夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、ご主人(56歳)が鉄道会社勤務の奥様(53歳)。この夏、娘さん夫婦に男の子が生まれ、名付けを頼まれました。
* * *
大張り切りの主人は「やっぱり、今年、生まれた男の子は、英国のウィリアム王子とキャサリン妃の息子・ジョージ王子に因んだ名前がいいよなぁ」。私が「『宝物』と書いて『おうじ』と読むそうよ」というと、「そんなのより、ズバリ『じょうじ』がいいよ。え~っと漢字にすると……う~ん、『情事』しか浮かんでこないなぁ! 『じ』じゃなくて、『し』にすると……『情死』、それもちょっと違うか!」。
バカ! 大違い! 日頃、変なことばっかり考えてるから、そんな漢字しか浮かんでこないのよ。結局、「穣司」にしましたけど、あれ以来、主人の口癖は「早く女の子を産んでくれないかなぁ。名前は考えてるんだよなぁ」。
あまりにもうるさいので「何ていう名前なの?」と聞いてみました。「ウィリアム王子の母親、ダイアナ妃に因み『大穴』(だいあな)だよ。生まれたらすぐに競馬場に連れて行く。馬券を買えば、大穴でガッポリだ」。
も~、バカ、バカ、バカ!孫娘に『大穴』なんて付けられるわけないでしょ! 「アナタ、センスなさすぎ。それなら『姫』とか『妃』を使った名前を考えたら?」「『ひめ』って、バカ!『秘め事』の『秘め』はマズイだろ」。「秘め」じゃなく「姫」! しかも、「バカ!」ですって? も~! 「バカ!」の10倍返しよ!
※週刊ポスト2013年10月18日号