パナソニックの乗馬フィットネス機器「ジョーバ」やダイソンのサイクロン掃除機など、テレビ通販でブレークしたヒット商品は数多くある。実は販売のために数々の“仕掛け”が用意されているのだ。
そのひとつが、“ライブ感”だ。生放送だが番組には台本がない。ショップチャンネルではセールスプロデューサー(SP)の指示が、キャストが耳につけているインカムから入るだけなのだ。どういう紹介の言葉の後に販売が伸びたか、どのタイミングで商品を身につけるのか、購入した客の生電話をどのタイミングで入れるのかなど、SPの指示は多岐にわたる。SP高橋翔一さんに話を聞いた。
「例えばストールの場合は、お客様に人気の色を最初にキャストに巻いてもらったり、畳んだらどれくらいの大きさになるか知りたいという要望に応えて小さくしてもらう指示を出します。紹介する商品がバッグなら内側を見せるなど、お客様のニーズに応えるのが基本です。テレビ通販であってもあくまで“接客”しているという意識で番組を作っています」
ただ、細かいトークは基本的にはキャスト任せ。SPとキャストの打ち合わせは長くても15分程度だ。キャストの近藤英恵さんは言う。
「最初は台本がなくてインカムで指示されることに戸惑いました。でも、ライブならではの面白さが毎回あります。今では1時間が短いくらい。商品化するのに苦労したゲストの話などは絶対面白い。
あとは、例えば今日のゲストの金杉さんはお客様にファンも多いので、あえて無茶を言って少し困った表情を引き出してみたり(笑い)。ストールの場合、台風が通り過ぎて涼しくなった時期だったので、防寒面にも言及しました。成功すると注文がリアルタイムで増えるのでやりがいがありますね」
※女性セブン2013年11月7日号