西川文二氏は、1957年生まれ。主宰するCan! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導している。その西川氏が、ピンポンダッシュして吠えまくる癖がついている犬を、どうやったらおとなしくさせられるかについて解説する。
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ピンポ~ンってドアホンの音に反応して、玄関までダッシュして吠えまくる。これ、私めピンポンダッシュって呼んでる。なぜ吠えるの、どうすりゃなおるのって、ここはひとつ、私めが解説をば。
ドアホンに吠えまくる犬ってのは、「ドアホンの音→知らない人が入ってくる→吠える→知らない人がいなくなる」、ってぇパターンを学習しちゃってる。結果的に嫌なことがなくなる行動の頻度を、犬は高める。まさに理論通りのことがここに起きてる。
すなわち、ドアホンの音は、嫌なことが起きる前ぶれ、そして追っ払い吠えってぇ行動のトリガーになってる、ってこと。
であれば、ドアホンの音を、いいことが起きる前ぶれ、吠える行動以外の飼い主にとって好ましい行動のトリガー、に変えればいい。
具体的には、ドアホンの音を録音して吠えないレベルで再生、クレートに誘ってはフードをあげる。
少しずつボリュームを上げてくと、やがてドアホンの音を耳にすると犬は、自らクレートに飛び込んでくようになる。ここから先はクレートトレーニングができてるかが問題だけど、できてればガムか何かしばらく夢中になるものを与え、クレートの扉を閉め掛け布をかけ、飼い主が玄関に行く姿を見せないようにすればいい。
先日、実際にこの方法で問題解決した飼い主さんに、某雑誌の取材協力を依頼、トレーニング方法を再現してもらった。
犬は耳がいいんで録音再生装置は高音質なもので、なんていつも助言してましたけど、時代ですね。その飼い主さんが手にしたのは、アレですよアレ。指で触れてあっち向いてホイみたいな動きをすると、画面が変わったりするアレ。
そうその通り、ピンポ~ン、ドアホン、いや違った、スマートホン。まったくもう、便利な世の中なったもんですな、ホンと。
※週刊ポスト2013年11月8・15日号