命の重さは平等だが、日本では受けられない治療、高額で断念せざるをえない治療はたしかに存在する。例えば、病気予防や寿命を延ばすことも、セレブにはさまざまな方法が用意されている。
スイスのレマン湖の畔に立つ「クリニック・ラ・プレリー」。ジュネーヴ・コアントラン国際空港を出て、迎えの高級車に乗り込んでから1時間すると、高級リゾートホテルのような瀟洒な建物が見えてくる。
到着後すぐに人間ドックを受診し、その後2日間、細胞を活性化させて老化を遅らせる治療を受ける。通常コースは1週間で、残りは最新器具が揃うジムやプール、広大な中庭で過ごす。毎晩提供されるのは、カロリーコントロールされたフランス料理のフルコースだ。
費用は1週間で最低約200万円で、部屋によっては約500万円。世界中の大富豪たちはそんな施設でアンチエイジングに努めている。もちろん、日本人の利用者も少なくない。
海外まで行かなくても、日本の一部のクリニックで高級アンチエイジング治療を受けることができる。医学博士で、医療アナリストの浅野信久氏の話。
「日本未承認の薬を使って、身体の中の不要な有害金属を外に出す『キレート療法(キレーション)』は、アメリカで動脈硬化の改善に効果があるとされている。ルーマニアの加齢研究から生まれた薬を使った『ジェロビタールH3治療』は、老化の原因となる体内酵素MAOを副作用なく抑制するといわれています」
キレーションの費用はクリニックによって幅があるが、1回平均2万円で、最初の1年で80万~120万円。ジェロビタールは比較的安く、1コース20万円程度で受けられる。
※週刊ポスト2014年1月1・10日号