旅行の主な構成要素は「交通」「宿泊」「食事」である。このうち鉄道や航空機は同じクラスを選べば付加価値に大きな差はつかない。したがって付加価値に差がつくのはホテル・旅館と食事しかないわけだが、日本の旅行業は広告宣伝費に高いコストがかかってしまうため、ホテル・旅館と食事の部分でコストを抑え、ギリギリの値段で販売しているのが現状だ。

 これからは旅行サイトで「いかに付加価値をつけていくか」がカギとなる。旅行会社が顧客データを蓄積して旅行の目的や趣味、地域的な好みなどでグループ化し、その人たちとネット上で綿密にコミュニケーションを取ってニーズを把握し、お仕着せのパッケージ旅行ではないオリジナルの旅程をホテルや食事の選択も含めて作り込んでいく。

 そして、たとえばそのツアーに12人の参加者が集まったら、さらに18人をネットで募集する。そういう懇切丁寧でアトラクティブなサイバーコンシェルジュ機能があれば、広告宣伝費がかからない分だけコストが安くなる上、付加価値となるホテルや食事、オプショナルツアーなどを充実させることができるので、多くの人がこぞって利用するに違いない。

 また、旅行中の様子も添乗員が写真や動画でネット上に毎日アップすれば、留守家族も安心だし、それがそのまま旅行アルバムにもなる。孫とやりとりするためにデジタルフォトフレームを買ったり、ネット利用を始めたりするおじいちゃん・おばあちゃんがいるように、中高年以上の世代を取り込めば巨大な商売になって、日本に新しい生態系が生まれるだろう。

※週刊ポスト2013年12月6日号

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