落合博満一覧

【落合博満】に関するニュースを集めたページです。

「落合博満以来の逸材」の呼び声高いDeNA・牧秀悟(時事通信フォト)
三冠王候補のDeNA牧秀悟 「落合以来の逸材」でもメディアが全然取り上げないワケ
 いま最も三冠王に近いDeNA・牧秀悟(24)。6月6日時点で打率3割3分3厘、15本塁打、46打点の成績を残し、打率、打点はリーグトップ、本塁打も岡本和真(巨人)を2本差で追いかける。「落合博満以来の逸材」の呼び声高いが、牧の知名度はなかなか世間に浸透していないのが実情だ。「命がけ」のパフォーマンスで当時の閑古鳥が鳴く横浜スタジアムをファンで埋めた元監督・中畑清氏は「売って売って、売りまくるべき」と説く。しかし、「そもそも横浜という球団はどうしても目立ちにくい」とスポーツ紙の編集委員は話す。「巨人や阪神は複数の担当記者がついていますが、DeNAは1人のみです。ソフトバンクや日本ハムは地元の地方版で大きく取り上げられますが、DeNAは関東圏内に本拠地を置く球団なので、巨人や首位を走るヤクルトの前にかすんでしまう。 地域密着で活路を見出した日本ハムやかつての南海などのパ・リーグ球団を見習って、DeNAも新潟を本拠地にするという話が根強くありますが、出ては消えてを繰り返しています」 ダンプの愛称で阪神、大洋でプレーした辻恭彦氏も、横浜を「首都圏のセ・リーグ球団なのに注目されない」と話す。「牧は巨人や阪神でプレーしていれば相当騒がれていると思いますね。DeNAはスカウトの眼力がよくて、僕が横浜でファームのコーチをやっていた頃にも、谷繁(元信)や佐々木(主浩)などいい選手がどんどん入ってきましたが、なかなか全国区になれず、メジャーやFAで他球団に移籍して初めて話題になる。監督やコーチが宣伝しすぎるとプレッシャーでしぼんでいくことも多いので注意しないといけないですが、牧はスランプのないタイプですから、もっとアピールしてもいいとは思うんですが……」 大洋一筋の元エース・平松政次氏は、内角に鋭く切れ込む“カミソリシュート”を武器に通算201勝をマークし“長嶋キラー”としても知られたが、「全国区になるには巨人戦で投げて勝つしかなかった」と振り返る。「僕の現役時代はテレビやラジオ、新聞も巨人戦しか露出しないわけですからね。特に王(貞治)さん、長嶋さんとの対戦が名前を売る一番のチャンス。後楽園で(巨人戦に)勝って銀座に行くのが目標だったんですよ。当時は巨人が勝った、負けたというのをママもホステスもみんな知っていたから、巨人戦で勝つとモテモテだった(笑)。 打者はピッチャーと違って、『試合を決める一打』を打つチャンスが回ってくるかどうかもわからない。相当活躍しないと厳しいですよ」 西武、中日、ダイエーでエースとして活躍し、引退後は横浜などで投手コーチを務めた杉本正氏は、知名度を上げるための「パフォーマンスの重要性」を語る。「ソフトバンクの柳田(悠岐)や西武の山川(穂高)は、ど派手なホームランを打ち込むのでインパクトが大きいんですよ。対照的に牧は中距離ヒッタータイプだし、性格的にも自分をアピールするより職人技を見せたいという独特の雰囲気を持っている。 お決まりのパフォーマンスを考えてもいいかもしれない。山川の“ドスコイ”やソフトバンク・松田(宣浩)の“熱男”みたいに定番となれば、テレビカメラもそこまで追う。夜のニュースでも拾ってもらえます。 牧はそういったことを照れてできないタイプだけど、プロ野球選手は目立ってなんぼだと割り切ってやればいいと思う」 牧は長野県出身。松本一高で2年夏、3年夏は県大会初戦で敗退と甲子園に出場経験がない。優等生であることでも知られ、期待がかかる三冠王についても「まだシーズン中盤ですから、いまは特に意識していません。ほんとにチームのためにやるだけ」と控えめだ。「マイペースでふてぶてしい佐藤輝、『サイン盗み騒動』で矢野燿大監督に立ち向かったヤクルト・村上(宗隆)と対照的に、牧は謙虚で仕事人のイメージが強い。メディアがキャラを固定できていない部分があります」(スポーツ紙編集委員)※週刊ポスト2022年6月24日号
2022.06.11 11:00
週刊ポスト
シーズン開幕前に今季限りでの監督退任を表明した矢野燿大監督(時事通信フォト)
自力V消滅危機の阪神 次期監督は当たりクジ?「選手の意識変えれば劇的に変わる」の指摘
 甲子園に詰めかけた阪神ファンのため息が何度となく聞かれた。 阪神が5月31日の西武戦で今季13度目の完封負けを喫して2連敗。自力優勝の可能性が消滅した。6月1日の試合でかろうじて自力Vの可能性が復帰したが、54試合目での消滅は今世紀に入って球団最速。本拠地・甲子園で25イニング連続無得点(以下、数値は6月1日終了時点)と不名誉な記録が並ぶ。このペースだと年間34度の完封負けになり、球団最多の24度をはるかに超えることになる。スポーツ紙デスクが指摘する。「阪神はもっと出塁率を重視したほうがいい。例えば上位を打つ中野拓夢は2割7分9厘ですが、出塁率は四球が5つのみで2割9分6厘。糸原健斗も出塁率.2割7分8厘と3割に満たないようでは厳しい。積極的にファーストストライクから打ちにいくスタイルは決して悪くはないですが、ボール球に手を出したり、四球の可能性が高いのに制球難の投手を3ボールから強引に打ちにいって助けてしまっているケースが打線全体で目立つ。 これは個々の選手だけではなく、首脳陣の責任も大きいと思います。もっと相手が嫌がるような野球をしなければ得点は増えません。機動力が使える選手が多いので四球で塁に出て、ノーヒットでも得点を取るような野球を目指さないと。選手に好き勝手に打たせても得点は入りません」 実際、投手陣はリーグトップクラスだ。青柳晃洋、西勇輝、ウィルカーソン、ガンケル、伊藤将司、西純矢と先発ローテーションは頭数がそろい、安定した投球を続けている。救援陣は当初守護神に予定していた新外国人投手・ケラーが2試合登板で防御率33点台と大誤算だったが、岩崎優がセットアッパーから配置転換されて落ち着きを取り戻した。若手成長株の湯浅京己は力のある直球を武器に21試合登板で防御率は1点を切っている。抜群の安定感で「勝利の方程式」に不可欠な存在に成長した。昨年限りでソフトバンクの戦力構想から外れ、育成枠で入団して開幕直前に支配下登録された「苦労人左腕」の渡邉雄大も18試合登板で防御率2点台と期待以上の活躍を見せている。 広い甲子園を本拠地にして投手有利であることも加味すれば、ディフェンス中心の戦いで、堅い守備と得点をコツコツ積み重ねる戦い方がチームに合っているが、矢野燿大監督の戦い方は逆行しているように見える。佐藤輝明は右翼、三塁、大山悠輔は一塁、三塁、左翼と守備位置が固まらない。複数ポジションを守れたほうが戦術的に良いのかもしれないが、佐藤、大山が打線の軸であることを考えると1つの守備位置に固定して打撃に専念したほうが良いのではないだろうか。二塁の守備範囲が狭い糸原を打撃不振でもスタメンで起用し続ける采配にも疑問が残る。打線も個々の能力に任せた淡白な野球で、塁に出るための創意工夫が見られない。◆矢野チルドレンを競争に晒せ 矢野監督は今季限りでの退任を明言している。次期監督には阪神OBの岡田彰布氏、外部招聘では中日の監督で黄金時代を築いた落合博満氏がメディアで報じられているが、前出のスポーツ紙デスクは「新監督が選手の意識を変えれば劇的にチームが変わる可能性がある」と期待を込める。「例えば、落合さんが阪神の監督に就任したら中野、糸原はレギュラーを保障されない立場になるでしょう。勝つことに特化したメンバーだったら、出塁率が低く守備も記録に残らないミスが多い中野、糸原は意識を変えなければ試合に出られなくなる。いわゆる“矢野チルドレン”は聖域ではなくなるし、他の選手も横一線の競争になる。高山俊、江越大賀ら伸び悩んでいる選手にもチャンスが巡ってくる。新戦力も含め、レギュラーは半分以上入れ替わるのではないでしょうか。それぐらいのテコ入れをしないと選手たちに危機意識が芽生えないし、チームは変わらない。投手陣は12球団トップクラスなので打線次第で十分に戦えますよ」 最下位に低迷しているが、残り88試合残っている。次期監督が注目される中、矢野監督はラストシーズンで意地を見せられるか。
2022.06.02 11:00
NEWSポストセブン
シーズン開幕前に今季限りでの監督退任を表明した矢野燿大監督(時事通信フォト)
「阪神次期監督に落合博満氏」の驚愕シナリオ 広岡達朗氏、元球団社長は太鼓判
 キャンプイン前日に「今季限りの退任」を表明して物議を醸した阪神タイガースの矢野燿大監督。球団史上ワーストとなる開幕9連敗の後も浮上のきっかけを掴めずにいる。早くも後継候補の名前が飛び交っているが、平田勝男・二軍監督や岡田彰布氏、掛布雅之氏といった阪神OBに加えて急浮上しているのが、元中日監督・落合博満氏の名前である。 現役時代はロッテ、中日、巨人などで活躍し3度の三冠王に輝いた落合氏は、監督としても堂々たる成績を残している。中日の監督を務めた2004~2011年の8年間でAクラス入りを逃したことはなく、リーグ優勝4回、2007年には日本一にも輝いた。 落合氏は阪神からすれば完全な“外様”だが、関西ローカルのバラエティ番組に定期的に出演し、阪神ファンにアピールするように「オレならこう立て直す」とタイガース改革案を口にしてきた。また、YouTubeチャンネルなどでタイガース改革案を頻繁に披露しており、コメント欄には「監督になってほしい」といった投稿も相次いでいる。 落合氏の“腕力”が必要なほど、阪神が危機にあるということだろう。球界のご意見番である広岡達朗氏は「落合なら改革を期待できます」と断言する。「シーズンが始まる前に“今年で辞める”なんて言ってしまう今の監督みたいなバカたれとは違いますよ。落合は現役時代には自分の努力で三冠王を3度も獲った真面目な男。中日の監督として勉強もした。“体が出来上がっていなければ何を教えても結果が出ない”という信念を持っている。ただ、どうすれば立派な体になるかの教え方は、まだ勉強しないといけない。 中日で勉強したことを阪神でやり、選手が甘えている阪神でまた勉強すれば、監督としてさらに成長できます。弱いチームで監督をやるほど勉強できる。私もヤクルトや西武といった弱いチームで欠点の多い選手から教わった。問題は落合が自分の考えを誰に指示するか。ヘッドコーチなどの人事が見ものです」 落合氏は5月から東京、神奈川、大阪、愛知で講演会を開く予定だ。その参加メンバーにも注目が集まっている。元中日担当記者が言う。「講演では落合氏の中日監督時代にヘッドコーチを務めた森繁和氏、開幕投手を任せた川崎憲次郎氏、エースだった吉見一起氏、そして守護神だった岩瀬仁紀氏の4人がゲストに呼ばれる。落合氏の信頼が厚いメンバーで、阪神監督になればコーチとして呼ばれる面々とも囁かれている。 阪神に限らず、日本の球団はコーチに自軍OBを起用することが多い。ところが、落合監督時代は中日OBを一掃した。現役時代は西武一筋の森氏を参謀として重用したのが象徴です。白井文吾オーナーの力をバックに、OBの指定席だった独身寮の寮長まで替えてしまった」 反発も招くが、結果を出して黙らせた。ただし、そんな落合氏の“泣き所”が人気面だ。Aクラス入りを続けても観客動員数はジリ貧で、人気球団の阪神ではそれがよりシビアに問われるのではないのか。そうした懸念を広岡氏はこう喝破する。「落合監督になるとファンがいなくなると言われているが、そんなのクソ食らえですよ。大阪は結果がよければ、みんな味方になる。ホント調子がいいんだから……。大阪の人はわかっているから、やっていることが間違ってなければついてきます。落合のような監督が、なぜどこの球団からも呼ばれないのか、不思議で仕方がない。阪神は生え抜きにこだわる必要なんて全くないと思いますよ」抵抗勢力の存在 矢野監督の退任が決まっている以上、後任選びが進められていることは間違いない。元阪神球団社長の野崎勝義氏は言う。「次の監督が決まる時期? 今回のようなケースでは、すでに水面下で動いていないとおかしい。ただし、あまり早く動くとマスコミが察知して潰れてしまう。人気球団だけにやりにくさはありますね」 野崎氏は球団本部長・専務時代、初の外様となる野村克也氏を監督に招聘。2001年には球団社長となって星野仙一氏を招聘した。「当時の久万俊二郎オーナーは“常に次の監督を準備しておかないといけない”が口癖で、我々もそう動いていた。最後は久万オーナーの考えでノムさん、星野さんにお願いすると決まりました。 落合氏は、勝つためにはいい監督でしょうね。当時のキャンプを視察した時に、すごく練習していたのが印象に残っています。夏になるとタイガースは疲れが出て成績が落ちることが多いが、落合監督は“お前らはあれだけ練習してきたんだから、これからはお前らが勝つ時期だ”とムチを入れて夏場に勝っていた。素晴らしいことです」 その一方で、野崎氏は「勝てる監督ですが、阪神監督としてはどうなのか」と不安も口にする。「落合監督は“勝てばファンは喜ぶ”という信念のようですが、球団はファンあってのもので、マスコミ対応も重視されます。ノムさんも星野さんも、そこは大事にしていましたからね。 また、外様のほうが生え抜きよりも改革を進めやすいが、抵抗が大きいのでオーナーが全面的にバックアップしないと厳しい。ノムさんの時はオーナー主導だったが、それでも反改革派がいてしばらくは内部がごたつきました。仮に今のフロントにそれだけの覚悟を持った人材がいるのだとすれば、落合監督は最高の人材だと思います」 こうした不安の根底には“弱くても人気がある”という阪神ならではの問題がある。阪神時代に「ベンチがアホやから」の名言を残して引退した江本孟紀氏はこう話す。「球団があえてリスクを取ってまで落合監督を起用するのかということ。阪神は優勝しなくていいチームですからね。ダントツの最下位でも、12球団で観客動員が一番多い。矢野を辞めさせるために大物を持ってくるというならわかるが、本人がキャンプ前に辞めると言っているんです。巨人が低迷した時に、その気がないのにナベツネ(渡邉恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役主筆)が落合監督と口にしたことがあった。その時と状況が似ているようにも見えますね」“落合監督”という劇薬は実現するのか。球団の覚悟と危機感が問われているとも言えよう。※週刊ポスト2022年5月27日号
2022.05.20 07:00
週刊ポスト
阪神次期監督候補に落合博満氏?(時事通信フォト)
阪神次期監督候補に落合博満氏急浮上 YouTubeや在阪テレビで“ラブコール”
 一時は勝率0割台にまで沈んだ阪神タイガースの“ダメ虎”ぶりに、開幕直後から夕刊紙には矢野燿大監督の「途中休養」の文字が躍った。開幕9連敗の後には藤原崇起オーナーが矢野監督の去就について「当然、シーズン終了まで采配を振るってもらう」と火消しに走る騒ぎとなったが、すでに具体的な後継候補の名前が飛び交っている。「球団が更迭しなくても、矢野監督が自ら休養を申し出る可能性はまだある。正捕手を梅野(隆太郎)に固定せず、お気に入りの坂本(誠志郎)を併用するなど“矢野チルドレン”の重用でチーム内に不満が鬱積している。結果が出ないままだとチームが崩壊しかねない。途中休養なら平田勝男・二軍監督の昇格ではないか。平田体制を3年ほど続ければ、藤川球児、鳥谷敬、今岡真訪(誠)といった元人気選手を次期監督候補として育てられる」(在阪スポーツ紙デスク) 選手として1985年の日本一を経験し、2005年は監督としてリーグ優勝を果たした岡田彰布氏の再任とみる声も根強くある。「監督人事は親会社である阪急阪神ホールディングスの角和夫会長が首を縦に振らなければ決まらない。角会長は同じ早稲田大学出身の岡田氏と親しい。岡田氏なら同じく早大の後輩にあたる鳥谷をコーチとして招聘できるし、JFKの一角として岡田氏に抜擢された藤川も入閣を断わらないはずだ」(阪急阪神HD関係者) 当然のように候補に挙がるのは阪神OBの名前ばかりである。 阪神の球団史のなかで現役時代に在籍経験のない“外様監督”は、野村克也氏(1999~2001年)と星野仙一氏(2002~2003年)のみ。両氏のもとで主軸を打った広澤克実氏は「関西のファンは生え抜きと活きのいい若手が大好きなんですよ」と話す。「次の監督は掛布雅之さんがいいんじゃないか。過去の金銭トラブルがネックと言われるが、一体いつの話なんだと。阪神のことをよく知っているし、ファンの人気も根強い。阪神が負けても人気があるのは、“生え抜き”と“若手”を大事にするからですよ」 自身もヤクルト、巨人を経て阪神に移籍した広澤氏は、「(クラウンライターから移籍した)真弓(明信)も、(広島から移籍した)金本(知憲)も、(中日から移籍した)矢野も、一部からは“外様監督”扱いされるくらい。それほど生え抜き重視の文化がある」と強調した。 ところが、である。今回の後継監督人事を巡って浮上しているのが、完全な“外様”である元中日監督・落合博満氏の名前なのだ。「優勝すればいいんだろ」 現役時代はロッテ、中日、巨人などで活躍し3度の三冠王に輝いた落合氏は、監督としても堂々たる成績を残している。中日の監督を務めた2004~2011年の8年間でAクラス入りを逃したことはなく、リーグ優勝4回、2007年には日本一にも輝いた。「最近の落合氏の言動を見ると、“オレを阪神の監督にすれば優勝できる”というアピールに見えて仕方がない」 そう話すのは在阪テレビ局関係者だ。「4月に自身のYouTubeチャンネル『落合博満のオレ流チャンネル』を開設し、〈阪神・矢野監督の開幕前の退任発表を斬る!〉(4月13日)、〈悩める「阪神・藤浪投手」に助言!〉(同15日)といった見出しの動画を次々にアップ。再生数を伸ばしています。真剣な表情で“佐藤(輝明)が失速したのは体力不足”“オレは休んで調子を戻した”などとアドバイスを送っているのです」 動画内でスタッフから現場復帰について聞かれると「考えます。どうやったら上手くなる、どうやったら勝つということを教えたい」と意欲を見せた。今年からテレビ露出を一気に増やして“オレ流”の分析を披露していることもあり、球界関係者の間で「落合氏が監督復帰に動いている」(スポーツ紙デスク)という見方が定着しつつある。「復帰先を考えた時に、古巣の日本ハム、ロッテ、中日は若い監督になっているし、巨人も原(辰徳)監督の後任は阿部(慎之助)氏など候補がはっきりしている。そうなると今オフに矢野監督が確実に辞める阪神で、という話になってくるのは当然でしょう」(同前) この数年、落合氏は関西ローカルのバラエティ番組に定期的に登場し、阪神ファンにアピールするように「オレならこう立て直す」とタイガースの改革案を口にしてきた。「今年1月には、関西ローカルの深夜番組で掛布氏と対談。“142試合あれば60敗までできる。それで22の貯金になる”といった独自の理論を語り、掛布氏が“マスコミやファンがうるさいのが阪神”と苦笑いすると、落合氏は“最終的に優勝すればいいんだろということ。それを優勝しないからいけないんじゃないか”と言い放った」(前出・在阪テレビ局関係者) 落合氏のYouTubeチャンネルのコメント欄にも「阪神の監督になってほしい」といった投稿が相次いでいる。 結果を出せるからこその「オレ流」であり、今の阪神に欠けているのは何より結果だ。かつて“外様”の野村氏が阪神監督に迎えられたのは、吉田義男監督のもとで首位と27ゲーム差の最下位に沈んだ後のことだった。野村氏が戦力を整備し、引き継いだ星野氏がチームを優勝に導いた。矢野監督のもとで低迷し、再建待ったなしの状況を当時と重ねる人が多いのは当然とも言える。「中日時代の落合監督は本当に勝つことに徹していた。守りを固め、バントと犠飛で点を入れ、先発、中継ぎ、抑えを確立して方程式を作り上げる。面白みがあるとは言い難いが、しっかり勝つ」(ベテラン記者) 2007年の日本シリーズで完全試合を目前にした山井大介を交代させ、9回から守護神・岩瀬仁紀をマウンドに送ったのが象徴的な落合采配だろう。結果を出すためになんでもやる姿勢について、落合監督時代の中日担当の記者はこう振り返る。「考えてみると、野村監督、星野監督と落合監督の長所には共通する点がある。マスコミを使いながら選手を一つの方向に動かす能力です。それぞれスタイルは違いますが、野村監督は練習中にベンチで記者にわかりやすく解説し、紙面を通じてそれが選手に伝わるようにした。星野監督はプライベートでも記者を可愛がり、味方につけた。落合監督は“そんなこともわからないの?”と記者のプライドを刺激する方法で記事を書かせる。 当時の荒木雅博・井端弘和のアライバコンビも、最初は落合監督が“こんな凄い二遊間をなぜ褒めない“と記者の目が節穴のように言って流れを作った。記事が出たら選手たちがその気になって、結果につながる。外様の阪神監督に求められるマスコミ操縦術は持ち合わせている」 はたして“落合監督”という劇薬は実現するのか──。※週刊ポスト2022年5月27日号
2022.05.19 19:00
週刊ポスト
阪神次期監督候補に落合博満氏?(時事通信フォト)
「犬猿の仲」のはずが? 落合博満氏が星野仙一氏を「仙さん」と語ったことが話題に
 元中日監督の落合博満氏が、自身のYouTubeチャンネル「落合博満のオレ流チャンネル」で現役時代に関わった7人の監督を振り返る際、中日時代の星野仙一氏について「仙さん」と言及したことが野球ファンの間で話題となっている。一体何故か。スポーツ紙記者が語る。「2人は長年、犬猿の仲、不仲など言われていました。星野さんの中日監督時代は血気盛んで選手に鉄拳制裁を振るうこともあり、選手だった落合さんはその方針を良く思っていなかったと言われています。ベンチで星野さんの近くに座ることで、他の選手を守っていたとも。星野さんは落合さんを認めていたし、気は使っていました。ただ特別扱いだけはしなかった。結果が出なければカツを入れていましたしね。3度の三冠王とアンタッチャブルな存在だった落合さんを叱るのは星野さんしかいない。そこは新鮮でしたね。 でも、両者にわだかまりはないと思いますよ。星野さんが楽天の監督で、落合さんが中日の監督時代に談笑する姿が見られましたし。2人にしか理解できない絆があると思います」 落合氏は5月11日に更新された動画で、現役時代に仕えた監督について振り返っている。ロッテで山内一弘氏、山本一義氏、稲尾和久氏、中日で星野氏、高木守道氏、巨人で長嶋茂雄氏、日本ハムで上田利治氏と4球団・計7人の監督の下でプレー。印象に残っている監督に質問が及ぶと、「やっぱり稲尾さんじゃないのかな。野球を自由にやらせてくれたしね」と感謝の念を口にした。 そして、「人それぞれ役割分担っていうのはあってね、山内さんにはバッティングのこと教わった。それが理解するまでには5年くらいかかってるけどね。山本一義さんは熱い人だったけどね。星野さんは……あの通りの人だよ」と笑った後に、「高木さんはムッツリであまりものを喋らない」と振り返ると再び監督の数を確認。「山内さん、山本一義さん、稲尾さん、仙さん…」と名前を挙げた。動画のコメント欄では、〈仙さんって呼んだ瞬間ものすごく嬉しかった〉〈まさか落合さんの口から仙さんと言われるとは。嬉しいですね〉〈星野さんの事を『仙さん』って言ったのは、何だか感慨深いな〉などの書き込みが見られた。 星野氏は中日、阪神、楽天で計17年間監督を務め、すべての球団をリーグ優勝に導いている。一方、落合氏は中日で8年間を務めて全てのシーズンでAクラス入りし、4度のリーグ優勝、1度の日本一を達成した。星野氏は選手の好プレーにガッツポーズ、ミスには怒りを露わにするなど闘志を前面に出していたが、落合監督は「選手が顔色を窺うようになる」と試合中は喜怒哀楽の感情を出さず、試合中のミスに対しても「使った監督が悪い」と対照的だった。 星野氏、落合氏を取材したスポーツ紙デスクはこう振り返る。「チームを構築する手法は違いますが、共通するのは勝利への執念です。2人は大の負けず嫌い。落合さんは、選手との関係が険悪だと言われていましたが、試合になれば“勝利”という同じ目標に向けて戦う姿勢はブレなかった。そこはプロフェツショナルでしたね。そして、星野さんも、落合さんも選手たちに慕われていた。取材していると人間味を凄く感じるんです。星野さんは選手の奥さん、裏方にプレゼントしていました。グラウンド上では厳しいイメージがあると思いますが、ユニフォームを脱ぐと優しい。クールなイメージの落合さんも選手たちとの関係性は近かった。遠征先で宿泊するホテルの食事会場で、『監督に野球の話を聞きたいんです』と多くの選手が同じ卓でご飯を食べていました。落合さんは何時間も楽しそうに現役時代の話を語ってくれたそうです」 2人は名将として、現在も語り継がれている。犬猿の仲、不仲で片付けられるほど薄っぺらい関係ではないのだろう。
2022.05.17 16:00
NEWSポストセブン
矢野燿大監督には最後の一年だったが…(写真/共同通信社)
最下位低迷の阪神、すでに話題は次期監督に ファンが望む名将の名前
 開幕ダッシュに失敗し、最下位に低迷する阪神。5月中にも自力優勝消滅の可能性があり、17年ぶりのV奪回は早くも厳しい状況に追い込まれている。そうしたなかで、すでに次期監督を巡る様々な情報が飛び交っている。 在阪スポーツ紙記者はこう語る。「巻き返しに向けて大型連勝しなければいけない状況ですが、見通しは厳しい。打線に爆発力があるチームではないので、投手力で白星を積み重ねていかなければいけませんが、救援陣の不安が解消されていない。番記者としても明るいニュースを見つけるのが厳しいですね。唯一の光は佐藤輝明の活躍でしょうか。活字にはできませんが、話題は矢野燿大監督の後任人事です。チームをもう一度立て直すためには、選手の意識を変えなければいけないでしょう」 矢野監督は2月1日のキャンプイン前日に、今年限りでの退任の意向を表明。異例の出来事に選手たちも戸惑いを隠せなかった。就任1年目の2019年は3位、2020年は2位、昨年もヤクルトにあと一歩及ばず2年連続2位に終わった。3年連続Aクラスという成績は決して悪くないが、「野球の質」を見ると高いとは言いがたい。昨年は4年連続リーグワーストの86失策。最少だった巨人の45個の倍近くだった。12球団屈指の投手陣をそろえながら、「守りの野球」が徹底されていない。「矢野監督は捕手出身ですが、守備を重視しているとは思えない起用法をする。象徴的なのが佐藤の起用法です。ルーキーだった昨年は右翼を守りましたが、今年は春季キャンプで三塁、右翼と複数のポジションを守らせ、開幕2週間前のオープン戦で二塁にスタメン抜擢して驚かせた。佐藤はアマチュア時代を含めて二塁を一度も守ったことがありません。不測の事態に備えてということですが、守備を重視するならこんな起用法は考えられません。守備位置をコロコロ変えると打撃にも影響が出る恐れがある」(前出・在阪スポーツ紙記者) 矢野監督が就任以来、能見篤史(現オリックス)、鳥谷敬氏、福留孝介(現中日)ら主力選手たちが戦力構想から外れる形で退団。若返りを図り、近年は優勝争いを繰り広げている実績は評価されるべきだろう。選手との絆も固い。今年の春季キャンプでは、「1DAYキャプテン」を務めた糸井嘉男の発案で、「予祝」として胴上げすることを提案。矢野監督はウインドブレーカーを脱ぎ、3回宙に舞った。本番では指揮官の背番号と同じ数の88回胴上げを行なうと糸井が報道陣に宣言して盛り上がったが、ペナントレースの戦いぶりを見ると実現は厳しそうだ。ファンが熱望する落合阪神 今年限りで退任する矢野監督の後任として、平田勝男2軍監督、元監督の岡田彰布氏らが候補として考えられる。野球解説者として活動しているOBの鳥谷氏、藤川球児氏は指導者経験がないため、1軍監督にいきなり抜擢されることは考えづらい。 外部招聘として、野球ファンから待望論が強いのが落合博満氏だ。中日の監督を務めた2004年から2011年の8年間全てAクラス入りを果たし、4度のリーグ優勝、1度の日本一を達成。歯に衣着せぬ発言は健在だ。今年3月にYouTubeチャンネル「落合博満のオレ流チャンネル」を開設。4月13日の動画では、矢野監督の退任表明に言及し、「辞める人のために誰がやる? プラスアルファとリスク、どっち多いかと言えばリスクのほうが多い。矢野がどういう気持ちで言ったかそれはわからないけど、どうせ言うんだったらシーズン終わってからの方が潔いと思うけどね」と疑問を呈した。 そして、「矢野に見いだされてレギュラーになってゲーム出ている人間は『矢野が辞めるなら有終の美を飾らせよう』と必死にやるかもしれないけれども、冷や飯くってる人間は『どうせ次誰か来るんだろ』とそっちのほうが多いと思う」と持論を展開した。「阪神球団の体質を考えると、落合さんを招聘することは考えづらい。ただ、過去にも野村克也さん、星野仙一さんを外部招聘した経緯があるので可能性はゼロではない。落合さんが監督に就任したら野球がガラッと変わるでしょう。練習量は間違いなく増えるだろうし、守れない選手は使われなくなる。四球を選べず、出塁率が低い選手も評価されないでしょう。勝つための野球を徹底する。中日時代は『勝っても客を呼べない』とも揶揄されましたが、阪神ファンが一番に望んでいるのは優勝です。個人的には落合さんが阪神をどう変革するか興味があります」(スポーツ紙デスク) このまま低迷が続けば、阪神の話題は「ストーブ人事」にシフトしてしまう。セ・リーグを盛り上げるためにも意地を見せてほしい。
2022.04.27 17:00
NEWSポストセブン
予告先発で野球の楽しみ方はどう変わったか(写真は2011年。田中将大と斎藤佑樹のプロ入り初の直接対決。時事通信フォト)
プロ野球「予告先発」導入から10年 かつて野村克也・落合博満らが反対した理由
 先発投手が前日に判明する『予告先発制度』が両リーグで採用されてから、丸10年が経つ。パ・リーグは1994年から全試合で導入。当初、セ・リーグは採用を見送っていたが、2012年から導入し、同年から交流戦も含めてレギュラーシーズンの全試合が『予告先発』になった。野球担当記者が解説する。「もともと、観客動員に悩んでいたパ・リーグが1983年の開幕戦で初めて採用しました。その後、開幕戦や日曜日に『予告先発』をする年があって、1994年から全試合で行なうようになり、今に至ります。セ・リーグは“反対派”だった中日・落合博満監督が退任した翌年から導入されました」(以下同) 予告先発は誰が投げるか事前にわかることで、ファンを球場に呼びやすくなる。また、チームとしては、試合前のミーティングで1投手の対策に絞ればいいため、無駄がなくなるという利点がある。「『観客動員アップのため』は建前でしょう。セ・リーグは導入前の2011年と比べ、2012年の入場者数が減っています。だからといって、予告先発廃止の議論にはなりませんでした。もちろん、各チームのエース級投手が投げる日には、『ぜひ観に行こう』というファンも多くいるでしょうが、それ以外の予告先発はほぼ観客動員に影響しないのが現実。各球団の本音としては、余計な時間を使いたくないのでしょう。 先発を発表していない時代は、2~3投手への対策を立てながらも、予想外の違う投手が出てくることもあった。それが予告先発なら、余計な神経を使う必要もなくなる。その分、練習に集中できるし、正々堂々とした真っ向勝負になっていいという見方もある。一方で、予告先発は『強者がより強者になる』制度です。正攻法で戦えば、戦力のあるチームが有利になりますからね」新庄ビッグボスが指名する開幕投手も前日までに判明 2006年には、楽天の指揮官1年目の野村克也監督が12球団監督会議で、予告先発の廃止を主張。「相手の先発を教えてもらうと監督が楽。そういうことだから、後継者が育たない」「戦いは90%が読み。騙された、当たったという快感もある」「弱い球団には不利。奇策、奇襲が使えない」などと持論を展開した。だが、現在に至るまで同制度はなくなっておらず、“先発の読み合い”は消滅した。「予告先発がファンの楽しみを奪ってしまっている面もあると思いますよ。日本ハムの新庄剛志ビッグボスは開幕投手候補について『13人くらいいる』と発言しており、本当に誰が来るのかわからない。それでも、予告先発制度なので、前日までにはわかってしまう。サプライズ度やドキドキ感は半減どころか、8割くらい少なくなりますよね。 予告先発がセ・リーグになかった2004年、就任1年目の中日・落合博満監督が開幕投手に3年間一軍での登板がなかった川崎憲次郎を抜擢した時、ナゴヤドームが驚きの声で溢れ返りました。予告先発は“筋書きのないドラマ”と言われるプロ野球の筋書きを作ってしまっている点も忘れてはいけない」 名将・野村克也監督が「弱い球団には不利」と指摘した予告先発。3年連続でパ・リーグ5位に沈んでいる日本ハムにとっても不利に働く可能性があるが、新庄ビッグボスはどう対応するのだろうか。「新庄ビッグボスのことですから、予告先発制もうまく利用するとは思います。例えば、右投手を先発させ、打者1人に投げ終えたところで、左投手に変えるなんてこともあると思います。意外な采配でファンを楽しませてくれるのではないでしょうか」金田監督は奇襲失敗、野村監督は成功 パ・リーグが4月から8月までの日曜日を予告先発としていた1990年、ロッテの金田正一監督が奇襲を敢行している。8月5日のオリックス戦(西宮球場)で、左の中継ぎである今野隆裕を今季初先発させたものの、わずか2打者4球で右腕の小川博にスイッチした。この時は、小川は打ちこまれ、ロッテは3対12と大敗を喫した。 同じ年、予告先発制度のないセ・リーグではヤクルトの野村克也監督が10月1日の広島戦(広島市民球場)で、右投手の郭建成を先発させた。『3番・ライト』に偵察要員を入れていた広島の山本浩二監督はそれを見て、左打者の長内孝に代えた。野村監督は郭が先頭の野村謙二郎を1球で打ち取ると、左投手の加藤博人に交代させた。加藤は6回まで1失点に抑え、後を継いだ内藤尚行が3イニングを締めて、3対1で勝利している。「ロッテ金田監督の奇襲の時は、当時のオリックスがスイッチヒッターの松永浩美から始まり、門田博光、石嶺和彦、ブーマー、藤井康雄など打線はほとんど固定されていたので、あまり効果がなかったのでしょう。一方、広島は先発が右か左かで、打線が変わっていた。野村監督がそこに目をつけて、奇襲でうっちゃった。 今年も予告先発制で行われますが、両リーグで採用されて丸10年が経ったわけですし、本当に必要なのか、野球の楽しみを奪っていないかという議論は、常に続けていったほうがいいと思います」 予告先発がドラマを奪っているのか、あるいは新たなドラマを生むのか──。
2022.03.15 07:00
NEWSポストセブン
河野太郎氏、内藤佐和子・徳島市長ら4人が選んだ「2021年の3冊」
河野太郎氏、内藤佐和子・徳島市長ら4人が選んだ「2021年の3冊」
 外出自粛を余儀なくされた2021年は、本を手に取る機会も多かったはず。社会で活躍するかたがたはどんな本を読んだのでしょうか? 「私が選ぶ2021年の3冊」を聞いてみました。●河野太郎さん(衆議院議員)/2021年は新型コロナウイルスのワクチン接種の推進に尽力『捏造された聖書』/バート・D・アーマン 訳・松田和也/柏書房 キリスト教の聖典である新約聖書は、最初に書かれたものから、時代の移り変わりや教義の変遷と共に書き換えられてきたのだということを、具体的な例を挙げながら、わかりやすく解説してくれます。推理小説のような面白さを味わうことができます。『アンゲラ・メルケル 東ドイツの物理学者がヨーロッパの母になるまで』/マリオン・ヴァン・ランテルゲム 清水珠代・訳/東京書籍『The Fountainhead』/Ayn Rand/Signet●斎藤幸平さん (経済思想家)/『人新世の「資本論」』が40万部を突破!『サステイナブルに暮らしたい 地球とつながる自由な生き方』/服部雄一郎・服部麻子/アノニマ・スタジオ 服部さん夫妻は、エコな生活をする際の師匠みたいな存在。けれども、これまでの本は修業みたいにレベルが高い(笑い)。その点、この本は服部さんたちの実際の暮らしに落とし込まれていて、自分の生活を見直すヒントに溢れている。『監視資本主義 ─人類の未来を賭けた闘い』/ショシャナ・ズボフ 野中香方子・訳/東洋経済新報社『世界を動かす変革の力 ブラック・ライブズ・マター 共同代表からのメッセージ』/アリシア・ガーザ 人権学習コレクティブ・監訳/明石書店●内藤佐和子さん(徳島市長)/史上最年少の女性市長(当時36才)として注目『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』/鈴木忠平/文藝春秋 選手と監督がもたれあわない自立したチームで勝利を貪欲に求めていくこととファンの心を掴むことは必ずしも一致しない。選手やファンを引っ張るのは熱や情か、それとも揺るがない技術か。チームを動かす事例としても、読み物としても面白い良書。『まちづくり幻想 地域再生はなぜこれほど失敗するのか』/木下斉/SB新書『マイノリティデザイン 「弱さ」を生かせる社会をつくろう』/澤田智洋/ライツ社●山本健人さん(医師)/人体の仕組みをわかりやすく書いた『すばらしい人体』が大ヒット『関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか』/伊原薫/交通新聞社新書 鉄道には明るくない私でも、あまりに面白くて夢中で読んだ。自らを阪急のファンと語る著者が、「阪急電鉄」というただ一つのテーマをマニアックに掘り下げていく。自分の大好きなものを、これほど上手に、楽しく分かりやすく語れる才能に憧れる。『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』/鈴木宏昭/ブルーバックス『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』/庭田杏珠、渡邉英徳/光文社新書※女性セブン2022年1月6・13日号
2021.12.24 07:00
女性セブン
選手たちにオーダーを決めさせるという新庄ビッグボスの意図は?(時事通信フォト)
新庄ビッグボス“選手がオーダー決める作戦” 過去に長嶋監督も実践
〈オープン戦で選手達で オーダー 監督を決め どうやって勝つのかを自分達で考えさせるプランを考えてます〉 11月25日、日本ハムの監督に就任した新庄剛志ビッグボスがツイッターでまたしても仰天プランを発表した。オープン戦で首脳陣ではなく、選手がスタメンを決めるというのだ。プロ野球担当記者が話す。「新庄ビッグボスの狙いは“相手の立場になって物事を考えること”でしょう。秋季キャンプで選手に自分が普段守らないポジションを体験させたことと狙いは同じだと思います」(以下同) 秋季キャンプでは捕手の古川裕大をライト、一塁の清宮幸太郎をレフト、外野手の五十幡亮汰をショート、同じく外野手の万波中正をサードに入らせるなど守備位置をシャッフルし、「外野は内野の気持ち、捕手は外野の気持ち、全て相手の気持ちをわからせてあげる」と説明していた。「別の角度から野球を見ることも大事ですし、それぞれのポジションの大変さも実感できる。同じ場所にずっといると考え方も凝り固まってきて、視野が狭まりがちになる。他の選手の気持ちや考えを慮る練習だと思いました。オーダーを自分たちで決めることを通して、選手に違う視点から野球を見せたいのでしょう」“前代未聞”とも報道された新庄ビッグボスの“選手がオーダーを決める”プランだが、今から27年前に公式戦で実行していた指揮官がいたという。「“10.8決戦”を制して優勝した1994年、巨人の長嶋茂雄監督が8月6日の中日戦(ナゴヤ球場)で選手に打順を組ませたことがありました。この年の巨人は貧打に悩み、前日まで3連敗で打線は2点、2点、3点と得点力不足だった。当時の4番である落合博満が中心となって、当たっている2番の川相昌弘をポイントゲッターの6番に置き、いつも5番や6番を打っていたコトーを1番に、1番のグラッデンを2番に回した新鮮なオーダーを組みました」 その日の巨人のスタメンは以下のようになった。【1番】コトー センター【2番】グラッデン レフト【3番】松井秀喜 ライト【4番】落合博満 ファースト【5番】原辰徳 サード【6番】川相昌弘 ショート【7番】槙原寛己 セカンド【8番】村田真一 キャッチャー【9番】桑田真澄 ピッチャー(※当時は予告先発制ではないため、7番の槙原は偵察要員。篠塚和典に代わった) 自分たちで決めた責任感もあってか、巨人打線は毎回の16安打を放ち、猛打を爆発させた。しかし、チャンスで打てず、3回のグラッデンのタイムリー二塁打、8回の桑田のタイムリー三塁打による4点止まりに。試合は2点リードの9回、抑えの石毛博史が四球から崩れ、同点に。延長12回に橋本清が1死満塁のピンチを迎え、最後は村田のパスボールでサヨナラ負けを喫した。「長嶋監督は翌日も選手の考えたオーダーを採用して(1番から6番までは同じ、7番は元木大介、8番は大久保博元に代わる)、今度は7対1と大勝。連敗を4で止めました。負けた試合で辞めるのではなく、勝って終わった。ペナントレースを戦う上で、これは大きかったと思います」 2試合目は先発全員安打の19安打7得点と大爆発。1番・コトーが5安打2打点、7番・元木、8番・大久保がともに3安打と活躍した。翌日からは首脳陣の考える打順になり、川相は定位置の2番に戻ったが、1番・コトーはその後3試合継続された。「新庄ビッグボスは就任後にインタビューで訪れたプロ野球OBに積極的に質問していたように、自分の発想だけでなく、選手のアイディアを吸収したいという思いもあるのでしょう。就任会見で良い意味で“カンピューター”という言葉を使ったように、長嶋監督と同じく普通では思い付かないような発想を持っている」 さまざまなプランを披露し、注目を集めていく新庄ビッグボス。来シーズンが今から楽しみだ。
2021.12.02 16:00
NEWSポストセブン
「俺の話はしない方がいい」の真意とは(時事通信フォト)
落合博満が番記者との別れ際に放った一言「俺の話はしない方がいい」
 仏頂面で腕を組み無言のままベンチに座る──球史に数多いる監督の中でも毀誉褒貶が激しいのが、落合博満だ。そんな彼の素顔に肉薄したノンフィクション『嫌われた監督』(文藝春秋刊)がベストセラーになっている。著者の鈴木忠平氏が本誌に特別寄稿した。(全4回の第4回) * * * 私が監督としての落合と最後に会ったのは、2011年の12月だった。クリスマス間近のよく晴れた日だった。 その日、私は名古屋の東部にある落合のマンションに向かっていた。落合はすでに中日の監督を退任することが決まっていて、ソフトバンクホークスとの日本シリーズを戦い終えていた。 それと前後して、私もチームの担当を離れることになった。別れの礼儀としてそれを伝えにいったのだった。「ちょっと乗れよ」 ほとんど手ぶらでマンションを出てきた落合はそう言って、タクシーに乗り込んだ。 名古屋の中心街へと向かう車中で転勤を告げると、落合は「そうか」と言った。そして私を見た。「ひとつ覚えておけよ」 何かの核心に触れるときの顔だった。「お前がこの先いく場所で、俺の話はしない方がいい。するな」 私は一瞬、何を言われているのか理解できなかった。プロ野球の世界では、別れ際に「自分のことを忘れないでくれ」と言う取材対象はいても、「自分の話はするな」と言う人物は見たことがなかったからだ。 落合は窓の外へと視線を移すと、空を見上げながら続けた。「俺のやり方が正しいとは限らないってことだ。お前はこれからいく場所で見たものを、お前の目で判断すればいい。俺は関係ない」 言葉の真意がどこにあるのか。静かな口調と、淡々とした表情からは何も読み取れなかった。 あの日もやはり、落合は問いだけを残していった。「おお……そうか」 落合は一体、何を伝えようとしたのだろう。あれから10年が経った今も、自問は続いている。 ただ、落合を追った8年間をひとつの物語として書いてみて、自分なりに思い至ったことはある。 俺のような生き方は誰にもできない。これは万人の正解などではなく、自分にだけしか当てはまらない答えなのだと、この世に他人から与えてもらう答えなど存在しないのだと、落合は言いたかったのかもしれない。 確かに私の胸には、落合のような生き方への羨望と怖れと、自分には絶対にできないという諦めがある。それが落合について書かなければ、という使命感の源だった。 落合が監督をした8年間に関する連載(『週刊文春』2020年8月~2021年3月)を世の中へ発表するという段になって、私はあの冬の日のように、それを本人に告げておく必要があると思った。 久しぶりに聞く声は、少し枯れたように感じられたが、会話に漂う緊迫感は変わらなかった。 これは私が書き手として死ぬまでにやろうと思っていたことのひとつで、それが週刊誌の要請を受けて今になったと告げると、落合はこう言った。「おお……そうか」 それだけだった。何を書くのか。どう書くのか。賛否も可否も正誤も、答えらしきことは何も口にしなかった。 落合はあの頃も今も、落合博満のまま時代を生きていた。それはおそらく1960年代、秋田の高校で、野球部の旧弊に嫌気がさし、グラウンドに背を向けたころから変わっていない。 好きであれ、嫌いであれ、落合がいまだ人々の関心を惹きつけるのは、時代を突き通すような、その普遍性のためではないか。極端な孤独と自由が放つ鮮烈さのためではないだろうか。 少なくとも私自身はこれからも、「おまえ、ひとりか?」と、自分に問いかけながら生きていくことになる。その先に答えがあるかはわからないが、否が応でも、そうせざるを得ない。【プロフィール】鈴木忠平(すずき・ただひら)/ライター。1977年千葉県生まれ。日刊スポーツ新聞社を経て、2016年に独立し2019年までNumber編集部に所属。現在はフリーで活動している。著書に『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』(文藝春秋刊)など。※週刊ポスト2021年10月15・22日号
2021.10.14 16:00
週刊ポスト
「俺の話はしない方がいい」の真意とは(時事通信フォト)
落合博満流の交際術「好きな女との初めての食事はラーメン屋に行け」
 仏頂面で腕を組み無言のままベンチに座る──球史に数多いる監督の中でも毀誉褒貶が激しいのが、落合博満だ。そんな彼の素顔に肉薄したノンフィクション『嫌われた監督』(文藝春秋刊)がベストセラーになっている。著者の鈴木忠平氏が本誌に特別寄稿した。(全4回の第3回) * * * 2021年現在、電車に乗れば、7人掛けの座席に並んだうち、5人か6人はスマートフォンの画面を覗いている。今や個人の世界の半分は画面の中にあると言っても良いのかもしれない。 私を含めた人々は、その中にそれぞれが直面している問題を解くための方程式や答えを探している。あるいは「フォロワー」「登録者」という言葉で表現されるデジタル上の賛同者を探している。そこではより多くの賛意を集めた者がステータスを得る。誰かを論破して黙らせた者が「正解」とされる。 一方で人々は、その賛意が一瞬にして消えることも、舞台から引きずり降ろすための敵意となりうることも知っている。巨大災害やパンデミックという答えのない混乱に直面したとき、「イエス」のみで築き上げられた組織や統治者がいかに無力であるかということも、目の当たりにしてきた。 それでもなお、人々は他者の同意を求めて彷徨い、どこかに正解はないかと探している。私もまたその欲求から逃れたいと思いながらも、逃れられずにいる。 落合の言葉や佇まいが、何年経っても、心の片隅から消えないのは、そのためではないだろうか。 落合は他者の賛同を必要としなかった。善悪や正誤を超えたところで生きていた。その姿が時代を超えて脳裏に焼き付いている。 あれは監督になって何年目だったか。オフシーズンのある日、落合が番記者たちにこんな話をしたことがあった。「いいか、好きな女と初めて食事にいくときは、ラーメン屋にいくんだ」 ぽかんと呆気にとられた記者たちに向かって、落合は続けた。「おまえら、最初だけフランス料理だかなんだかに連れていって、背伸びするだろう? そうじゃないんだ。いつものラーメン屋に連れていって、それでも笑ってくれる女と付き合うんだよ。そういう女を、稼いでフランス料理の店に連れていってやればいいじゃねえか」 落合はこういう話をするとき、いつも断定的な物言いをする。緊迫した空気を解いて、愉快そうに笑っている。 ところが、仕事や人生についての核心に触れるようなときには決して断定せず、答えを提示せず、無表情で問いだけを残していく。(第4回へ続く)【プロフィール】鈴木忠平(すずき・ただひら)/ライター。1977年千葉県生まれ。日刊スポーツ新聞社を経て、2016年に独立し2019年までNumber編集部に所属。現在はフリーで活動している。著書に『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』(文藝春秋刊)など。※週刊ポスト2021年10月15・22日号
2021.10.13 07:00
週刊ポスト
「俺の話はしない方がいい」の真意とは(時事通信フォト)
落合博満の「非情采配」 完全試合目前の山井投手降板劇の真相
 仏頂面で腕を組み無言のままベンチに座る──球史に数多いる監督の中でも毀誉褒貶が激しいのが、落合博満だ。そんな彼の素顔に肉薄したノンフィクション『嫌われた監督』(文藝春秋刊)がベストセラーになっている。著者の鈴木忠平氏が本誌に特別寄稿した。(全4回の第2回) * * * 落合の孤独をもっとも世に知らしめたのは、2007年11月1日のひとつの采配だった。 日本ハムファイターズとの日本シリーズ、中日は日本一に王手をかけて、本拠地ナゴヤドームでの第5戦を迎えていた。 この試合で落合は、8回まで1人もランナーを出していない先発投手・山井大介を降板させた。1点差を守る9回のマウンドにストッパーの岩瀬仁紀を送ったのだ。 完全試合を目前にした投手にリリーフを送った監督は、後にも先にも落合だけだ。 史上初となる日本シリーズ完全試合のロマンを捨て、わずかでも勝利の確率を高めることを選んだ。落合の采配は、球界の枠を超えて議論となった。この瞬間から「非情」は落合の代名詞となり、中日を半世紀ぶりの日本一へ導いた事実が霞むほどの非難が寄せられた。 落合の決断に味方はいなかった。 私はあの日、落合の手記をとることになっていた。全てが終わった後でなら話してもいい──それが落合の提示した条件だった。新聞社と記者にとっては締め切りとの戦いだった。落合に試されているような気がした。 ゲームが終わり、記者会見、祝勝のビールかけ、テレビ出演と、監督としてのあらゆる仕事を終えた落合が私の前に現れたのは午前零時をまわったころだった。 薄暗いナゴヤドームの駐車場で立ったまま、落合は語り始めた。そして、最後にあの采配についてポツリとこう言った。「監督っていうのはな、選手もスタッフもその家族も、全員が乗っている船を目指す港に到着させなけりゃならないんだ。誰か1人のために、その船を沈めるわけにはいかないんだ。そう言えば、わかるだろ?」 私はその言葉を耳にして確信した。 あの交代劇には「事実」と「真実」があった。 試合後の記者会見で、9回を迎える前に山井自らが降板を申し出た、という事実が明らかになっていた。序盤に右手の血マメをつぶしていたことも説明された。 だが、その裏に落合の内面という真実があった。 落合は血マメの一件があろうとなかろうと、たとえ山井が自ら降板を切り出さなくても、交代を決断していた──駐車場に響いた落合の言葉は、そう語っていた。 つまり落合は、渦巻く非難を承知の上で、確信的に孤立したのだ。 その夜、誰もいなくなった駐車場をひとり去っていく落合はパサパサだった。勝つことのみを求め、実際に勝ったはずなのに何も手にしていないかのように乾いていた。なぜか、私にはそれが孤独の持つ美しさであるように見えた。(第3回へ続く)【プロフィール】鈴木忠平(すずき・ただひら)/ライター。1977年千葉県生まれ。日刊スポーツ新聞社を経て、2016年に独立し2019年までNumber編集部に所属。現在はフリーで活動している。著書に『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』(文藝春秋刊)など。※週刊ポスト2021年10月15・22日号
2021.10.12 11:00
週刊ポスト
「俺の話はしない方がいい」の真意とは(時事通信フォト)
落合博満が番記者に見せた素顔 「オレは決まったことには従うんだ」
 仏頂面で腕を組み無言のままベンチに座る──球史に数多いる監督の中でも毀誉褒貶が激しいのが、落合博満だ。そんな彼の素顔に肉薄したノンフィクション『嫌われた監督』(文藝春秋刊)がベストセラーになっている。著者の鈴木忠平氏が本誌に特別寄稿した。(全4回の第1回) * * * なぜ今、落合博満なのか? 最近、人からこう問われることがある。拙著『嫌われた監督』を含めて、今年は落合に関する書籍がすでに何冊か、刊行されているのだという。 その問いに対して、私はいつも明確な答えができずにいる。だから自分の中にある、ひとつだけ確かなことを言うようにしている。「いつか自分が死ぬまでに、落合という人物について書いてみよう、書かなければならないという使命感のようなものはずっとありました」 質問に対しては、甚だ曖昧な返答である。「なぜ、今なのか」という問いに答えていない。 だが、なぜか多くの人はそれで納得してくれる。ああ、その感覚なら、そういえば自分の心にもそれらしきものがあったような気がする、とでもいうように……。 私は2004年から2011年まで、スポーツ新聞の担当記者として、落合が中日ドラゴンズの監督を務めた8年間を取材した。決して短くないその歳月の中で、私が最も影響された落合の言葉がある。「おまえ、ひとりか?」 この、たったひとつの問いである。 あれは落合が監督になって3年目の春のことだったと記憶している。私はあることを訊くために東京・世田谷の落合邸に向かっていた。 小田急線の駅を降りて、改札を出る。道幅の狭い商店街を抜け、住宅街を進んでいく道すがら、正直、何度も立ち止まり、引き返そうと思った。 入社7年目、28歳。私は社内でも、取材の現場でも集団の序列の後方にいた。年長者や他の誰かに命じられた場所へ行き、言われたように記事を書いていた。輪の外側で傍観することに慣れきっていた。自分ひとりで何かできるなどとは想像もせず、いつもひとりになることを避けていた。そうすることで自分を守っていたのかもしれない。 そんな末席の記者が初めて、ある人物に何かを訊きたいという衝動に駆られた。誰に言われるでもなく、ひとりドアをノックしてみようと思った。 それでもいざ、落合邸が近づいてくると、チームの指揮官と私のような記者が面と向かうのは分不相応である気がした。そうした劣等感に加えて、落合の発する他人を寄せつけない空気が私を怖気づかせていた。 静かな住宅街にひとりで佇み、白い外塀を背にして落合を待っていた時間は、途方もなく長いものに感じられた。 しばらくして落合が玄関を出てきた。そして門扉の脇に立っていた私を見つけると、周囲を見渡して口を開いたのだ。「おまえ、ひとりか?」 私は訊かれていることの意味がわからず、何も言えなかった。落合は他に誰もいないことを確認すると言った。「ひとりなら……乗れ」 スタジアムへと向かうタクシーに乗り込んだ落合はまず、運転手に促される前にシートベルトを締めた。意外な気がした。 監督になってからの落合には、球界や名古屋という土地の慣習を破壊していく反逆者のイメージがあったからだ。 そんな私の視線に気づいたのだろう、落合はこちらを見てニヤリとした。「オレは決まったことには従うんだ。ただ、納得できないことには、納得できないと言うだけだ」 そして先ほど私に投げた問いの意味を明かした。「オレはひとりでくる奴にはしゃべるよ」 そこに、無口でマスコミ嫌いといわれる指揮官はいなかった。 落合は私の質問に答えた。日常の些細なことについても話した。私が末席にいる記者であることなど、気にも留めていないようだった。 私が孤独について考えるようになったのは、それからだ。集団を抜け出し独りになることによって、失うものばかりではなく、獲得できるものがあることを初めて知った。(第2回へ続く)【プロフィール】鈴木忠平(すずき・ただひら)/ライター。1977年千葉県生まれ。日刊スポーツ新聞社を経て、2016年に独立し2019年までNumber編集部に所属。現在はフリーで活動している。著書に『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』(文藝春秋刊)など。※週刊ポスト2021年10月15・22日号
2021.10.11 07:00
週刊ポスト
原監督の現役時代の経験がベテラン操縦術につながっているのか(時事通信フォト)
巨人・原監督、ベテラン亀井の起用法の裏にある現役晩年の苦い経験
 巨人・原辰徳監督の現役晩年の苦しい経験が、ベテラン操縦術に繋がっているのかもしれない。巨人の最年長38歳10か月の亀井善行が6月5日の日本ハム戦で通算100号を達成した。歴代4位の遅さで、球団ではV9の5番打者・末次利光の34歳1か月を大幅に更新し、最年長記録となった。試合後、原監督は「これから先も200号を目指して頑張るでしょう」とさらなる飛躍を願った。 今シーズンの亀井は史上初の『開幕戦代打サヨナラ本塁打』でスタートしたが、打率1割8分6厘、2本塁打、8打点(6月6日現在。記録は以下同)と結果を残しているとは言い難い。プロ野球担当記者が話す。「最近10度の代打では7打数ノーヒット、3三振と当たっていませんでした。調子が出なくても、原監督は亀井のプライドを傷つけることなく、良い場面で使っています。10度のうち、7度は得点圏に走者を置いた局面で、2度は9回の最後の打者。その期待に応えようと、『代打・亀井』はヒットを打てなくても、ベテランらしい貢献の仕方をしていました」(以下同) 5月25日の楽天戦では、2点リードの7回裏2死満塁で押し出し四球を奪い取った。制球の定まらないブセニッツがスリーボールからワンストライクを取った後、タイムで相手に嫌な間を作って、押し出しに繋げた。6月2日の西武戦では1点リードの6回裏2死一三塁で四球を選んでチャンスを拡大。6月4日の日本ハム戦では2点リードの7回裏無死二三塁で高めのボールを狙ったかのように、センターに犠牲フライを打ち上げた。「ヒットを打てなくても、ベテランならではの間の取り方をしたり、最低限の仕事をこなす。原監督はそこに信頼を置いているのでしょう。亀井は1軍に帯同しながら、志願してイースタンリーグに出場するなど必死に調子を戻そうとしてきた。その姿勢も買っているでしょう」 丸佳浩が不調で登録を抹消された6月5日、代役に亀井が指名された。1打席目に四球を選んで先制のホームを踏むと、9回には追撃の通算100号。チームは敗れたが、1試合で外野の全ポジションを守り、存在感を示した。「年齢を重ねると、動体視力が落ちてくる。しかも、代打になると、中継ぎや抑えの150キロ超えのボールを持つ投手とも対戦し、1打席で結果を残さないといけない。4打席勝負できるスタメン起用は亀井にとって、復調のきっかけとなるはずです。翌日も『6番・ライト』で先発出場し、4打数1安打でした。2日連続で4打席目にヒットが出ていることは良い傾向です。ベテランになると、4打席目以降は極端に打てなくなる。あの王貞治さんでさえ、引退した40歳の1980年は4打席目以降の打率が1割6分9厘でしたから」「代打・長嶋一茂」「代打・岡崎郁」「代打・吉村禎章」 原監督の起用法がベテランを復調させつつある。これには、現役時代の自身の苦い経験があったからこその采配かもしれない。「晩年の原辰徳は代打を送られたり、落合博満の守備固めで出場したり、相手の先発が左か右かわからない時にはまず偵察要員入れられたりしていましたからね。およそ、長年巨人の4番を張ってきた打者に対する起用法ではなかった」 1993年、長嶋茂雄監督が2度目の就任を果たした時、原は4番を打っていた。しかし、この年不調に陥り、打率2割2分9厘、11本塁打、44打点と入団以来最低の成績に終わってしまう。オフにはFAで中日から落合博満が移籍。4番の座を奪われた上に、オープン戦で左足アキレス腱の部分断裂をしてしまい、開幕には間に合わなかった。6月14日の復帰戦で、阪神の藪恵市からホームランを放ち、その後も好調を保つも、レギュラーを確約されたわけではなかった。 9月8日の横浜戦では1点リードの7回裏に『代打・長嶋一茂』を送られた。長嶋監督は「1点勝負だから守備を重視したんです」と次の回からサードに一茂を守らせるための起用だとその意図を明かしたが、不可解な代打だった。一茂は初球を打ってサードゴロに倒れている。9月14日のヤクルト戦でも、2点ビハインドの7回1死満塁のチャンスで、原に代わって『代打・岡崎郁』がコールされている。しかし、岡崎は凡退し、結局試合は0対2のまま敗れた。「この年の原は決して不調ではありませんでした。数字だけ見ても、67試合で打率2割9分、14本塁打、36打点。広島、中日と優勝争いを繰り広げていた終盤も貴重な一打で貢献していました。9月18日の阪神戦では1回に猪俣隆から決勝3ラン、10月5日のヤクルト戦では石井一久から先制3ランと要所で活躍しています。それでも、長嶋監督から全幅の信頼を置かれていなかったのかもしれません」 宿敵・西武を倒して日本一になった1994年オフには、ヤクルトから広沢克己がFA移籍し、原が守るサードにはジャック・ハウエルがやってきた。それでも、たまに訪れるスタメンの機会で活路を見出そうとした。5月30日のヤクルト戦では『3番・サード』で出場し、4対6の9回裏には1死満塁という一打同点の場面で打席が回ってきた。 しかし、長嶋監督は前の打席にタイムリー二塁打を放っている原に代わって、『代打・吉村禎章』を告げた。俯きながらベンチに戻る原を尻目に打席に向かった吉村は、セカンドゴロ併殺打でゲームセット。試合後、野村克也監督は「原によう代打を出してくれた。原の方がイヤだった? いや、それは何とも言えんがな」と話している。「この時(1994、1995年)の経験があるから、監督になった今、ベテランの亀井を取っておきの場面で代打に送るし、丸の2軍落ちというピンチにはスタメンで使っているのではないか。起用法で『おまえさんを頼りにしてるぞ』というメッセージを送っている。100号達成後の『200号を目指して頑張るでしょう』というコメントも粋です。今まで巨人を引っ張ってきたベテランを無碍に扱うと、チーム内の空気が悪くなるとわかっているからでしょう。 当時、吉村は長嶋監督に『原さんの代打だけは勘弁してください』と訴えたそうです。実際、原への代打はいずれも成功していない。原や高橋由伸、阿部慎之助、そして亀井と生え抜きのベテランは登場するだけで球場の雰囲気を一変させる力を持っている。原監督はファンの声援も味方になるとわかった上で、ベテランを上手く使っている印象です」 原監督は選手に対し、「この経験を肥やしにしないといけない」と頻繁にコメントする。自らが現役時代の苦い思い出を生かしているからこそ、説得力のある言葉になっているのかもしれない。
2021.06.08 16:00
NEWSポストセブン
落合博満は移籍初年度「10.8決戦」で本塁打を放った(投手は中日・今中慎二。時事通信フォト)
落合から丸まで、巨人のFA移籍野手の初年度4月成績 梶谷はどうなる?
 4月の成績はシーズン成績にどう影響するのか。今年、巨人にFA移籍した梶谷隆幸は古巣・DeNAとの開幕カードで2戦目に満塁弾を打ち、3戦目に同点タイムリーを放つ活躍を見せたものの、4月11日時点で打率1割5分3厘と絶不調に陥っていた。しかし、13日の中日戦で昨年沢村賞を受賞した大野雄大からマルチ安打を放つと、18日のDeNA戦までの6試合で4割5分5厘と復調してきた。 過去の巨人FA移籍野手を見ると、4月に成績が残せるかどうかで、1年が決まると言っても過言ではない。開幕スタメンを張ったFA移籍野手の、移籍初年度の4月終了時とシーズン通算の成績を挙げてみよう。【主なFA移籍野手の初年度成績】落合博満(1994年)4月終了時:2割2分2厘、4本シーズン通算:2割8分、15本チーム成績:日本一広沢克己(1995年)4月終了時:2割7分4厘、3本シーズン通算:2割4分、20本チーム成績:3位清原和博(1997年)4月終了時:2割2分2厘、3本シーズン通算:2割4分9厘、32本チーム成績:4位江藤智(2000年)4月終了時:2割3分9厘、4本シーズン通算:2割5分6厘、32本チーム成績:日本一小笠原道大(2007年)4月終了時:2割9分8厘、5本シーズン通算:3割1分3厘、31本チーム成績:リーグ優勝村田修一(2012年)4月終了時:2割4分4厘、1本シーズン通算:2割5分2厘、12本チーム成績:日本一片岡治大(2013年)4月終了時:3割1分、2本シーズン通算:2割5分2厘、6本チーム成績:リーグ優勝丸佳浩(2019年)4月終了時:2割7分8厘、6本シーズン通算:2割9分2厘、27本チーム成績:リーグ優勝 4月の3割超えは片岡だけで、2割5分以下の低打率が4人もいる。落合、清原はこの中で最低打率になる。ただ、落合加入の1994年は4月13勝6敗と開幕ダッシュに成功し、“落合効果”という言葉も生まれ、最終的には中日との「10.8決戦」を制して優勝した。一方、清原加入の1997年は4月借金2と低迷。その後、チームは復調することなく、4位に終わった。 FA選手自身が打てなくても、チームが勝てばプレッシャーは軽減していき、徐々に調子も取り戻していく傾向があるようだ。しかし、負けが込めば戦犯扱いされてしまう。この8例のうち、優勝できなかったのは1995年と1997年の2回。両年とも、FA移籍の広沢や清原にV逸原因の矛先が向けられた。 小笠原や丸のように4月に結果を残せれば、その後もスムーズにシーズンを乗り切れる。清原や村田のようにスタートダッシュに失敗すると、重圧が増していき、調子が上がりにくい面もあるのかもしれない。 今年は4月18日終了時点でチームは首位・阪神と3ゲーム差の2位につけ、梶谷は2割3分5厘、2本塁打。打線が湿っていた頃は梶谷への風当たりも強かったが、直近1週間は梶谷の復調とともに打線に活気が出てきて、チームは6試合中4試合で5得点以上を叩き出し、5勝0敗1分だった。 裏を返せば、梶谷のバットに懸かる比重が大きいとも言える。プレッシャーを跳ね除け、チームを3連覇に導けるか。
2021.04.20 16:00
NEWSポストセブン

トピックス

紺色のお召し物だった紀子さま
紀子さま、悠仁さまに「悪夢の再来」 宮内庁17cm包丁送付事件、同封便箋には皇族批判
女性セブン
京都の街を歩く舞妓のイメージ(写真/イメージマート)
元舞妓の告発に有名歌舞伎役者たちが大慌て 関係が露見すれば廃業は必至か
女性セブン
逮捕された「RYO&YUU」
「バレないように森の中で」公然わいせつ逮捕「RYO&YUU」が語っていた野外動画撮影の“対策” 実際には公園、海岸でも裸に
NEWSポストセブン
よくぞ言った!江口のりこがぶっちゃけたテレビのタブー「番宣出演は意味がない」
よくぞ言った!江口のりこがぶっちゃけたテレビのタブー「番宣出演は意味がない」
NEWSポストセブン
ゴルフをする女性芸能人が増えている(左は小島、右は鷲見。ともに本人のインスタより)
タイトなウェア姿を投稿しまくりの小島瑠璃子と鷲見玲奈「ゴルフ女子」枠巡る熾烈な戦い
NEWSポストセブン
ポスト和久田麻由子アナに浮上 「元東大ミスコン」堀菜保子アナ(27)の“大きな武器”
ポスト和久田麻由子アナに浮上 「元東大ミスコン」堀菜保子アナ(27)の“大きな武器”
NEWSポストセブン
TBS・安住紳一郎アナウンサーの魅力の源は?(時事通信フォト)
「定年までTBSに」先輩・吉川美代子アナが期待する安住紳一郎アナのこれから
週刊ポスト
結婚を発表し、お相手を「建築会社」とした滝沢。「一般男性」とは言っていない
滝沢カレン結婚!「テラハ」出演“肉食系”ハーフモデルのどこに惹かれたのか
NEWSポストセブン
眞子さまの箱根旅行のお姿。耳には目立つイヤリングも(2018年)
小室圭さんの妻・眞子さん 華やかだった4年前の「箱根・女子旅ファッション」
NEWSポストセブン
逮捕された「RYO&YUU」
公然わいせつ逮捕「RYO&YUU」、性的動画アップは「親公認」だった 22歳の女は愛知・香嵐渓で全裸に
NEWSポストセブン
結婚し、日本メディアが情報をキャッチしづらいNYで、デイリーメールが追跡取材(写真/JMPA)
小室圭さん・眞子さん夫婦が「離婚で終わったとしても…」英デイリー・メールが報じた「茨の道」
NEWSポストセブン
高橋真麻
高橋真麻「おでんの卵8個食べても太らない」女性が憧れる美スタイルの理由
NEWSポストセブン