スポーツ

広岡達朗氏「私がGMを続けていたらロッテ王国できただろう」

 プロ野球の黎明期、数々の伝説を作り上げた名選手たちが、もしも現代のグラウンドに降り立てばどんな成績を収めるか。今の球界への叱咤激励を込めた、“レジェンド”による大胆な“自己査定”。今回は広岡達朗氏(81)である。広岡氏は1954年巨人入団。引退後は監督としてヤクルト、西武で日本一を達成。1995年、日本球界初のGMに就任した。

 * * *
 日本球界でのGMは阪神、横浜に加え、落合博満が就任した中日の3球団になりました。落合はこれからなので何ともいえませんが、少なくとも阪神の中村勝広と横浜の高田繁、両GMは何も仕事をしていません。
 
 今の日本のGMは、名前こそメジャーと同じですが、中身はまったく違います。なんであれをGMと呼ぶのかが私はわからない。
 
 メジャーではオーナーが現場をGMに託し、GMが予算の範囲内で戦力を編成、「何位になれるか」を考え、それに相応しい監督を連れてくる。だからGMは、二軍も含めて目を配れるような、現場に明るい人でなければならないし、成績が低迷すればその責任はGMにもあるわけです。

 落合が中日の二遊間を新しくするとかの構想が立って、2位を目指せると判断した場合、監督の谷繁元信に2位を約束させる。その上で実際に達成すれば、さらに上を目指す補強をやり、なれなければ谷繁をクビにし、自らも責任を取る。これがGMの仕事なんです。
 
 それをハッキリさせないままメジャーの猿真似だけするから、いきなりオーナーに「最下位から優勝を狙え」などとムチャクチャなことをいわれる。その結果、球団が選手を育てることを放棄して、FAで補強ばかりしようとするのです。
 
 メジャーにはぜいたく税があって弱いチームを助けていますし、ドラフトにも完全ウェーバー制があり、球界全体を盛り上げようとしています。それを“交通整理”するのが各球団のGMの役割。ところが日本では「なんで弱いチームを助けなきゃならん」というバカなオーナーが出張ってきて、GMの権限もない。これじゃダメです。
 
 私がGMをやったロッテがいい例ですよ。3年間でチームを変えてみせますといってスタート、上手く回っていたのに、2年でクビにされた。そして人気があるというのでバレンタイン監督を連れてきた。土台ができたところでポンと来たから、1回は勝てたが後は続かない。そのまま私がGMを続けていたら、とっくにロッテ王国ができていただろうし、日本の球界も変わったと思うんですがね。

※週刊ポスト2014年1月1・10日号

関連記事

トピックス

映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
日本初となる薬局で買える大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」
日本上陸の内臓脂肪減少薬「アライ」 脂肪分解酵素の働きを抑制、摂取した脂肪の約25%が体内に吸収されず、代わりに体内の脂肪を消費
週刊ポスト
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本製鉄によるUSスチールの買収計画
【日本製鉄のUSスチール買収問題】バイデンもトランプも否定的だが「選挙中の発言に一喜一憂すべきではない」元経産官僚が読み解く
NEWSポストセブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン