ビジネス

半沢直樹に影響され「バンカーで倍返し」目指す就活生が増加

 大人気ドラマ「半沢直樹」でメガバンクの就活が人気!? ドラマ、漫画が就活に与える影響を作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が考える。

 * * *
 今年はドラマの当たり年ですね。NHKの朝の連続ドラマ『あまちゃん』も大人気ですが、同様に人気を集めているのがTBS系の日曜劇場『半沢直樹』です。池井戸潤氏の企業エンターテインメント小説『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』(ともに文藝春秋)が原作です。バブル末期に大手都市銀行(今で言うメガバンク)に入行した主人公半沢直樹の企業社会での奮闘を描いたドラマです。

 ビデオリサーチの調べによると、8月11日に放送された第5回は平均視聴率が29.0%、瞬間最高視聴率が31.9%でした。名セリフ「やられたら倍返し!」は、『あまちゃん』の「じぇじぇじぇ」と並び、今年の『新語・流行語大賞』で大バトルになりそうですね。

 さて、最近、よく質問されるのが「『半沢直樹』ブームで、学生の就職希望先としてメガバンクの人気は上がるのか?」という素朴な疑問です。結論から言うならば、影響はあるでしょう。ただ、そもそも2014年卒から2015年卒にかけて、メガバンクをはじめとする金融機関の人気は間違いなく上がるので、『半沢直樹』がどこまで影響を与えたかは、測定しにくいというのが率直のところです。つまり、『半沢直樹』が放送されていなくても、金融機関の人気は上がっていたのではないか、ということです。

 ドラマやアニメ、漫画などが若者の就職や進学に与える影響は、正確には把握しづらいですが、やんわりとは影響があるのではと言われています。進学に関して言うと、1990年代前半に北海道大学獣医学部の人気が上がったのは『動物のお医者さん』(佐々木倫子 白泉社)の影響だと言われています。同作品で札幌のH大学獣医学部が描かれたのです。2005年ごろに東大の出願者の数が対前年比で1.2倍になったのは受験勉強漫画『ドラゴン桜』(三田紀房 講談社)の影響だと言われています。就活においても、2010年前後の有名大学における総合商社人気に当時ドラマ化された山崎豊子さんの『不毛地帯』(新潮社)が一役買っているのではないかという声はありました。

 今回の『半沢直樹』が、どこまで銀行の仕事をリアルに描いているのかは賛否あると思いますが、関心を高めたという意味では、人気アップに貢献するでしょう。

 とはいえ、2012年12月から2013年の春にかけて日経平均株価も回復する中、また新卒採用の求人も回復する中、金融機関の人気はもともと上がっていたのですよね。

 この春、日本経済新聞に掲載された人気企業ランキングは、すべて金融機関だったことがネット上でも話題になりました。

2014年度新卒人気企業ランキング
1位 日本生命保険
2位 東京海上日動火災保険
3位 第一生命保険
4位 三菱東京UFJ銀行
5位 三井住友海上火災保険
6位 三菱UFJ信託銀行
7位 みずほファイナンシャルグループ
8位 三井住友銀行
9位 三井住友信託銀行
10位 明治安田生命保険
(日本経済新聞社調べ)

 1位〜3位は保険でしたが、3メガバンクはすべてランクインしています。

 もともと、景気の各指標、そして新卒の求人が回復する局面では金融機関の人気が上がりやすいのですよね。理由は次のようなものです。人気企業ランキングの特性を反映しているとも言えますが……。

1.もともと大手、有名企業であり学生から認知されやすい方である
2.女子学生に一般職や特定総合職で長く勤められるイメージを訴求している。
3.大量採用を行う(そして金融機関同士で競争が生まれる)
4.親からの支持を集めやすい
5.(先行きはわからないが)金融市場自体の盛り上がっている感が伝わる

 などが理由です。

 特に意外に大事なのは3と4ですね。そう、人気企業ランキングのあまり知られていない法則に、「大量採用を行う企業は人気を集めやすい」というものがあるのです。1980年代後半のバブル期、2000年代半ばの売り手市場の時期などは、金融機関の大量採用は「本当に、ここまで採るのか?」と驚くほどでした。私が人事をしていた2000年代後半においては、3メガバンクだけで採用予定数が5000人超になったことも。この局面では信託銀行や証券、生損保も負けずに採用活動に力を入れるわけです。学生への認知が高くなり、その分、人気がアップするというわけです。

 現在の就活生は、親と相談をする学生が7割を超えています。親としては、安定しているイメージなどからやはり金融機関を推すわけです。

 『半沢直樹』ブームはさらにこの追い風となりそうですね。

 まあ、人気企業ランキングは、あくまで就活初期段階での人気ランキング、認知度ランキングであって、優良企業ランキングではないのですけどね。いっぱい稼いで、お世話になった方に御礼を倍返しできたらいいのですけどね。先のことはどうなるかわかりません。はい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
「礼を尽くさないと」いなば食品の社長は入社辞退者に“謝罪行脚”、担当者が明かした「怪文書リリース」が生まれた背景
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
いなば食品、入社辞退者が憤る内定後の『一般職採用です』告知「ボロ家」よりも許せなかったこと「待遇わからず」「想定していた働き方と全然違う」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン