最近流行のエッチな雰囲気のお店。大人の男性としては是非経験しておきたいところだが、同伴女性をどうやって誘うのか悩ましい。大人力コラムニストの石原壮一郎氏が「女性を誘う口説き文句」を考える。
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常時300本のバイブ(ええ、女性がお使いになるあのバイブです)がズラリと並んでいて、それを手に取って吟味しながらお酒が飲めるという「バイブバー“ワイルドワン”」。渋谷駅の近くにあり、今年2月のオープン以来、ネットなどでその存在が徐々に知られるようになって、女性客やカップルでにぎわっているとか。このページでも8月に取り上げられていたし、最近では女性ライターの潜入記事が話題を呼んでいます。
こうした過激なお店は、行けばもちろん楽しいんでしょうけど、実際に行かなくても貪欲に楽しんでしまうのが大人の気合いでありテクニック。男ひとりや男同士では入れないという壁があって、これを書いている私自身もまだ行ったことがありません。そんな立場だからこそ書ける「大人的バイブバー活用法」を追求してみましょう。
やはり、いちばん楽しいのは「どんなセリフでバイブバーに女性を誘うか」を考えること。さわやかに「○○ちゃん、きっとバイブ好きだよね」と切り出しても、好意的な反応はまず返ってこないでしょう。かといって「おもしろいバーがあるらしいんだけど」と、どんなバーか曖昧にしたまま連れて行ったら、大変態扱いされてビンタのひとつも飛んできそうです。ダンディな口調で「大人の社会見学に行ってみないか」と言うのも、あまりにオヤジ臭すぎて相手の警戒心と嫌悪感を増幅させる効果しかありません。
たとえば、まずは「○○ちゃんは頭がやわらかくて好奇心旺盛と見込んで、ひとつ相談があるんだけど」と切り出してみます。その上で「けっして変な魂胆があるわけじゃなくて、今話題のバーにいっしょに行ってくれないかなと思って」と提案してみるのはどうでしょう。変な魂胆なしで誘うわけはありませんが、そこは大人のお約束です。
当然、相手は「どんなバーなの?」と聞いてくるでしょう。そこでサラッと「うん、バイブバー」と言って、「バカ、行くわけないじゃない!」と拒絶されたら、たとえ無理に行ってもらったとしても嬉しい展開にはなりません。逆に「えー、行ってみたい!」と食いついてくれたら、かなり期待やら何やらをふくらませても大丈夫です。
あるいは、何人かで飲んでいる席で「このあいだ友達が、バイブバーに行ったらしいんだけど」と話を振ってみるのも一興。もし食いついてきてくれる女性がいたら、すかさず「カップルか女性のほうが多いグループしか入れないんだよ。助けると思って」と果敢に同伴を頼めば、OKしてくれる可能性はけっして低くはないでしょう。
ああ、行ってもいないのに、そういうお店があるらしいという情報だけで、大人の妄想は果てしなく広がります。いろいろ作戦を練りましたが、妄想しているうちがいちばん楽しいかも。何かの間違いで行けたとしても、緊張して小粋な会話なんてできないでしょう。憧れの場所のままにしておくのが、大人としての適度な距離感かもしれませんね。