さらに、特捜部は、猪瀬氏を政治資金面で支えていた2つの「政治団体」の存在に注目し、贈収賄での立件の自信を深めている。まず1つ目は、「猪瀬直樹の会」だ。
「猪瀬氏が徳洲会から5000万円を受け取ったのは2012年11月19日。直後、猪瀬氏は選対関係者に、“カネを受け取った”と打ち明けた。周囲は“政治団体への借り入れなどで合法的に処理するべき”と考え、その2日後の11月21日に立ち上げた『猪瀬直樹の会』を使おうとした。だが、猪瀬氏本人が“個人的なカネだ”“後で処理する”などといい、結局、記載しなかった」(同前)
つまり、その時点で猪瀬サイドに「裏金」という認識があったという証左だ。当局が注目する2つ目の政治団体が「東京を輝く都市にする会」。ポイントは、この団体の代表が、慶應義塾大学の元塾長であることだ。
「1月23日、東電病院は大手ディベロッパーが落札したが、医療法人ではないので病院経営ができない。そのパートナーが慶応病院だった。もともと慶応は病院取得に意欲があった。元塾長が政治団体のトップを務めて猪瀬氏を支援していたことは、都合がよかっただろう」(同前)
猪瀬氏は東電病院に関心を持つ徳洲会と慶応の双方から“二股”で支援を受け、東電や都庁内部に売却を迫っていた──。特捜部は、そう見ているようだ。
前出の捜査関係者は、「贈収賄なら逮捕に踏み切らざるをえない。Xデーは、都知事選後の早い時期だ」という。
※週刊ポスト2014年2月14日号