僕自身、怪我していなければ田舎で学校に行って普通の人生を送っていたでしょう。だから偉そうなことは言えませんが、必死でなければ生きていけないという“野生”の状態に置かれたからこそ成功できたのだと思います。その点、均質な人間ばかりを作っている日本の教育制度は野生の感覚をどんどん失わせていると言えます。

 だから「自由」が大事なのです。現状維持、周りと同じでいいという〈檻〉の中で甘んじる考え方は、自分をコモディティにしてしまう。そうではなく他の人と違う価値を作ることでコモディティ人間から脱却できます。

 僕は今後、漫画の原作者、映画監督になるつもりです。夢のようなことを、と言われるかもしれませんが、それが「自由」です。もちろんビジネスとして成立させます。

 自由でいるために僕は、自分が所属するコミュニティとは別の場所で活躍する人と会うことを大事にしています。

 普通に学校に行き、会社に行くと、同世代の仲間や同僚の枠の中で世界は狭くなりがちです。同世代を見ていて感じるのは、夢を失っている人の周りには同じく夢を失っている人ばかりいるということ。自分ができないこと、想像していないことをやっている人に出会うだけで「自由」になる一歩は踏み出せるはずです。

 特に若い世代には、「これからの時代、<檻>から抜け出した者勝ちだ」と伝えたいと思います。

※SAPIO2014年2月号

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