芸能

新書上梓した筧利夫「意外にも書くことが自分に合っている」

『踊る大捜査線』シリーズで演じた警視庁の警視監・新城賢太郎役の印象が強い俳優・筧利夫(51才)が、新書『群れずに生きる』(角川書店)を上梓した。

 同書は、群れずに生きることを潔しとしながら、集団で創造に携わる演劇の世界で生きる筧が、プライベートにもふれながら、仕事や日ごろの考えかたを吐露。50才を超え、働き盛りの同世代へのエールともなっている。書き終えてから、「意外にも書くことが自分には合っているのかも」と感じたと言うだけに、読みやすく、励まされる。

 そんな筧だが、子供の頃は通知表にはいつも「協調性がない」と書かれていた。つまり、もともと群れることが苦手。と、巧みな話しぶりで、子供のころのマイナス面ばかりを披露。だけど、そんな人がなぜ役者の道へ?

「本質は出たがりなんですね。恥ずかしがり屋の出たがり」

 中学のときには、「将来は俳優になる」と決め、卒業式の日に同級生の前で発表した。

<目標を口にすることは大切なことである>

<目標が明確になっているなら、ちゃんとそこにたどり着けると思う>

 しかし、ただ宣言しただけではなく、そのための道を必死で探り、裏付けとなる努力をしてきた。

 例えば、劇団に所属していたころ、体操教室に通ってバック転をマスター。それをきっかけに団員みんなが体操教室に通ったというエピソードが本書にはある。つまり努力を惜しまないのだ。

 もうひとつの“例えば”は、面白おかしく打ち明ける「相当なせっかち」ぶり。せっかちだから撮影の現場には誰よりも早く到着していたい。そのために朝の3時、4時に起きるというほどの徹底ぶりだ。

「撮影では朝8時集合ということが多いんですが、そのためにはぼくは3時に起きて、ウオーキングを60分、筋トレ30分、始めてまだ3か月ほどのヨガを30分、食事、排泄をして家を出るんです」

 この流れが順調でないと、体は思うように動かない。肉体で表現することを仕事にしている以上、決してゆるがせにできないと、さりげなく笑いに包んで明かす。

 なお、朝食は350ccほどの常温の水か炭酸水、味噌汁、玄米と、いたってシンプルだ。

「すべては体のため、いや、排泄のための食事ですかね(笑い)」

 結婚したのは42才のとき。その妻のことを、<奥さんのようであり、友達のようでもある。お姉さんのようであり、マネージャーのようでもある>と紹介しているが、あらためて「お料理も上手、非常によくできた人です」と手放しでほめる。

「他人の話をよく聞いてくれる人です。聞き上手ですから、ぼく、家でも外と同じようによくしゃべっていますね」

 俳優を志したときから、これまで順調にきたような著者だが、33才で谷間をさまよったという。「ただの悪い人」役が続いたため、何度かオファーを断ったところ、当然ながら仕事がなくなったのだ。

「今振り返ると、あの時期があってよかったと思う。根本が働き者じゃないぼくは、何もしないであがいて、悩み散らしていた。余計なことを考えるより、何でもいいから仕事やバイトを入れて働いているほうがいいという人もいるけど、どちらがいいか悪いかではなく、ぼくは人生には悩みまくる時期もあっていいんじゃないかと思います」

 沈んだ時期も、他人に頼らず、群れずに生きてきた。

 そして今、51才。〈毎日、心が充足していて、「今日も良い一日だった」と酒を呑んで眠ることができれば、それが成功である気がする〉という。

 自分で組み立てたパソコンを使い、何度も試行錯誤を繰り返しながらこの本を書いたことで、新しい可能性が広がったという彼と話しているうちに、次にどんなことをするのか楽しみになった。

※女性セブン2013年10月24・31日号

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