ビジネス

【ドル円週間見通し】物価上昇率目標の達成手段に注目集まる

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、1月21日~1月26日のドル・円相場の見通しを解説する。

 * * *
 今週のドル・円は、21~22日の日本銀行金融政策決定会合で設定されると予想されている物価上昇率目標(インフレターゲット)+2.0%の達成手段に注目する展開となる。達成手段がポジティブ・サプライズならば、続伸が予想され、織り込み済みでネガティブ・サプライズならば反落が予想される。

 ドル・円が続伸した場合、本邦輸入企業による輸入予約の前倒し、本邦輸出企業による輸出予約の買戻し、本邦機関投資家による仕組み債絡みの円高ヘッジポジションの手仕舞い、海外投資家の日本株投資(円買い)の円売りヘッジなどに警戒する展開となる。

【日本銀行金融政策決定会合】(21~22日)
 日本銀行金融政策決定会合では、物価上昇率目標(インフレターゲット)+2.0%が設定されることは織り込み済みで、達成手段を注目する展開となる。

・資産買入れ等基金の増額:10兆~20兆円
・超過準備対する付利金利:撤廃か引き下げ(0.05%)
・買い入れ国債の年限:5年程度へ長期化
・無期限・無制限緩和:資産買入れをオープンエンド化し、月次の国債買入れ額を示す

 ドル・円は、ポジティブ・サプライズならば続伸、ネガティブ・サプライズならば85
円付近までの反落が予想される。

【麻生シーリングと石破レンジ(85~90円)に要警戒】
 麻生財務相は、昨年末に「為替介入、投機的な円高・円安進行時に実施しないとは言わない」と述べた。石破幹事長は「1ドル=85円から90円の水準に抑えることが望ましい」と述べた。ドル・円が、投機筋主導で続伸した場合、本邦通貨当局による「過度な変動」を抑制するための円安抑制発言、円買い介入が実施される可能性があることで要警戒となる。

【オプションの攻防】
 ドル・円の90円台には、アジア中銀のダブルノータッチ・オプション(86円75銭-90円75銭)が控えており、防戦売りが上値を抑える展開が予想される。

【米国債務上限引き上げ協議】
 米国の連邦債務上限は16兆3940億ドルであり、2012年12月末時点で到達している。米政府運営費の調達方法が2月下旬から3月にかけて尽きるとの観測が浮上しており、債務上限が引き上げられなければ、米国債のデフォルト(債務不履行)懸念、格下げ懸念が高まり、ドル売り要因となる。

【テクニカル分析】
 ドル・円は、75円32銭を頭とする「逆ヘッド&ショルダーズ」が完成しており、目標値92円50銭処が点灯している。

 2013年1月21日~25日に発表される主要経済指標のポイントは次の通り。

○(米)12月中古住宅販売件数 -- 1月22日(火)日本時間23日午前0時発表
・予想は、510万戸
 先行指標の中古住宅販売成約は、11月が前月比+1.7%。販売件数は主に1、2ヵ月前の成約の数字が反映される。10月、11月の販売成約件数は増加していることから、市場コンセンサスは妥当な水準か。

○(日)12月貿易収支 -- 1月24日(木)午前8時50分発表
・予想は、-5284億円
 既公表の12月上中旬の貿易収支は7514億円の赤字。前年同期との比較では貿易赤字幅が拡大している。輸出の大幅な増加は当面期待できない状況だけに、12月の貿易赤字額は11月の9534億円(速報値)を下回るとしても、市場予想をやや上回る可能性がある。

○(米)12月景気先行指標総合指数 -- 1月24日(木)日本時間25日午前0時発表
・予想は、+0.3%
 雇用情勢の改善、住宅市場の回復はプラス材料だが、12月のS&P500種株価指数は軟調気味に推移しており、マイナス要因。マネーサプライは増加を続けており、プラス要因となる。前月比では上昇する公算が大きい。

○(米)12月新築住宅販売件数 -- 1月25日(金)日本時間26日午前0時発表
・予想は38.2万戸
 参考指標の住宅建設業者(NAHB)指数は12月47←11月46と上昇し、プラス要因。住宅ローン金利(30年物固定金利)は3.32%から3.37%で推移し、おおむね横ばい。新規購入向け住宅ローン申請指数は11月末の水準を下回っており、マイナス要因。市場コンセンサスをやや下回る可能性がある。

 主な予定は、22日(火):(米)12月シカゴ連銀全米活動指数、23日(水):(米)11月住宅価格指数、25日(金):(日)12月全国消費者物価指数。

【予想レンジ】
・ドル・円87円00銭~92円00銭

関連記事

トピックス

太田房江・自民党参院副幹事長に“選挙買収”工作疑惑(時事通信フォト)
【激震スクープ】太田房江・自民党参院副幹事長に“選挙買収”工作疑惑 大阪府下の元市議会議長が証言「“500万円を渡す”と言われ、後に20万円受け取った」
週刊ポスト
2024年5月韓国人ブローカー2人による組織的な売春斡旋の実態が明らかに
韓国ブローカーが日本女性を売買春サイト『列島の少女たち』で大規模斡旋「“清純”“従順”で人気が高い」「半年で80人以上、有名セクシー女優も」《韓国紙が哀れみ》
NEWSポストセブン
村上信五とマツコ・デラックス
《不適切編集謝罪も街頭インタビュー継続》『月曜から夜ふかし』は存続できるのか? 問われる根本的な問題「一般人を笑い者にする演出」「笑いの手数を追求するスタッフのプレッシャー」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
フィリピン人女性監督が描いた「日本人の孤独死」、主演はリリー・フランキー(©︎「Diamonds in the Sand」Film Partners)
なぜ「孤独死」は日本で起こるのか? フィリピン人女性監督が問いかける日本人的な「仕事中心の価値観」
NEWSポストセブン
timelesz加入後、爆発的な人気を誇る寺西拓人
「ミュージカルの王子様なのです」timelesz・寺西拓人の魅力とこれまでの歩み 山田美保子さんが“追い続けた12年”を振り返る
女性セブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《私が撮られてしまい…》永野芽郁がドラマ『キャスター』打ち上げで“自虐スピーチ”、自ら会場を和ませる一幕も【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
NEWSポストセブン