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常連の間を心地よい自然の涼風が吹き抜けるうどん県の角打ち

店の人間みたいに手伝ってくれるお客さんが多くて。つい話し込んじゃうの(則子さん)

 高松は、うどん県香川の県庁所在地だけに、讃岐うどんの専門店が、銀河のきら星のように点在している。そんな中にあって、サラリーマンを中心にした角打ち族の心に癒しの淡い光を投げかけているのが、『頼酒店』だ。

「酒屋を始めたのが明治36年(1903年)だそうで、もう110年になるんですよ。角打ちは自然発生したんじゃないかしらね。こんな風に飲めるうちみたいなお店、以前はこの辺りに何軒もあったんだけど、今はすっかりなくなっちゃったわねえ」

 と、おかあさんと慕われ癒しの光源となっている頼則子さん。いつも一緒に店にいたご主人を3年前に亡くし、現在は、4代目の長男・勇登(はやと)さん(42)とふたりで歴史を受け継いでいる。

「こういう名字だから、歴史家の頼山陽の家系だと信じてる人もいますけど、まったく無関係なんですよ。瀬という字を書いて『らい』と読ませた旧高松藩士の7男だというあたりまでは遡れるみたいです。明治の初期には東京の渋谷辺りに住んでいた士族だとも…」

 なんて話をおかあさんから伺っていると、常連の長老がぼそりとつぶやく。

「この店ができたという明治36年はね、野球の早慶戦が初めて戦われた年でもあるんだ。水原茂(高松商→慶大)も、三原脩(高松中→早大)も香川出身で早慶で戦っている。それに、亡くなったここのおとうさんは、高商(高松商)野球部のレギュラー内野手だったんだよ」

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