ライフ

鰻が高騰する最中の土用の丑の日 大人の幸せな過ごし方とは

 「土用の丑の日」といっても、鰻の価格が高騰して手が出ない人も多いだろう。ではどうするか。大人力コラムニスト・石原壮一郎氏が、「いじましいけど大人らしい丑の日のやり過ごし方」を伝授する。

 * * *
 今年の土用の丑の日は、7月22日(月曜日)と8月3日(土曜日)。土用の丑といえば「鰻を食べる日」ということになっています。江戸時代に蘭学者の平賀源内が、夏場に客が減ってしまう鰻屋に相談されて、「本日土用丑の日」というキャッチコピーを考えたのが、土用の丑の日に鰻が広く食べられるようになったきっかけだとか。

 なんせ暑い時期だけに、栄養価の高い鰻を食べると元気が出そうな気がします。そんな鰻のパワーと鰻業界の努力の甲斐あって、「土用の丑の日=鰻」というイメージはすっかり定着しました。ただ、ここ数年、ニホンウナギ(ジャポニカ種)の稚魚の値段が高騰し、ちゃんとした鰻屋は簡単に足を踏み入れられない場所になっています。

 牛丼チェーンなどで輸入物の安い鰻を食べることもできますが、それでお茶を濁すのも何だか寂しい話。じつは、丑の日に食べるといいとされているのは、鰻だけではありません。もともとは、頭に「う」のつくものを食べて精を付け、無病息災を祈る風習がありました。梅干し、瓜、うどんなどがよく食べられていたそうです。

 土用の丑の日に無理して鰻屋に行っても、混んでいるのは確実。しかも、一日で大量の鰻が消費されるので、どうしても質が落ちるとも言われています。いっそ今年の丑の日は、鰻以外の「う」のつくものを食べてみるのはどうでしょうか。

 たとえば、意中の女性を「今日は土用の丑だから、うどんでも食べに行こうか」と誘ってみます。当然「えっ、うどん?」という怪訝な反応が返ってくるはず。そこですかさず、じつは丑の日というのは……というウンチクを披露すれば、教養の深さとともに、世間に付和雷同せず我が道を突き進む頼もしさを感じ取ってくれるでしょう。

 うどんを食べているときに、つい「わざわざ鰻を食いに行く奴の気が知れないね」と鰻を否定したくなりますが、それは危険。「うなぎもいいけど、うどんもいいね。うどん業界も、もっとアピールすればいいのに」と鰻の立場を尊重しつつ、うどん業界の心配をしてあげることで、人間としての幅の広さや大人の粋をにじませたいところです。

 誘う相手がいない場合は、ひとりで回っている寿司屋に行って、ウニを食べながら「土用の丑の日だからといって安易に鰻に群がっている能無しども」に勝った気になるのはどうでしょうか。牛肉(うしにく)も「う」がつくので、牛丼チェーンで普通に牛丼を食べながら、リーズナブルな鰻丼を食べているほかの客を横目で見ながら、心の中で「キミたち、もっと知恵を使いたまえ」と呟くのも楽しそうです。

 そんなふうに、あの手この手で土用の丑の日を満喫し、夏を乗り切りましょう。いじましい努力に見えるかもしれませんが、大人の日常に小さな幸せをもたらしてくれるのは、いじましい努力の積み重ねです。

関連記事

トピックス

『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《TOKIO・国分太一が無期限活動休止》「演者とスタッフは“独特の距離感”だった」関係者が明かす『鉄腕DASH』現場の“特殊な事情”
NEWSポストセブン
”アナウンサーらしくないアナウンサー“と評判
「笑顔でピッタリ腕を絡ませて…」元NMB48アイドルアナ・瀧山あかねと「BreakingDown」エース・細川一颯の“腕組み同棲愛”《直撃に「まさしくタイプです(笑)」》
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《スタッフに写真おねだりか》TOKIO・国分太一は「コンプライアンス上の問題行為が複数あった」…日本テレビに問い合わせた結果
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一
《日テレで緊急会見の意味は》TOKIO国分太一がコンプラ違反で活動休止へ 「番組降板」「副社長自らスキャンダル」の衝撃
NEWSポストセブン
悠仁さまの大学進学で複雑な心境の紀子さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、今年秋の園遊会に“最速デビュー”の可能性 紀子さまの「露出を増やしたい」との思いも影響か
女性セブン
グラビアのオファーも多いと言われる中川安奈アナ(本人のインスタグラムより)
《SNSで“インナーちらり笑”》元NHK中川安奈アナが森香澄の強力ライバルに あざとキャラと確かなアナウンス技術で「ポテンシャルは森香澄以上」との指摘
週刊ポスト
不倫が報じられた錦織圭、妻の観月あこ(Instagramより)
《錦織圭・モデル女性と不倫疑惑報道》反対を押し切って結婚した妻・観月あことの“最近の関係” 錦織は「産んでくれたお母さんに優しく接することを心がけましょう」発言も
NEWSポストセブン
お疲れのご様子の雅子さま(2025年、沖縄県那覇市。撮影/JMPA) 
雅子さまにささやかれる体調不安、沖縄訪問時にもお疲れの様子 愛子さまが“異変”を察知し、とっさに助け舟を出される場面も
女性セブン
不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《美女モデルと不倫》妻・観月あこに「ブラックカード」を渡していた錦織圭が見せた“倹約不倫デート”「3000円のユニクロスウェットを着て駅前チェーン喫茶店で逢瀬」
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
不倫が報じられた錦織圭、妻の元モデル・観月あこ(時事通信フォト/Instagramより)
《結婚写真を残しながら》錦織圭の不倫報道、猛反対された元モデル妻「観月あこ」との“苦難の6年交際”
NEWSポストセブン