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南海が「グレートリング」から「ホークス」へと名称変更した理由

 プロ野球が開幕したが、野球チームは過去に様々なチームが存在した。戦後、「グレートリング」としてスタートした南海球団。電車の大きな車輪をイメージしたが、女性器を意味するスラングであるとの指摘が出て、南海社員へ球団名を公募した結果、ホークスとなったのが1947年。当時のエースは別所昭(後の毅彦)。1勝につき米2升を出すという条件付きで登板し、その年に30勝を挙げ、初の沢村賞に選ばれた。

 その別所は、待遇に不満を持ち巨人と不正に接触。巨人に制裁金10万円、別所は移籍後開幕から2か月出場停止という処分を受けたが、結局、巨人に移籍した。その引き抜き事件があった1949年こそ低迷したが、選手兼監督・鶴岡一人が指揮を執った1946年から1968年までの23年間は、南海の黄金時代だった。常に西鉄と激しい首位争いを演じ、11回の優勝を果たす。躍進を支えたのは、個性派揃いの名選手たちだった。

 史上最高の遊撃手・木塚忠助、堅実無比の三塁手・蔭山和夫、巧守の一塁手・飯田徳治、自己犠牲の二塁手・岡本伊三美が守る内野陣は「100万ドルの内野陣」と絶賛された。1959年以降は長距離砲が次々と加入。大学ナンバー1の穴吹義雄、近鉄から来た杉山光平に、成長著しい野村克也が4番に座った打線は、「400フィート打線」と呼ばれ怖れられた。投手には杉浦忠、スタンカらがいた。

 野村監督時代には熱心なオーナーの存在もあった。1968年からオーナーを務めた川勝傳は、「ワシの目の黒いうちには絶対に(球団を)売らん」と赤字が出ても球団を守り続け、野村を寵愛した。しかしその野村が1977年に解任されると、その後11年間Bクラスに低迷。川勝が死去した1988年に、球団身売りに至る。時代の流れとともに、勝利を知らないサラリーマン経営陣となり、愛情・情熱よりも数字を先行させたためだった。

※週刊ポスト2013年4月5日号

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