国内

小林よしのり氏 安倍参拝で天皇の靖国ご親拝遠のくと問題視

 昨年12月26日の安倍晋三首相の靖国神社参拝は、海外の反発を招く一方、国内の保守支持層から礼賛の嵐となった。だが、ベストセラー『靖國論』の著者で、新刊『大東亜論』を上梓したばかりの漫画家の小林よしのり氏は、その背景に靖国神社がいつの間にか、反中・嫌韓の排外ナショナリズムの象徴と化してしまったと指摘する。

 * * *
 いつの間に、靖国はこんな偏狭なナショナリズムに利用されるようになってしまったのだろうか。

 そもそもわしは、小泉(純一郎)の首相時代の靖国参拝の時点からジレンマを感じていた。規制改革を中心とする小泉路線には反対しながら、靖国参拝については一定の評価をせざるを得ないような状況が続いていたからだ。

 考えてみればあの頃から、新自由主義・グローバリズムで日本の国柄を破壊する政治家が、靖国参拝によってナショナリズムを喚起し、それを帳消しにする形が生まれた。安倍のやり方はそれを引き継いでいる。

 規制改革にしてもTPP(環太平洋経済連携協定)にしても、そして原発推進(小泉は転向したが)にしても、安倍の現在の政策は、本来、日本の共同体が培ってきた愛郷心(パトリオティズム)を破壊するものばかりだ。

 安倍はそうした新自由主義的政策を推進しながら、なお「保守・愛国者」と見られるために、靖国神社を利用した。靖国参拝はもはや新自由主義の隠れ蓑になってしまったのだ。

 わしはかつてネット右翼が誕生した頃、共同体から分断された砂粒の個人が、国家に直結して排外主義的な方向に向かう様を「パトリ(愛郷心)なきナショナリズム」と呼んだが、安倍はこの国をますます、その「パトリなきナショナリズム」へと導いている。

 しかも厄介なことに、それは「天皇なきナショナリズム」とも結びつく。

 安倍が国際社会の反発の中で参拝すればするほど、本来靖国神社にとって悲願のはずの天皇陛下のご親拝は遠のくことになる。安倍のせいで、天皇陛下がますます靖国に行きづらくなっていることを、なぜ誰も問題にしないのか。

関連記事

トピックス

【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
各局が奪い合う演技派女優筆頭の松本まりか
『ミス・ターゲット』で地上波初主演の松本まりか メイクやスタイリングに一切の妥協なし、髪が燃えても台詞を続けるプロ根性
週刊ポスト
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン