国内

公務員のコネ採用 清掃員やバス運転手、教員など多岐に亘る

 日本では政界、官界、財界のトップ人事から、これから本格化する学生の就職活動戦線まで、日本社会ではあらゆる場面に「コネ」という“見えざる力”が働いている。そして、国家公務員でも「グレーゾーン」の採用がまかり通っている。人事院の内部資料によると、2011年度に国家公務員に採用されたのは1万6808人。そのうちキャリアと呼ばれるl種を始めとした試験合格組は4281人に過ぎない。

 残りの1万2527人、全体の70%超は「選考採用」と呼ばれる試験によらない面接などで採用されているのだ。これは学力試験などではないから、当然コネがものをいうことは容易に想像できる。

 地方行政でも同様だ。橋下徹・市長のお膝元である大阪市では、昨年3月に提出された報告書において、コネ採用の実態が詳らかにされた。大阪市の職員労働組合関係者がいう。

「地方公務員の中でも、清掃作業員やバス運転手など現業系の部門に縁故採用が多い。報告書には、採用面接の際に履歴書に市会議員、人事部局幹部などの名前が記されていた痕跡が多数見つかったと記されていた。コネが横行する実態は大阪市に限ったことではなく、どの地方行政にも少なからずある」

 また、教職員採用におけるコネも目立つ。埼玉県内の小学校教師が打ち明ける。

「この業界では“親子2代で教師”というパターンが異常なほど多い。表向きは“親の背中を見て教師を目指した”ということになっているが、実際のところは教員の採用において“関係者の口利き”が非常に重要であることが大きい。

 教員免許をとっても何年も教員に採用されない人が多い中、親が教師の人間でそんな話は聞いたことがない。地元国立大学卒業者も有利ですが、成績にゲタを履かせるほどのことはない。人柄や性格、学歴より、まずは縁故がものをいうのがこの業界の常識です」
 
 公務員の既得権益は、こうして人事面でも温存されている。

※週刊ポスト2013年10月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト