3代目未亡人・頼則子さん、4代目の長男・勇登さん。二人の人柄に惚れて皆通ってくる
歴史話も野球話も、角打ちの最高のつまみになってしまうのが楽しい。そんな古きよき店だが、定番といえるテーブルやビールケースを重ねた角打ち台などは特に見当たらない。奥のほうにレジを兼ねたそれほど大きくも長くもないカウンターがあるだけだ。
「みんなそんなのどうでもいいみたい。だいたい、私がお客さんをほったらかしだもの。お店のどこか空いてるところで勝手に気持ちよさそうに飲んでるし、県関係の常連さんなんて、隅のほうで会議を始めるし。うちは、つまみといったら缶詰と乾き物だけなんだけど、ちょっと小腹がとか言って、隣りのたこ焼きでいろいろ買って来て食べる人も多いのよ」と、おかあさんはあっけらかん。
「ほら、これがそのたこ焼き屋のメニュー。置いてあるってのがすごいでしょ。初めて来たときは、当然、ここのメニューだと思いましたけどね。キッチンがないし料理人もいないみたいだけど、どこでだれが作るの? 隣の店だよって、爆笑ですよ。でも、おかあさんと話せるのがうれしくて、何度も通っています」(40代)