を積めるのだ。

 上司と飲みに行くことを嫌がる人は多いが、頼りにされて嫌な上司はいない。飲みに行って相談をした翌朝は、一番にお礼を言いに行く。その後、その件がどう推移したかを報告すればなおよい。

 情報を受け取る人の気持ちを考えること、人脈を構築する方法、根回しの重要性、目上の人に可愛がられるにはどうすればいいか社畜として学べることはたくさんある。

※SAPIO2013年2月号

関連記事

トピックス

真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン