「お世辞じゃなく、気さくなおかあさんがすばらしいんだ。さらに言えば、息子さんもいい味を出してる。もう究極の癒し空間だね。ここで至高の時間をのんびり過ごす、実にいい。一度入って飲んでみればわかりますよ」(60代、自称・高松藩士)。
そして、袖を引っ張られて振り向いた耳にこんな声が聞こえてきた。
「立ち飲み文化の栄えている関西は近いんでわざわざ出かけるほどのファン。そして地元で探し当てたこの店に、これを置いてよと頼み続けたほどの焼酎ハイボールファンでもあるんです。甘くないっていうのがなによりも、たまらない。そしてドライでさっぱりしてるのが、さらにいいんです。すぐ隣の町が自分の故郷なんですけど、そこの秋祭りじゃ、毎年ほとんどの人がこれで盛り上がってます。その話をしたら、おかあさんも喜んでくれて、こっちもうれしくなってしまって」(40代、公務員)
つまみのメニューに讃岐うどんはないが、それ以上のものが、ここには存在するというわけだ。楽しく飲みながら、常連客と談笑するうちに、この店のさらなる魅力に気がついた。自然の涼風がみんなの間を気持ちよく吹き抜けていくのだ。
「うちは、出入り口が北向きと東向きの2ヵ所あるのね。だからいつもいい風が入ってくるのよ。夏はクーラーいらずの日が多いですよ」と、則子さん。
おかあさんと話をしたくて通うのは、角打ち族だけではないようだ。