ビジネス

中国経済注目点 改革開放の加速、PM2.5など環境対策の強化

 ここ数年、世界経済を牽引してきた中国経済だが、その勢いにも陰りが見られるようになってきた。さらなる成長シナリオを中国指導部はどう描こうとしているのか、中国経済に詳しいTS・チャイナ・リサーチの代表、田代尚機氏が解説する。

 * * *
 今後の中国を見通すうえで重要なことは、どのような構造改革を行なっていくのかしっかりと把握しておくことである。

 そのための重要な手がかりが11月に開かれた「三中全会(第18期中央委員会第3回全体会議)」で示されている。全面的に改革を深化するという大方針となったが、具体的な注目点は2つある。

 ひとつ目は規制緩和、自由化、市場化といった「改革開放」の加速である。中央政府は規制緩和を進め、できる限り地方政府に権限を移譲する。地方政府も自由化、市場化を推し進める。たとえば上海では「自由貿易試験区」という経済特区が新設され、これまで制限されてきた為替の資本取引が自由化されたり、人民元の自由化、国際化が試されようとしている。規制緩和で金融を強くするだけではない。

 その背景にあるのはドル一極集中によるリスクの低減である。ドルを大量に保有したり、貿易決済通貨として使うことに大きなリスクを感じている中国は為替取引を自由化することで、人民元をアジアの基軸通貨にしようと考えているのだ。そこに向けて金融を軸にした改革開放の動きが今後、大きく加速するだろう。

 そして、もうひとつの柱が「環境対策」の強化だ。中国ではPM2.5などによる深刻な大気汚染によって、健康被害が問題となっている。

 北京市、河北省や東北地方の冬は厳しい。寒冷地では氷点下20度を下回ることも珍しくなく、暖を取らなければ生きていけない。都市部ではガスと並び、スチームが各家庭に供給されて、燃料は主に石炭が使われる。

 石炭を燃やして発生する煙には大量のPM2.5が含まれ、これが放射冷却によって発生する霧と交じり合い、街中に立ち込めるのだ。石炭は発電所や製鉄所、セメント工場などでも使用され、そこに自動車の排気ガスなども加わり、毒性を増すことにつながっている。環境対策は急務だ。

 ここまで深刻化すると対症療法では解消できず、抜本的な対策が必要となる。風力や太陽光、天然ガスといったクリーンエネルギーへの切り替えが早急に求められる。これらの産業は政府が発展育成に力を入れる「戦略的新興産業」の中核であり、今後ますます政策支援によって強化されるのは必至だろう。

 改革開放にせよ、環境対策にせよ実現までにはある程度の時間を要する。ただ、こうした産業の発展は、中国に息の長い安定成長をもたらすに違いない。

※マネーポスト2014年新春号

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉県の工場でアルバイトをしていた
【ホテルで11歳年下の彼を刺殺】「事件1か月前に『同棲しようと思っているの』と嬉しそうに…」浅香真美容疑者(32)がはしゃいでいた「ネパール人青年との交際」を同僚女性が証言
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
保護者責任遺棄の疑いで北島遥生容疑者(23)と内縁の妻・エリカ容疑者(22)ら夫妻が逮捕された(Instagramより)
《市営住宅で0歳児らを7時間置き去り》「『お前のせいだろ!』と男の人の怒号が…」“首タトゥー男”北島遥生容疑者と妻・エリカ容疑者が住んでいた“恐怖の部屋”、住民が通報
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
《交際説のモデル・Nikiと歩く“地元の金髪センパイ”の正体》山本由伸「31億円豪邸」購入のサポートも…“470億円契約の男”を管理する「幼馴染マネージャー」とは
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン