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朝日記者が中国外相会見で「釣魚島」と発言 見識疑うと識者

 中国の楊潔チ外相(当時)が尖閣問題について日本を挑発した全人代(全国人民代表大会)の記者会見場で、産経新聞と朝日新聞による“バトル”が勃発した。

 ケンカを売ったのは産経だ。3月10日付に〈朝日記者 尖閣を中国名で質問 自国呼称が一般的なのに……〉と題した記事を載せた。

〈9日の中国外相会見で朝日新聞中国総局の記者が沖縄県・尖閣諸島について、「中日間の釣魚島問題での対峙は半年に及ぶ」などと、2度にわたって中国名である「釣魚島」という表現を使って中国語で質問した〉

 元産経新聞中国総局記者の福島香織氏も朝日記者の行為に首をかしげる。

「尖閣問題について中国語で取材する際、相手の言葉につられて『釣魚島』とうっかりいってしまうことはあります。しかし、中国外相の記者会見の場で日本人記者がこの名称を使うのはふさわしくない」

 日本での記者会見でも、中国人記者が「尖閣諸島」、韓国人記者が「竹島」を使うことはない。しかし、産経記事によれば、〈最近、島(尖閣諸島)の名前を触れずに質問する日本人記者が増えている〉という。北京特派員が事情を語る。

「全人代はテレビで生中継されるため、質問する記者の顔も映像で流れます。反日機運も高まっている状況なので、『尖閣諸島』と口にすれば、身に危険が及ぶ可能性もある。そんな時は、『島の問題ですが』と島名を出さずに質問します」

 朝日記者は確信犯ではないか、とこの特派員はいう。

「今年の全人代では、朝日新聞が質問することはあらかじめ決まっていました。だから、決して言い間違いではなく、意図的な発言のはずです」

「釣魚島」発言の真意を朝日新聞に問うたところ、「一般的に取材の現場では、その時々の状況に応じて適切な言葉や表現を選び、取材相手とやりとりをしています。個別のテーマに関する取材方法や過程についてはお答えしていません」(広報部)と回答した。

 評論家の石平氏が憤る。

「中国が尖閣諸島に勝手につけた名称を使うのは、日本メディアが領有権に自信を持っていないということになる。中国の反撃を恐れて迎合するようではメディアの見識を疑われます」
 
※週刊ポスト2013年3月29日号

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