106年の歴史を持つ、日本で最も権威ある公募美術展──「日展」。日本美術界の登竜門とされるこの展覧会の「書の部門」において、その公平性を根底から覆す不正が明らかになった。
同部門には毎年1万人以上が出品するが、そのうち入選はわずか1割ほど。その狭き門を通過するには、ある条件があった。
朝日新聞がスクープした内容によれば、「書の部門」では入選者数はあらかじめ有力8会派のみに割り振られていたという。実際に、それらの会派に属さない人はひとりも入選できなかった。そのうえ、入選するためには「審査員らの絵を買うこと」「審査員に手土産を持参する」などの裏ルールまで存在していたというのである。
ある書道関係者が声を潜めていう。
「我々にとっては、今回のニュースは“何を今さら”という話。この業界では当たり前のように“日展の入選を1回とるのに100万円かかり、さらに上の特選をとるには、1回1000万円、2回なら2000万~3000万円かかる”といわれているほどですからね。賞を取るには有力会派に所属するのが大前提だし、会派のお偉いさんや審査員に付け届けをするのも当然のこと。もちろん書の実力は必要ですが、それ以外の要素も大きく左右するんです」
※週刊ポスト2013年11月29日号